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【第21回】Complex TKAに対する考え方-8

阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳 かどや よしのり

症例供覧

① LCCK使用後の再々置換術  (水野 清典先生ご提供)
78歳女性,11年前に右変形性膝関節症に対し右TKA施行するも,半年後に脛骨側に弛みを生じた。脛骨コンポーネントの内反設置によるアライメント矯正不足が原因と考えられた。

脛骨側のみの再置換を行った。当時コーンやスリーブはなく,骨欠損部はセメントで補填した。X線的にはZone 2でのセメント圧入が不十分である。再置換後11年に再度脛骨側の弛み,ステム内反を生じ,歩行時の下腿痛を訴えるようになった。

再々置換術ではPCCKを使用した。

大腿骨側はZone 1,2とも骨欠損は軽度でZone 2の海綿骨が十分温存されていた。Zone 1,2のセメント固定で十分固定性が得られると判断し,ミッドステムを選択してZone 1,2の人差し指の届く範囲の海綿骨にしっかりセメントを圧入した。Zone 3にはセメント圧入は行わずステムにセメントを全周性に塗布して挿入した。オリジナルのbox位置をそのまま使用したため,大腿骨がやや外方設置となっている。もし修正するならbox位置を内側に削りなおす必要があるが,固定性が落ちると判断しboxはそのままの位置に設置した。

脛骨側は再々置換なのでZone 1の内側,Zone 2の海綿骨に大きな欠損があり,Zone 3も髄腔が広がっているため,ステムのプレスフィット固定力も得られないと判断した。コーンでZone 2での固定性を得た上で,ステムの近位2/3までセメントを塗布してセメント範囲をZone 3まで延長し固定性を確保した。

②Complex TKA 実例(RHK) (水野 清典先生ご提供)
71歳女性,関節リウマチ。

左PS-TKA施行。骨脆弱性が著明であったため,脛骨側はショートステムで補強した。術後3日目,左膝痛増強し,X線にて大腿骨コンポーネント周囲骨折を認めた。

再置換術では大腿骨は内顆,外顆とも骨折しており,大腿骨コンポーネントは手で容易に摘出できた。膝の内側,外側両方の安定性が損なわれているため,Rotating Hingeの適応と判断した。RHKをフルセメント固定して再建を行った。


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