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ヘルステック・デジタル技術関連ニュースまとめ 2024#6(2/5〜2/11)

この1週間に弊社Facebookページ等で紹介したヘルステック・研究・産業、ロボット・AI等デジタル技術関連ニュースをまとめて紹介します。
※記事のリンクが切れている場合は記事名で検索していただくとヒットする場合があります。

今週の個人的注目トピックは

  • フェムテック関連
    参加できなかったFemtech Fes!の他、不妊治療×AIのアークス社の話題や乳がんRFA治療保険収載など、フェムテック関連の話題が多くありました。個人的に注目領域です(眼科テック、スリープテック、フェムテックが個人的Big 3)が、美容痩身関連と同じくウェルネスとヘルスケアの境界領域〜ウェルネス領域が多く、「おもちゃ・おかし・おまじない」(効果あるかどうかは…あなた次第…)が市場を席巻している感がありますので、医療機器としてのフェムテック発展に期待しています。Femtech Fes!レポートでは更年期市場をターゲットとした骨盤底筋訓練・ホットフラッシュ軽減・骨粗鬆症予防・オンライン診療製品などが取り上げられています。

  • 医療トレーニング
    今回で6週目の投稿ですが、地味に毎週医療トレーニング・技能に関する話題が出ています。たぶん2週目以外は全部。タナック、イービーエム、MIT、複十字病院と様々。今週は高山さん @ KOTOBUKI Medical。

  • イベント
    ニュース掲載はしていないですが、今週はSaMD産学官サブフォーラム(2/7)、テクニカルショウヨコハマ2024(2/7-9)に参加してきました。海外展開にはあまり強い関心があった訳ではなかったですが、ご講演・総合討論とても勉強になりました。アイリスの沖山CEOによるスタートアップワールドカップ優勝記念特別講演も良かったです。
    テクニカルショウヨコハマでは横浜・神奈川と関係無い札幌の医工連携事例(北海化成×札医)のお話を伺えたのが収穫でした。札医は他の事例でもニーズ発表会そこそこうまくいってる様子。
    個人的には、企業が寄ってくると相手が中小企業・零細でも簡単な依頼でもまず共同研究費は50万円からですという話から始める大学はいかがなものかと感じており、敷居を下げて連携を活性化するうまい道は無いものかと思っています。現場の教員はお金なんかいらないから一緒に開発やりたい、という方も多いと思うんですけどね。




ヘルステック・医療新技術

・手術支援ロボット・デバイス

Indonesia Expands Robotic Telesurgery Project Using Sina Flex Robotic Surgical System (2024.02.06)

インドネシアでの遠隔ロボット手術プロジェクトはイランのSina Robotics & Medical Innovators Co.,LtdのSina Flexを使用。

論文力ランキングでも抜かれ、先日はサッカーでも負けているイランですが、手術支援ロボットはこの先…?

Sina Robotics and Medical InnovatorsのAbout Usページ見ると女性が多いのに驚きます…日本のロボット/医療スタートアップとは大違い。

参考までにジェンダーギャップ指数は146カ国中、日本は125位でイランは143位です。…あれ?

県内初 坂出市の病院がロボット手術支援システム導入 | NHK 香川 NEWS WEB (2024.02.08)

人工関節置換術支援ロボットMAKOシステム(ストライカー)。地道に導入施設が増えてきている感があります。いま国内何台くらいでしょうか。

眼内内視鏡および眼内照明保持ロボットの臨床使用に成功:医療技術ニュース - MONOist (2024.02.08)

見逃してました。昨年12/22に初臨床に成功と1/17に九大病院が発表。リバーフィールドのOQrimoです。

FlexDex Surgical Completes 100 US Clinical Procedures with the AXIUS™ Needle Driver (2024.02.06)

これだけロボットの時代になってもまだ生き残っていたとは…
はたしてこの手の手持ち屈曲鉗子/持針器の市場での成功可能性は残っているのでしょうか。
自分の修論も屈曲ロボット鉗子だったのですが、とにかく操作インタフェースが難しい。鉗子の関節と自由度を上げても持ってる人間の腕(手首・肘・肩)の関節自由度・駆動範囲に拘束されるためです。かなりアクロバティックな動き・姿勢を要求されることも。


・医療AI

アメリカの“AI医療”開発の最前線 - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス (2024.02.06)

メイヨークリニック他の取材です。生成AIのリスク、予見医療、創薬AIなど。

AI医療機器開発と保険適用までの道のり
産・官・学・医,オールジャパンでの開発体制と経験 | 医学界新聞 (2024.02.05)

ちょうど2月7日に沖山CEOのご講演をSaMD産学官サブフォーラムで拝聴しました。

開発中にはわからなかった・想定していなかった上市後の気付きとして、

  1. 年配医師の利用例:AI機器を使うのは若手だけじゃない

  2. 感染症流行期の検査需要が予想以上に大きくなった

  3. AIが新発見する医学的知見:喉画像が生み出したデジタルバイオマーカ

  4. 患者さんがAIに持つ印象:AIに対する拒否感は意外なほど無かった

といったことを挙げられていました。
スピード感を持って開発し現場に入れてこそわかることって大きいですね。

「病理AI」で革新的な病理診断を提供する 株式会社N Lab (2024.02.07)

北村CEO(呼吸器外科医・病理医)のインタビューです。

大腸ポリープ候補領域をAIが指摘「見落とし防止だけでなく安心感にも繋がる」 | m3 .com

慈恵医大炭山和毅教授のインタビュー。LPIXELの広告記事です。

「医師の「役に立つ」そして「邪魔にならない」ことが重要です。」

m3.com

後者に関連して、作業を増やさないだけでなく

現場の診療ワークフローを乱さない or スムースに転換する

ことはとても大事ですが、なかなか開発中にその重要さに気が付かないことが多いです。

こんな便利な新機能を提供するのだから、ユーザーがそれに合わせて仕事の仕方を変えるはず

というのはたいてい失敗します。「だったらいらない」です。

先日のSaMD産学官サブフォーラムでのご講演・総合討論では、海外の専門医は特に無駄な仕事を増やされることを嫌がるとのお話がありました。グローバルに展開する上ではワンクリックで結果を出す、「邪魔にならない」ことがさらに重要になりそうです。

株式会社FIXERと千葉県がんセンター、生成型AIサービス「GaiXer (ガイザー)」で患者診療情報の文書作成 研究を開始、医療業務を効率化 (2024.02.09)

医療現場での業務効率向上(文書作成負担軽減)用生成AIサービスが続々と登場しています。

AIがのどの画像でインフルの診断支援~AI技術がもたらす医療の未来とは~【Bizスクエア】

https://www.youtube.com/watch?v=yTe3vMxQsCA

アイリスのnodocaの取材と、沖山CEOのスタジオトークです。
「デジタル喉画像」という新しいモダリティがインフルエンザのみならず様々な疾患のデジタルバイオマーカとなる可能性があります。
SaMD産学官サブフォーラムでのご講演でも伺いましたが、離島勤務での「自分が診れない病気は全て見逃される病気」というご経験が、医療格差も埋められる新技術の創出に繋がっているというところも大変響くところです。ニーズの深堀りに「自分事にすること」が如何に重要かと気付かされます。


・デジタル医療・DX

身体の「デジタルツイン」で慢性疾患を管理するシンガポール企業の挑戦 | Forbes JAPAN 公式サイト (2024.02.06)

「2018年に設立されたMesh Bioは、慢性疾患の治療をパーソナライズするために、血液検査記録や心拍数、身長、体重、その他の指標にまたがる多次元の患者データに予測分析を適用している。同社が開発したソフトウェアは、糖尿病などの慢性疾患の治療にあたる医師の診断や治療を支援することを目的としている。」

Forbus JAPAN

ジャパンハウス主催セミナー、医療デジタル化による遠隔医療や医療格差是正への期待議論(ブラジル) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (2024.02.06)

ブラジルにおけるデジタル医療技術・医療DXへの期待。

医師起業家が語るヘルスケアイノベーションのポイント──M-INTが目指す医療従事者が報われる世界とは| Biz/Zine(ビズジン) (2024.02.05)

流行りの生成AIによる文書サマリーサービスもそうですが、医療従事者の負担軽減・働き方改革に資するサービスが日本の保険診療の中で適切に評価されることを祈ります。医療従事者も、そして医師起業家も報われる世界へ。

医療従事者専用の医療情報アプリ「J&J メドテック アプリ」をリリース | ジョンソンエンドジョンソン株式会社 メディカルカンパニー (2024.02.07)

複数ブランドを抱える大手ならではの、リソース提供プラットフォームを統一した統合アプリのリリースです。スマホ・タブレットがアプリだらけにならないように…

「このアプリは、これまで同社の4つの事業部(中略)でそれぞれ展開していた医療従事者向けアプリを統合し、より幅広い医療情報をより利便性の高い形で提供する新たな医療情報提供アプリとして開発したもの」

「当社の医療機器やその安全・適正使用の方法に関する情報のみならず、国内外の学会情報や、当社製品に関連したエキスパートによる手術手技動画やケースレポート(症例紹介)なども掲載し、医療従事者は必要な情報に幅広く、かつ効率よくアクセスし知見を深めていただくことが可能に」

ジョンソンエンドジョンソン株式会社 メディカルカンパニー

生活者の4割は「医療DX」をイメージできず、データ活用のメリットを周知せよ (2024.02.07)

医療以外でも「DX」がデジタル化と何が違うのか、顧客が納得できる説明が可能か怪しいのではと…

臨床医の視点から~Healthtech/SUMに参加してみて~―Dr. 心拍の「デジタルヘルスUPDATE」(154)| m3 .com (2024.02.01)

デジタルヘルス株は
「パーティーはもう終わってしまい、辛い二日酔いが続く」
状態だそうです。

今回のHealthtech/SUMでは、ヘルスケアやデジタルヘルス分野でアナリストや戦略家として活躍するマシュー・ホルト氏から衝撃的な話が伝えられました。デジタルヘルス株は2022年に大幅下落し、2023年にはさらに下がった。そしていまだ回復の見通しは立っていないというのです。それを次のようにサマライズしています。

「パーティーはもう終わってしまい、辛い二日酔いが続く」。

ホルト氏は、AI問診やAI診断などのサービスを提供していたイギリスのバビロンヘルスの倒産などを例に挙げていました。

とはいえ、電子健康データを利用したり、臨床試験を強化するためにデータを使用したりできるようになるという、新しいテクノロジーが使用されそうな明るい兆しもあると締めくくっています。

m3.com

特区発ロボットを3DやARで閲覧・体験できるウェブサイトを開設しました! | さがみロボット特区 (2024.02.08)

医療/介護施設向けロボットもありますが手術支援ではないのでこちらで。
神奈川は相模原発のロボットたちをご覧あれ。

受付・感染症対策支援AIロボット アユダ ミラーミはテクニカルショウヨコハマでも展示されてました。
歩行トレーニングロボット curaraもさがみはらロボット特区関連での出展が多いですが展示会でよく見ます。


・フェムテック

「不妊治療×AI・ロボット技術」で、生殖補助医療の質の向上を実現 株式会社アークス | 代表取締役社長 棚瀬 将康 | 東京大学IPC (2024.02.08)

医科歯科生材研の池内教授も協力。医科歯科大認定ベンチャーです。

六本木でフェムテックの祭典「Femtech Fes!」開催 - 「フェムテック」の生みの親も来日 | マイナビニュース (2024.02.09)

情報見逃してて参加叶わず… Webで出展技術確認します。
イベントWebページは
https://hellofermata.com/pages/femtechfes2402

進化が止まらない。Femtech Fes!で見つけた更年期製品10選|木村 恵 - フェムテックや健康経営の社会情勢やビジネスモデル|NewsPicks (2024.02.11)

Femtech Fes!のレポートです。
更年期市場をターゲットとした骨盤底筋訓練・ホットフラッシュ軽減・骨粗鬆症予防・オンライン診療製品などが取り上げられています。

乳房を切らない治療法 乳がん治療の転換点に ラジオ波焼灼療法が治療開始 (2024.02.11)

乳がんRFA治療って結構昔から無かった?と思ったらこんな↓歴史が…
やはりきちんとした検証・臨床研究・ガイドライン等の整備は重要です。

〝切らない乳がん治療〟がついに現実! 早期乳がんのラジオ波焼灼療法が来春、保険適用へ | がんサポート (2023.09)


・VR/XR

Holoeyes、Apple Vision Proによる空間的医療遠隔カンファレンスをスタンフォード大学医学部で実施 (2024.02.05)

「Holoeyesは、米国時間2024年2月2日のApple Vision Pro発売開始に合わせて、Vision OSアプリ「Holoeyes Body」をリリースし、同日のカンファレンス内で世界初披露しました。」

PR TIMES Holoeyes株式会社 プレスリリース


・ウェアラブル

ZOZOSUITⓇを用いたリンパ浮腫四肢測定
~ ZOZOSUITⓇで高精度かつ短時間で簡易に四肢測定を実現 ~ (2024.01.25)

ZOZO×がん研有明病院形成外科(矢野智之部長)による非侵襲的なリンパ浮腫診断技術の共同研究です。

ZOZO本社の眼の前の大学でもリンパ浮腫のプロジェクトを長年やってるんですけどね…

Samsung gets FDA nod for smartwatch sleep apnea detection (2024.02.10)

サムスン Galaxy Watchが睡眠時無呼吸の検出機能についてFDAの承認を獲得。広がるスマートウォッチでの睡眠評価。どうするApple Watch(マシモと係争中)。


・訓練

埼玉活躍企業 KOTOBUKI Medical・高山成一郎社長 模擬臓器で技術向上に貢献 (2024.2.4)

VTTの開発経緯と将来の事業・開発案件など。

「より多くの方々に使っていただくためには、ものづくりだけでなく教育プログラムやサービスの提供も必要と考えており、今後の課題です。」

産経新聞

には期待したいところ。


・研究

ソーシャルメディア利用と慢性炎症の関係 (2024.02.05)

SNSは健康に悪いそうです…

論文は
Social Media Use and Its Concurrent and Subsequent Relation to a Biological Marker of Inflammation: Short-Term Longitudinal Study
J Med Internet Res 2023;25:e46309
doi: 10.2196/46309
https://www.jmir.org/2023/1/e46309

赤ちゃんは言語をどう学ぶのか?ヘッドカメラでAIを訓練した結果 (2024.02.05)

なるほど。人間の学習様式に学ぶAI新技術。

「この研究は、赤ちゃんの学習方法に関する洞察を提供するだけでなく、より良いAIモデルの開発につながる可能性がある。」
「AIモデルが人間の言語学習方法の一部を認識できるようになれば、学習効率ははるかに高くなるだろう。」

MIT Technology Review

論文は
Grounded language acquisition through the eyes and ears of a single child
SCIENCE, 1 Feb 2024, Vol 383, Issue 6682 pp. 504-511
DOI: 10.1126/science.adi1374
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adi1374


・行政・規制

「AI事業者ガイドライン案」の意見公募手続(パブリックコメント)を開始します | 経済産業省 (2024.1.19)

https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240119002/20240119002.html

2月19日(月)まで。とりあえずガイドライン案を見てみましょう。
本編・別添pdfは以下から。https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240119_report.html

患者にやさしい医療機器の開発や利用促進を 「メディバレーおおいた」移転オープン  | TBS NEWS DIG (2024.02.06)

東九州メディカルバレー構想は活動活発ですね。

医療分野の新興支援策を検討 厚労省が新組織 - 日本経済新聞 (2024.02.05)

【期間限定配信】0からわかる!医療機器の薬事戦略でまずはじめること 2024/02/13〜2/22

講師は松下真澄氏。

「本動画では、薬事戦略の全体像を捉えたい方や初めて薬事戦略を検討する方向けに「事業を上手く推進するための薬事戦略の要素」に焦点をあてて、何から考えるか、どのように実行していくかを解説します。」

RD LINK

パルスオキシメーターの精度は黒人やアジア系で低下、FDAが指摘 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) (2024.02.09)

AIのバイアス問題が話題になってる昨今ですが、こんな歴史と実績のある医療機器で人種バイアスの問題が今話題になるとは…
有色人種は日本製のほうがいいんでしょうか?


・ビジネス

「YKK APヘルスケア株式会社」設立 | YKK AP株式会社 (2024.01.25)

YKK AP(アルミサッシ)とYKK(親会社、ファスナーの)を混同してましたが、YKKは去年のメディカルジャパン @幕張メッセにも出展されていました。

YKKブース @ メディカルジャパン (2023.10.11-13)
片手操作バックルの導入事例にarchelis

archelisが置いてあって驚きましたが、片手で扱える縫い付けられるバックルとかヘルスケアにも注力している姿勢が見えます。グループ全体でも?

ちなみにYKK DIGITAL SHOWROOMではメディカル/ヘルスケア領域でのファスニング商品活用事例が見られます。 もちろんarchelisも。


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