『からだがみえる』制作日記〜MIが感じたデータ管理の大切さ〜
今回は、2月28日に発売する新刊『からだがみえる』の制作時に感じた、データ作成方法やデータ管理の大切さについてお話しします。
書籍『からだがみえる』の概要と制作のながれ
『からだがみえる』は、今まで臓器別で作られていた『病気がみえる』シリーズの各巻から、解剖学・生理学部分を抜粋して人体の全体像についてより学びやすい構成に編集した書籍です。
『病気がみえる』全15巻+『薬がみえる』全4巻+『がんがみえる』の3シリーズ計20冊を横断的にチェックし、約800頁にまとめました。
3シリーズ計20冊ある書籍(しかも制作に関わった人たちや制作年度がバラバラ)の中から、必要なデータを揃えて一冊にまとめるというのは、本来なら色々な不都合が生じる可能性があります。
例えば、書籍のイラストの雰囲気や世界観が合っていない、使用しているフォントやサイズがバラバラ……など。
データ流用をしていくなかで感じたみえるシリーズの丁寧な仕事ぶり
しかし、みえるシリーズは先代のMIたちによって、①みえる部分も②みえない部分もこだわって作られてきました。そのため、今回の様に各書籍から横断的にデータをもってきた場合でも、抜粋再編がスムーズにいきました!
MIのこだわりがみえる①みえる部分(マニュアル整備とイラストレーターチェック)と②みえない部分(データチェック)についてもう少し具体的に書きます。
MIによるマニュアル整備とイラストレーターチェック
みえるシリーズでは、書籍毎に制作チームが作られています。
異なるチームで同一のシリーズ感をだすために、いろいろな工夫をしています。そのなかでも、MIによって管理された制作マニュアルと、書籍作成の各段階で行うイラストレーターチェックの2つが重要です。
『病気がみえる』は基本的な紙面の作り方をマニュアルにまとめています。マニュアルは毎年アップデートしています。このマニュアルを基準に書籍のデータ構造やイラストのタッチをなるべく揃えているため、書籍全体やシリーズ全体で、雰囲気に統一感があります。
※もちろん、わかりやすさを追求するために、マニュアルに沿わない表現を使っている箇所もあります。基本的な表現を統一しているからこそ、特殊な表現をしたところが目立つので、より効果的に見せることができるのです。
また、編集作業の途中で、それぞれのMIが他の人が作った紙面を見て赤入れを行う“イラストレーターチェック”を数回行います。ここで、イラストが不自然な箇所を指摘したり、もっと良いレイアウトを提案したりして紙面の質をあげています。
MIによるデータチェック
みえるシリーズでは、書籍データを印刷会社へ入稿する前に、結構な時間をかけてデータチェックを行っています。
メディックメディアでのデータチェックとは、MIが各自作ったデータを一つ一つ中身を確認して、入稿に際してトラブルになりそうな点がないかをチェックし、データの中身の整理整頓を行うことをいいます。
具体的にいうと、
データを作っている間に出てきた、アートボード外の不要なパーツ
使っていないレイヤーの削除
規定以外のフォントが使われていないかの確認と不要フォント削除
余計なオーバープリントがかかっていないか
印刷に適さない細すぎる線や解像度の低すぎる画像はないか
カラーモードは適切か
患者さんの写真の個人情報は不可逆的な処理で隠されているか…など
たくさんのチェックポイントがあります。これを行うことで印刷ミスに繋がる要素を少しでも排除できます。
また、今回の件もそうですが、みえるシリーズはメディックメディアの他書籍へのイラスト流用が圧倒的に多いです。特に解剖図などについては色々な書籍で使用されます。そのため、書籍データを流用したい人が使いやすいようにデータを管理しておく、ということが徹底されています。流用元のデータに不備があった場合、そのデータがいろいろなところで使われてしまい、多くの書籍に影響が出る可能性があります。きれいなデータにしておくことでそういったトラブルも未然に防ぐことができます。
Appleの製品が外見だけでなく、分解しても部品類や配置がきれいであるように、データがきれいな書籍は紙面も美しい……気がします。
今回の『からだがみえる』もイラストレーターチェックや最後の入念なデータチェックで可能な限りきれいなデータ構造を目指して作りました。
是非、お手にとってみてください。
『からだがみえる』のカバーができるまでをまとめた記事もあります。こちらもぜひご覧ください!
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