女 性 診 療 放 射 線 技 師 の リ ア ル ラ イ フ ~変化するライフステージを楽しむ~ さとうクリニック(佐野医院非常勤)│小澤佳代
仕 事 編
Q.診療放射線技師を目指したきっかけ
A.子供のころやや病弱だった私は、病院に行く機会がよくありました。病院の待合でいつも目にする「関係者以外立ち入り禁止」の扉の表示。そしてその扉の奥に颯爽と消えていく医療従事者。それらの光景がとてもカッコよく「あの扉の奥にはどんな世界が広がっているのだろう」と憧れました。
小さい頃の将来の夢は「お医者さん」でしたが、成長とともにこれは現実的には厳しいなと悟り医師は諦めることにしました。そこで浮上してきたのが診療放射線技師でした。その理由は単純すぎてお恥ずかしいのですが、私はずっと女子校だったため「女の世界はもう充分、診療放射線技師なら男性もいて大丈夫だろう」というものです。また、検査の際に患者さんと関われるイメージもあり惹かれました。そうした理由で就いた職種ではありますが、子供のころ抱いた医療への憧れが今も診療放射線技師を続ける支えになっています。
Q.やりがいを感じるとき
A.20代、都内の大学病院に勤務していた頃は、多くの検査を確実に手際よくやれたときや難しい検査をやり終えたときにやりがいを感じました。寝る間もない忙しい当直業務さえ「疲れた~」と愚痴りながらも充足感を感じ働いていました。
その後結婚、引越を経て、静岡県の市立病院、そしてその後クリニックでの勤務へと、職場の規模は小さくなっていきました。これらの職場では超多忙な大学病院のときとは違ったやりがいを感じます。確実に良い検査をこなす楽しさももちろんありますが、それ以外に患者さんの想い、人柄などの背景まで知ることが出来ます。そしてかかりつけの患者さんの場合、その後どのような生活を送られているかがわかるため、自分の検査が役立っていることを直に感じられます。また「とても緊張していたけれど、スタッフ方が優しかったので安心しました」と言われることが増えました。これは本当に嬉しいです。
Q.私の職場遍歴
A.初めて就職した職場は都内の大学病院です。診療放射線技師が60名程、うち女性技師は10名でした。先輩後輩の上下関係がしっかりしていて、まさに体育会系。毎日のように反省会という飲み会でした。仕事の業務量は膨大で、勤務後は院内カンファレンスや学会のための勉強、週末は技師会業務のお手伝いなど本当に大変でしたが、この時期に鍛えられたことが今も役立っています。つらさも楽しさもあった職場でした。
その後結婚に伴い静岡県に引っ越し、富士山のふもとの市立病院で働くことになりました。技師15名程の職場です。ここの職場は長らく男性技師だけだったようで、私は久々の女性技師として歓迎されました。マンモグラフィやエコーの検査を担当することが多く3年ほど勤務しましたが、長男出産を機に退職しました。私は疲れ果てるまで働く癖があり、育児と仕事の両立は無理だと思ったからです。しかし、家事育児の世界にも1年ほどで飽きてしまいました。そんな頃市立病院勤務時代にお世話になった先生が「脳神経外科クリニックを開業するので働いてみませんか」とお声をかけてくださり、就職し、今年で勤続15年目です。この間、次男出産、育休、その後はパート勤務へ変更し、育児と仕事のバランスをとってきました。そして最近は子供も大きくなり、時間的余裕も出てきました。何か変化ある生活をしたいなと思うようになり、今年から脳神経外科クリニックでの勤務に加え、他病院でも勤務しWワークに挑戦しています。久しぶりにマンモグラフィ撮影をする刺激的な毎日です。
Q.マンモグラフィとの関わり
A.前職場の市立病院では唯一の女性技師ということで、マンモグラフィ業務をよく担当していました。マンモグラフィ検診撮影認定や、施設画像認定もがんばって勉強し取得しました。しかし、その後就職した先は脳神経外科クリニックでしたので、私の生活にマンモグラフィは全く関係なくなりました。当時は「マンモグラフィは大変だし、もういいかな」というのが本心だったため、苦労して取得したA認定もあっさりと放置、資格が切れました。しかしそこから十数年経ち、脳外科領域以外の仕事もまたやってみたいなと思ったときにひらめいたのはマンモグラフィ業務でした。今は週に数回、婦人科医院でマンモグラフィ撮影をしています。知識をアップデートして、また認定資格も取り直したいなと思っています。
プライベート
Q.仕事との両立について
A.第一線の職場で仕事をバリバリこなすスーパー技師に憧れますが、実際はそううまくはいきませんでした。特に子供が小さい頃は病気が多く、欠勤早退を繰り返し職場に迷惑をかけてばかりでした。子供が小学生になってからは病気がぐんと減りましたが、今度は夫が転勤に。子供は転校したくないと言うし、両親は遠方に住んでいるし、「仕方ない一人で頑張るか」と仕事をセーブしつつのワンオペ生活を始めて、気づけば早10年です。幸い夫の勤務地は週末に帰宅できる距離なのでどうにかなっています。思い描いていたようなキャリアはありませんが、細々ながらも仕事を続けたことは良かったと思っています。
育児が一段落しつつある今、また少しずつ仕事の幅を広げることが出来ています。女性は確かに結婚、出産、育児により希望通りの仕事ができなくなる時もあるかもしれません。正直私は理想と現実の大きな違いに不満だった時期もありました。でもその代わりに、また違った彩りある時間を過ごしています。次に人として生まれ変わることがあったら、今度は仕事バリバリの人生を送ってみたいなと思っています。
Q.美容事情
A.最近顔のたるみが気になり、少しお高めの美容フェイスローラーを購入しました。気軽にコロコロできるので気に入っています。効果をそんなに期待していなかったのですが、思いのほか顔のむくみが取れ一瞬は小顔になっているような!? 本当はMRI操作卓に座っている間ずっとコロコロしていたいのですが、もちろん自制しています。
Q.趣味について
A.趣味は旅行です。リゾート地にも行きますが、遺跡などを訪れるのも好きです。遺跡から当時の生活を知り、思いをはせることが楽しいです。今はコロナで海外旅行は厳しいので、国内のお城や古墳などにも行くようになりました。子供が歴史好きなので色々教えてくれますが、武将の名前や権力関係などなかなか覚えきれず呆れられています。コロナが収束した暁には家族旅行の集大成としてエジプトに行きたいなと思っていて、日々仕事をかんばっています。
Q.自分の健康と病気について
A.スマートウォッチをして生活するようになってから、自分の生活を見直すようになりました。一日の歩数がとてつもなく少ないことを知り焦っています。地方在住で車社会のため通勤で歩くこともなく、職場はMRIやCTの操作卓での座り作業がメイン。早く帰宅した日はとりあえず昼寝。こんな生活では元気に老後を迎えられそうにありません。スマートウォッチに目標の歩数を設定したり、運動してカロリー消費量を測定してみたり、睡眠の質やストレス値などをチェックしてみたりと、楽しみながらだいぶ意識改革は進みました。あとは継続、実行あるのみです。
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