女 性 診 療 放 射 線 技 師 の リ ア ル ライ フ ~仕事と子育てで歩んで来た日々そしてこれから~ 済生会山口総合病院 放射線部│國司正子
仕 事 編
Q.診療放射線技師を目指したきっかけ
A. 高校生の頃、建築にあこがれていて、工学部を目指していました。しかし、なかなか成績が上がらず、親にも浪人はさせられないと言われていました。
高校3年生の秋ごろ学校の進学資料室で資格がある仕事を調べていました。そこで見つけたのが診療放射線技師という仕事でした。放射線は目に見えないからかっこいいかもという軽い考えでした。
(子供のころから父が時々病院に入院することがあり、診療放射線技師は夕方には帰れる仕事だからいいだろうという助言もありました。今となると大いなる誤算?!)
Q.やりがいを感じるとき
A.検査が終わった後、患者さんから「ありがとう」と声をかけてもらったときです。検査が無事に終われた安堵感とともにたずさわれてよかったと素直に感じます。また、マンモグラフィの撮影を担当しているとき「あなたに撮影してもらってよかった」と声をかけられたときです。ほかには、先生から「画像が役に立ったよ」という声をかけてもらえたときなどです。
Q.私の職場遍歴
A.平成元年4月に今の職場に就職してからずっと同じ職場で働かせてもらっています。
秋頃から就職活動をして、今の病院の採用試験を受けました。当時女性技師は産休・育休の取得などでなかなか採用に二の足を踏む病院が多かった時代でした。たまたま女性技師が退職した後で採用試験も一人だけだったのがよかったのかもしれません。病院の場所も知らなかったのに採用されました。運命だったのかもしれないです。
Q.診療放射線技師養成課程の学生時代
A.私たちの学年は70人くらいいました。その中の約2割が女性で圧倒的に男性の比率が多かったです。学校の同好会ではバドミントンをしていました。3年間寮生活でした。部屋は4畳半の畳ベッド付きの個室でした。キッチンとお風呂・トイレは共同でした。寝る前はラジオから流れてくるジェットストリームと貨物列車の音を聞きながら赤川次郎の本を読んでいたことを思い出します。
そのころ初めてコンサートに行くことを始めました。特に思い出に残っているのがBOØWYや松任谷由実さんでした。コンサートチケット代のためにバイトもしていました。3年生の時は快速に乗って京都の嵐山に一人旅にもいきました。卒業旅行は、初海外で韓国釜山へのフェリーを利用した格安旅行でした。
Q.診療放射線技師免許以外の資格について
A.検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師と肺がんCT検診認定技師を取得しています。
Q.学会、研究会参加について
A. 山口県CT研究会の世話人をしています。他の病院の世話人の人たちと研究会の内容を考えたり情報交換をしたり、コロナ前は一緒に飲み行って楽しく過ごしていました。みんな優しくて素敵な人たちと話せる時間はとても貴重で勉強になります。
Q.妊娠と被ばくについて
A.私の職場では妊娠して働いたのは私が初めてでした。妊娠がわかるとポータブル業務・オペ室イメージ業務・待機業務は免除でした。主に一般撮影とCT業務をしていました。つわりもひどくなかったのでほぼ休まずに産休を迎えることができました。一人目はCT新規導入があったので半年で復帰しました。二人目は1年育休をとって復帰しました。一人目の母親学級のとき、保健婦さんに「放射線の仕事しているけど子供大丈夫なの?」と聞かれてこういう風に思う人がまだいるんだと感じました。
Q.理想の働く女性像
A.女性技師のキャリアって何だろうと思うことはありますね。実際に女性技師の割合は昔より多くなってきていますが、県レベルの勉強会に保育付きの勉強会はありません。これでは子育て中の女性技師の勉強会参加はなかなか難しいものがあります。これから改善されるのか? 働き方改革がいい方向に向かってマンモ以外でも活躍する女性技師がこれから多く出てきてくれることを願っています。
プ ラ イ ベ ー ト 編
Q.仕事との両立について
A.独身生活が約10年、その後既婚生活が20数年たちました。独身の頃は、職場のみんなと仕事が終わってボーリングに行ったり、居酒屋で飲んでいろいろ話を聞いてもらったり、おいしいつまみとお酒があるのがとても楽しみでした。そこで息抜きとストレス解消をして仕事を続けていけました。結婚して子育て中は、無我夢中でした。子供が病気のときは、親や妹家族にも助けてもらったり、入院したときは病室から通勤した日もありました。ひとえに職場の理解と家族の協力があって継続できてこれただけで、つくづく感謝しかありません。
Q.美容事情
A.あまり美容に気を使ってこなかったのではないかと思います。むしろ最近のかわいい・美しい女性技師さんがうらやましい限りです。髪の白髪だけが気になってまめに美容院だけには行っていますが、そのくらいでしょうか。毎年、今年こそはダイエットと思っていますが、おいしいお酒と食べ物が好きなのでなかなか達成できないのが悩みの種です。
Q.結婚生活について
A.夫は同じく、診療放射線技師です。同じ職場です。同僚というか後輩になります。私が若かったころ同じ職場で結婚するとたいてい女性技師の方が辞めていくのが当然という風潮でした。私自身付き合っていて結婚に至るまでいろいろと葛藤がありましたが、周囲の理解のおかげで二人とも同じ職場で働き続けることができました。
診療放射線技師同士なので仕事の理解があるのは助かっています。私は器用な方ではないので家事や子育てにも大いに協力してもらって今があると思っています。子供が体調を崩した時も夫に休んでもらうこともありました。子供が大きくなって塾の送り迎えの時間になると17時すぎに病院をでてまたもどってきて画像処理などしていました。
現在は、今年の4月から長子は働いており次子は大学生で家を出ていますので、二人きりの生活になっています。核家族での子育てで子供に習い事があまりさせてあげられなかったのが申し訳ないと思っています。
Q.趣味について
A.独身時代は年に1回は友達と休みを合わせて旅行に行っていました。海外にも何度か行く機会もありました。結婚してからは、子供の夏休みに合わせて家族旅行を年に1回くらい行っていました。博物館をルートにいれるのが好きで、日本科学未来館で子供と見たASIMO(二足歩行ロボット)は私の方が興奮していました。佐賀県立宇宙科学館では無重力体験などができて面白かった思い出があります。子供が巣立つと一人休みのときは映画館・美術館に行くことがあります。コロナで行動制限がかかりストレスが溜まりますね。
あとがき
今回CT研究会の世話人つながりで執筆することになりました。これまでを振り返りこれからを考えていくいいきっかけになりました。私の子育ては、子供に無理をさせていたのではないかと振り返ることがしばしばありました。子供から「お母さんのように私もずっと働きたい」と言われたときが子育て中でうれしかったことの一つです。子供がいてもいなくても独身でも既婚でも女性技師が何も気にすることなく自分のやりたい分野で飛躍できる技師が今後多く出てくることを願い、あとがきとしたいと思います。これからは、自分のスピードで自分にできうることを楽しみながらやっていきたいというのが私のささやかな夢です。
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