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病みえSNS公式キャラができるまで第2話(全2話)

こんにちは。メディカルイラストレーター(MI)のロボです。

前回に引き続き、「みーさんズ」がどのような経緯で生まれたかについてお話しします。
第1話では、公式キャラコンペ開催からキャラクターの方向性が絞られるまでをお話ししました。(前回の記事はこちら!)

今回は、デザインの清書から他のみーさんができるまで、をお話しします。

デザインのブラッシュアップ

キャラクターの方向性が決まったからといって、すぐに清書するわけではありません。要素として「み」を顔に用いたキャラクター、ということだけが決まった状態なので、ここから顔の形や持ち物の要素、色などを詳細に詰めていきます。

初期スケッチの一部

顔のかたち
「み」の形状は、アイコンなどで小さく使用することを考え、視認性が高い方がいいということになりました。そのため、あまり崩した文字でなく、しっかりと「み」と読める形でデザインでいくことになりました。

「み」の囲まれた部分の処理
「み」の曲線で囲われた部分ですが、ラフのデザインから、虫眼鏡で表現するのか、空洞なのか、口や鼻など顔のパーツにするのか、を検討しました。虫眼鏡の案は、キャラクターの手の動きが制限されてしまうため何ももたせない方が使いやすいということで無しになりました。空洞だと顔っぽい印象が出ないということでこちらも無しに。口にすると、表情によって「み」にみえなくなってしまうため無しに。
表情によって変化がなく、横から見たときも顔として視認できるという理由から、鼻としてデザインする案に落ち着きました。

色について
『病気がみえる』のロゴを考慮し、リーダーや主人公タイプのキャラクターということで、顔の色は赤(金赤)に決まりました。顔の印象を強くした分、身体は白色になりました。

清書&細部調整

要素がまとまったので、AdobeのIllustrator(Ai)で清書していきます。Aiは線の太さを変えたり後から効果を入れたりできるため、キャラクターの清書にぴったりのソフトです。
シンプルなキャラクターだと、線の質感やパーツの位置が少し違っただけで、雰囲気や印象が違ってきます。

主線
今回は、線がないデザインだと、おしゃれではあるのですが、背景に色がないと使いづらい、キャラクターとしての存在感が薄くなりそうということで線を付けたデザインにしました。

Aiで清書している段階。主線の色やタッチをいくつか検討しています。

医療を届ける本のキャラクターということもあり、線の印象で、安心感、清潔さ、信頼感が出るように心がけました。主線はラフ感を出さずきちっとした線にしています。線の色は、黒で、ほどよい厚みをもたせています。

お腹の「L」
これなんですが、「みえる」の“える”→エル→L、から発想したデザインです。顔の「み」とあわせて、「みえる」となります。
こういったワンポイントがあるのとないのではキャラクターの特徴が結構変わってきます。シンプルな身体だけだと、数多あるキャラクターのなかで差別化が図れないですし、「これなんだろう?」と興味をもってもらえるように要素として加えました。

多くの人の目にとまるのに耐えるデザインを意識して、顔のパーツの位置や体とのバランスを調整していきます。

身体と頭の比率、目鼻の大きさやデザイン、バランスなど、何度も見て一番良い形をさがしている段階です。たしか、2段目左から2つめ、が決定案だったような気がします。

そしてついに……

わーい!!

完成です!!多方向からみたイメージはこんな感じ。

病気がみえる』のみーさん

キャラクター名「みーさん」ですが、デザインがまとまったときに、弊社アートディレクターとSNS企画者と3人で雑談していてノリで決まりました。
デザインは色々と考えたのに、名前には全然こだわりがなかった(笑)。
ですが、私自身、当時の雑談していたときの状況や「みーさん」という名にピンときた感じを鮮明に覚えており、とても気に入っている名前です。

みーさんズを作る

メディックメディアには『病気がみえる』の他に、みえるシリーズとして『薬がみえる』、『公衆衛生がみえる』、などの姉妹本があります。みーさんのデザインを考えている過程で、顔の色や鼻などを変えたりすれば、他のみえるシリーズのキャラクターにも流用できる!というアイデアが生まれました。

一番最初にできたのは『薬がみえる』のみーさん。『薬がみえる』のロゴが黒いことから顔の色は黒に、薬の構造式に用いられるベンゼン環の六角形要素を鼻部分に取り入れて特徴を出しました。

『薬がみえる』のみーさん

次にできたのは『公衆衛生がみえる』のみーさん。アートディレクターが描いた顔全体を公衆衛生の「公」に見立てたデザインがおもしろかったため、採用。『公衆衛生がみえる』の紙面デザインが緑色メインだったので、緑のカラーになりました。

『公衆衛生がみえる』のみーさん

職場の健康がみえる』のみーさんは「職場」のイメージをヘルメットとして取り入れました。ヘルメットを付けたことにより、基本のみーさんから目の位置を低くくして顔のバランスを調整しています。紙面デザインが青色だったので、青のカラーになりました。
ちなみに、ヘルメットは横から見るとこのようになってます(笑)。

『職場の健康がみえる』のみーさん

がんがみえる』のみーさんは、がん=増殖・転移のイメージを取り入れてみたり、実際の腫瘍の写真が表面不整なことから顔をボコボコさせてみたりと色々と試行錯誤しました。
がん=悪というイメージから、悪い感じのキャラにする方向も考えたのですが、この子だけ敵な雰囲気があっても変ですし、「がん」だからといって、ネガティブ要素を入れたキャラにはしたくなかったので悩みました。
最終的に、書籍内のがん細胞のキャラクターから要素を拝借し、厳ついサングラスというパーツでの表現に落ち着きました。鼻のかたちでボコボコした腫瘍のイメージを再現し、細胞診で核が肥大して紫に染まるというがんの病理画像の特徴から紫のカラーにしています。

『がんがみえる』のみーさん

『病気がみえる』の小児科では、書籍ができる前から、「ばぶみーさん」が販促担当をしております。書籍編集者から、小児科の販促用にみーさんを作って欲しいといわれて誕生したキャラクターです。
小児科の本だからというのはもちろんですが、書籍が完成していないことも含めて、赤ちゃんにしたいと考えて作りました。
まだ生まれて間もないため、「み」がしっかりと形成されていないのと全体に角がなく丸みをおびたデザインにしています。乳児のパブリックイメージであるおしゃぶりとよだれかけを付けました。

ばぶみーさん

みえる系書籍の最新巻、『からだがみえる』のみーさんは、初期のアイデアを見ていただいてもわかるように、イメージが固まらず大分四苦八苦しました。
最終的には“人体”という単語から”人・たい”→口を人のかたちにしてネク”タイ”をつけたデザインに収まりました。顔は書籍内の骨のイメージから薄い黄色のカラー、ネクタイの色は筋肉のカラーです!

『からだがみえる』のみーさん

キャラクター数が増えてくると、今後出てくる可能性がある”みえるシリーズ”のことも考慮して色やパーツ選びをする必要があり、だんだんと使える要素が少なくなってたいへんだなあと感じめております。笑

社内でもファンアートが!

キャラクターデザインを行った私自身が日々嬉しく感じていることは、みーさんをモチーフに何かを作ってくれることです。メディックメディアには物作りが好きな人たちがたくさんいるので、みーさんモチーフの作品を色々作ってもらえてます。どれも可愛くて、感動です。

特にあみぐるみは、みえる系SNSで大活躍!作者が作り方をまとめてくれています(こちらからダウンロード可)ので、ご興味がある方は挑戦してみてください。

これは、着ぐるみ化も……近い!?

みーさんのファンアート作ってくれた方は是非、コメントやみえるSNSで教えてください〜!私含め社内のメンバーのテンションが上がります。

『病気がみえる』のSNSができた当初は書籍の認知度だけでやっていた状態だったのですが、3年かけてちょっとずつ公式キャラクター「みーさん」の存在も知られてきているような気がします。
前に行われた『病気がみえるvol.15小児科』の発売記念インスタライブでも、みーさんのあみぐるみが出たときに「みーさんだ!」というコメントが結構きて、とても嬉しかった記憶があります。

新しいみえる系シリーズの書籍の発行とともにみーさんズは増えていきます(たぶん)。今後とも一同よろしくお願いします!


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