見出し画像

「臨床検査技師」コンテンツのデザイン 第3話(全3話)

第1話 テーマカラーの決定
第2話 SNS販促キャラクターの作成
第3話 『QB検査』のカバーデザイン(本記事)

こんにちは。メディックメディア メディカルイラストレーターグループ(MIG)のロボです。

▼前回の記事はこちら。

前回、前々回に続いて、「臨床検査技師」コンテンツ関連のデザイン制作についてお伝えします。
第3話のテーマは「QB臨床検査技師のカバーデザイン」についてです。

2021年春、臨床検査技師国家試験問題集『クエスチョン・バンク臨床検査技師(QB検査)』が刊行され、カバーデザインを私ロボが担当しました。
メディックメディアが発行している『クエスチョン・バンク(以下、QB)』シリーズの新たな仲間として、いままでのQBのデザインも踏襲しながら、臨床検査技師らしいイメージを取り入れたデザインを目指しました。
カバーデザインがどういう流れで完成に至ったか、紹介します。

はじめに携わったロゴデザイン

『QB検査』の企画が進んでいく中で、ホームページを作るためにコンセプトカラーなどが決まっていきました(前々回の記事参照)。私が最初にこの企画に携わったのは、このホームページのメインタイトルのロゴデザインでした。

ここ(画像左上)のロゴを作る。

決まっているカラーイメージに合う&臨床検査っぽいモチーフを加えてデザインを考えました。①②は既存のフォントを改変して作ったもの、③はオリジナルのフォントで作ったものです。メディックメディアの栄養分野のホームページのロゴが②であり、その方向で進む方針でしたが、少し詰まったようなフォントなので、もう少し余裕を持たせたフォントができないかということで③を作りました。

③ですが、バランスは①のフォントを参考に②の要素を取り入れ、直線を多用して作りました。

結果的に③のデザインが採用になりました。
ここで作ったオリジナルのロゴが、後のカバーデザインにも採用されます。

QBのカバー

ここから本題のカバーデザイン制作に入ります。
メディックメディアが発行しているQBシリーズは医学、看護、栄養、理学療法士・作業療法士など多分野に及びます。社長やアートディレクターによってカバーデザインの大きな方向性(使用するロゴ下にオビを入れる仕様年ごとのカラー(※)など)は決まっているのですが、各分野の雰囲気が結構反映されています。

(※)メディックメディアの国試対策本は、受験の年が明らかにわかるように4色のローテーションでオビ色を変えています。

例えば、医学は、イラストなどを使わず、文字オンリー、シンプルでかっこいいかんじ。

医学系ではきちっとしていて真面目な印象のデザインが好まれる傾向にあります。

看護、保健師だと、粘土人形を使用したPOPで可愛いイメージ。

看護系では手に取りやすそうなデザインが好まれており毎年人形とイラストを新しくしています。

その他の分野の例

各分野によっておなじ『QB』でもカバーの印象はだいぶ異なります。

担当編集者との打ち合わせを重ね、今回作る『QB検査』のカバーデザインの方向性は、下記の様に決まりました。

  • 毎年大きくデザインを変更しないでいけるようなものがいい(上記の医学、理学療法士・作業療法士がそれにあたる)。

  • 臨床検査技師のイメージに繋がる、顕微鏡・スピッツ・マイクロピペット・DNAの二重らせん、または抽象的な図形をイラストで入れて欲しい。

  • 臨床検査の分野の男女比は女性7:男性3だが、性別に関係なく親しみを持てるものにしたい(専門学校では男性比率が高く、男性が学年の半分くらいいるケースもあり)。

臨床検査技師のモチーフでよくあるもの。

デザイン初校

担当編集者との打ち合わせから、最初に出したデザインです。

①〜③案を作りました。

①シンメトリーで安定感あって好き。「臨床検査技師」の部分が他より目立つのが良い。ただ、フォントが同職種の書籍でよく使われている雰囲気なので埋もれそう。
②イラストが一番好き。何となくイラストが大きく描かれている方が親しみやすいと思った。
 一番メディックメディアっぽい気がする。イラストのマイクロピペットは、実際の使い方として違和感。
③ロゴが好き。カラフルで他社にない感じがでている。①②に比べると若干「臨床検査技師」がぼやけてみえる?

実際の学生さんや編集者から意見をもらいました。

全体としては、新規参入の分野でまだ「クエスチョン・バンク」というブランドが浸透していないため、QBのロゴは大きめの文字で入れた方がよいのでは。という意見ももらいました。

また、メディックメディアのQBのロゴですが、医学系と看護系の2種類を使い分けています。臨床検査の分野は看護科と併設が多いという理由で初校では看護系の『QB看護』や『QB保健師』と同じ少し可愛いものを使用していましたが、カバーのデザインは医学よりだったのと、QBを目立たせるという目的のため、よりシンプルな医学系のロゴを採用して二校を作成することになりました。

修正〜完成

初校の②案をベースに、イラストのバリエーションをいくつか考えてみました。各イラストはシンプルなデザインに動きを付けるイメージで考えてみました。

QBは年度別にオビ色が変わるため、別の色になったときも作ってみました。

①帯が何色になっても大丈夫そう。オビの色の強さと合っている。
②オビが青のときは色合わせは良いけど、オビが赤のときの色合わせは微妙かも。
③イラストの培地が水色なのはなぜか違和感がある。菌をみるとどうしてもコロニーのにおいを連想してしまう。

学生さんや編集者からの意見

社長に見てもらった際に、一番臨床検査感があるということで、①の方向性で進むことに決定しました。学生さんたちから、スピッツの中身がカラフルすぎる印象がある、という意見をもらったので、臨床検査のホームページのテーマカラー3色でデザインをまとめることで、色数を抑えました。

イラストの色数を減らして落ち着いたものの、ちょっと寂しい感じになってしまった。

作ってみると、同系統の色でイラストがまとまった代わりに、差し色がないためちょっと平面的な印象をもってしまうかなと感じました。そこで、最終的にはスピッツの一色を黄色にするということでイラストの色合いに変化を加えました。
そして、完成したカバーデザインがこちらです。

表1(カバーの表面)のテイストにあわせて全体を整えました。

いかがでしょうか。差し色が入っただけでタイトル付近に目がいき、印象付いたデザインになったように思います。

ちなみに2023、最新の2023-2024のデザインはこんな感じです。

オビ色を変えたり+αな要素が加わっても大きなデザインは変えずにいけているのでよかったです。

私自身入社以来初めての新規分野のカバーデザインだったので、とても良い経験ができました。イラストのスピッツが躍動的で可愛く、全体的にすっきりしたデザインが個人的に気に入っています。

最新版の『QB検査』は5月25日(昨日!)発売になりました。書店でお見かけの際はぜひお手にとってみてください!


この記事が参加している募集

はじめての仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?