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医療者と患者のギャップを埋める

おはようございます。

夏休み、お盆、酷暑、台風とイベント?真っ盛りの夏も中盤に差し掛かろうとしています。

医師としてとある総合病院に勤務していますが、COVID19は再び猛威をふるっているように感じます。一方で、以前のような自粛ムードにはならないというところは面白くもあります。結局、サイエンスとかエビデンスとかはどうでもよくて、「みんながどう思っているか」みたいなものについていっているだけなんだろうなあと。

話は飛びますが、医学との親和性のない人々との情報ギャップを埋めるということが僕の重要なミッションでもあります。大学時代から教育というものにも携わってた経験上、これは非常に難しい問題(ミッションインポッシブル)です。原因として、根底にある思考力や論理力が違うということがあります。偏差値の高い低いの話ではなく、あまりにもバックグラウンドが違うあまり、そもそも物の見方が全然違うということが一つ考えられます。

例えば「マスクをすればCOVID19が防げる」という情報があったとして、科学的な視点で考えるなら、まずその情報の確からしさというものを疑わないといけません。「なんか防げそうじゃん」とか、「なんにせよみんなマスクしているしマスクすればいいじゃん」とか、そういった意見も理解できるのですが、科学者は科学者としての思考過程で情報を吟味しなければなりません。でなければ専門家である意味がありません。

少なくとも、現在わかっていることを、科学の思考過程に乗せて考えると、こういうことがわかりました、という意見は尊重しなければなりません。もちろんその上で別のファクターである経済、社会情勢なども考えなければなりません。

患者さんと話をするとき、いつも「どのような決定をするかは、法律や保険診療の範囲において、基本的にあなたの自由だ」というニュアンスを伝えています。そのうえで、「私が専門家として培った思考、知識、経験からはこういうアクションをおすすめする」というようなディシジョンメイキングが理想的です。そのためには、一般の方々に伝わるような話し方をすべきであるし、自分が専門家として常にアップデートするべきであると自戒せねばなりません。

医療に関する教育、患者教育というキーワードがありますが、本質的に分かり合うことは、現実的には難しいし、そうする必要もないと思います。専門家の思考過程の部分はそうそう教授できるものでもありませんし、だいたいそういうものは患者さんにとってはあまり興味の湧くものでもありません。

診療という文脈においては、上記の意味での情報ギャップの埋め合わせはできるかもしれませんが、やはり「予防医学」という分野では難しいと思います。もっと、行動心理学のような分野も勉強して考えていかなければならないですね。

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