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【第19回】Complex TKAに対する考え方-6

阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳 かどや よしのり

安定性の確保;PCCK シリーズは強い味方

難治症例では,あらゆる手技を駆使して固定性は確保できたとしても,適正な(許容範囲の)軟部組織バランスが獲得できないこともある。その不安定性に対してはConstrained Implant(の知識)が頼みの綱となる。

Constraint の選択基準

実際の選択基準を下表にまとめておく(図16)。

●MCL,LCLの一方の不全であればVVC型(CPS or CCK)を選択する
●MCL,LCLの両方の不全であればHinge型(RHK)を選択する
●必要最小限のConstraintを選択する

ことが原則になるが,実際には“迷ったら必要なConstraintを上げる” と言うスタンスが基本になる。なぜならLooseningは確かに重要な問題だが,これは10年単位で顕在化してくる問題である。それに対してConstraintの不足による不安定性は術直後から(数カ月単位で)顕在化する問題なのだ。このような視点に立てば,不安定性の解消を優先すべきなのは明らかだろう。とはいえ必要以上のConstraintは骨−インプラント間へのストレスを増加させlooseningにつながる可能性がある。だから“Constraintの上げ幅は最小限に“ と言うのが正しいやり方と言える。“疑わしきは罰するがその程度は最小限に“するべきなのだ。

左から右に段階的にConstraintが増加する(図17)。今回CPSがCCKよりやや拘束性の低いmid-Constraintとして導入された。選択肢が増えたことは事実だが,これが安定性と長期成績を両立のための丁度良い落とし所になるかどうかは今後の検証が必要である。

PCCK シリーズ およびRHK で使用可能なインサートのConstraint

RHK(Rotating hinge knee)では内外反の自由度はないが,回旋は許容するので,拘束性の段階としては議論のあるところになる。いずれにしてもMCL,LCLの両方に不全のある症例でのサルベージで,新しいCCK Typeと骨切り面の互換性があり最終手段として選択可能なのは大きな利点(安心)と言える(図17)。


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