見出し画像

仕事道具について

どんな仕事にもそれぞれに欠かせない【道具】があるかと思います。

例えば普段図面を描く仕事をしている私にとっての道具はPC(パソコン)です。

厳密にはCAD(computer-aided designの略)という図面を作成するための設計支援ソフトウェアです。



思えば1990年代初めには職場にPCはありましたがワープロ(一太郎)と表計算(Lotus 1-2-3)くらいしかありませんでした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%A4%AA%E9%83%8E

https://ja.wikipedia.org/wiki/Lotus_1-2-3



その頃、図面を描く道具といえばもっぱらドラフターでした。

ドラフターとは簡単に言うと縦横斜めに動く定規です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC



その定規で線を引くための精密シャープペンシル(ロットリング)、極細の線を引くための芯ホルダー(ステッドラー)とその芯を削るための芯研器、円を描くための製図用コンパス、数字や英字に丸や楕円を描くためのテンプレート、さらには線を消すための字消し板と電動消しゴムなどアナログな道具が机の抽斗にたくさん入っていました。

図面枠だけが印刷された白紙のトレーシングペーパーに手描きする訳ですから描いている途中で図が入りきらなくなったり、逆にみっともない余白ができたりしないようにレイアウトするセンスが必要など、まさに「描く」といった感じでした。

形は描けても正確な長さや位置を算出することがまた大変で、関数電卓と数学公式を駆使して計算したものです。


1990年代中頃に初めて2次元CAD(AutoCAD)が職場にやってきました。

PCのストレージはフロッピーディスク!マウスではなくデジタイザーという専用の入力デバイス、モニターは21インチのブラウン管です。

当時はPCもソフトウェアも超が付くほど高額だったため試験的に1台しか導入されず、しかもPCの処理速度もまだまだ非常に遅かったため「手描きのほうが早いわ!」と再びドラフターに戻ってしまいます。



2000年代に入ると高額ながらもようやく性能がコストに見合うようになり本格的に2次元CADに移行します。

形を描いてしまえばあの面倒な長さや位置を自動で算出してくれるところや、レイアウトを気にせずに描きはじめられるところが何といっても画期的でした。

道具が定規とペンからマウスとキーボードに変わり、「描く(アナログ)」から「入力する(デジタル)」になった時期です。



2015年を過ぎた頃から中小企業でも3次元CADがちらほらと流行し始めます。

しかしながら2次元CADに長年慣れ親しみすぎて興味はあってもなかなか行動に移せず、「来年こそは勉強します」と毎年言うだけになっていました。



そんな中、2020年に新型コロナウイルスが流行して仕事がストップしてしまいます。

そうです勉強する時間ができてしまったのです。

いろんな意味でこのタイミングしかないとついに3次元CAD(SolidWorks)を導入することになりました。



2次元CADには主に線の情報しかありませんが、3次元CADには面(サーフェス)と中身(ソリッド)の情報があります。

つまり頭の中でしか描けなかった立体形状がモニター画面に表示できるようになったのです。

しかも中身の情報があるので長さや位置だけでなく重量や重心、強度の算出も行うことができます。

これはもはや「造る」といった感覚でしょうか。



振り返ってみると図面を描くという仕事自体は変わっていないのにこれだけ図面を描く道具が進化してきたことに驚きです。

そしてその道具を使いこなすために悪戦苦闘する事もやりがいのひとつのように思います。

きっと他の職業にも驚きの道具や進化があるのでは?と興味が湧いてきませんか?



ちなみに1956年のSF小説「夏への扉」(ロバート・Α・ハインライン)の中に「自動製図機」と邦訳されるCADらしき装置が登場します。

1950年代といえばコンピューターはまだまだ巨大な計算機だった黎明期です。

その頃にCADの登場を予見していたのですからハインラインは未来予想できるペン(道具)を使っていたのでしょうね。

島津久義