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Ubisoftの正当な問いかけ - ゲーマーはゲームを所有するべきではないのか

先日、Ubisoftは自社のサブスクリプションサービス「Ubisoft+」をリブランドすると発表し、その戦略を語ると同時に「ゲーマーはゲームを所有することに慣れている、この考え方には変化が必要だ」と主張しました。
要約と自分なりの感想を書いていきたいと思います。


要約

今回は出典の記事(https://www.gamesindustry.biz/the-new-ubisoft-and-getting-gamers-comfortable-with-not-owning-their-games)をAIに要約してもらいました。

以下に、記事の要点をまとめます。
・Ubisoftは、新しく「Ubisoft+ Premium」というサブスクリプションサービスを開始しました。
・このサービスには、最新リリースタイトル、バックカタログゲーム、プレミアムエディションのゲームが含まれます。
・Ubisoftは、このサービスで新規プレイヤーを獲得し、ゲーム業界におけるサブスクリプションモデルの普及を促進したいと考えています。
・サブスクリプションモデルには、ゲーマーがゲームを所有するのではなく、利用することに慣れる必要があるという課題があります。
・サブスクリプションモデルには、すべての人が高速インターネットにアクセスできるわけではないという課題もあります。

この要約が、お役に立てば幸いです。

D. Christopher (2024). Summarized via Google Bard

今回多くの注目を集めた部分は、4点目の「所有するのではなく、利用することに慣れる必要がある」点です。

本文中にはサブスクを強制するつもりは無く、購入でもサブスクでも、ゲーマーが自分の好みに合わせた選択ができる点も記載がありますが、この記事を含めてそこはあまり表立って取り上げられていないようです。多くのニュースサイトやメディアがこぞって取り上げた影響からか、株価も少し落ち込んだようです。気の毒ですね。

ちなみに5点目の高速インターネットの部分は、「サブスクリプションモデル」ではなく「ストリーミングサービス」が正しい訳です。

感想

記事には多くの反応が見られていますが、自分はこの意見に概ね賛成です。現在のビジネスモデルでは多くのメディアがサブスクリプションに対応しており、音楽や映画等をディスクとして所有する人々は少数派となりました。ただしブルーレイやレコード等、コレクションできる媒体は少ないながら現在も発売され続けています。

ビデオゲームも同じ道を辿るのでしょうか?自分はそうであっても構わないと思います。理由は、所有することに喜びと持続性を感じない点、そして既にゲームを所有するという定義は曖昧になりつつある点からです。

ゲームをプレイすることと所有することは別の事象です。ゲームをしている時は楽しいですが、棚に飾ったりデジタルのライブラリを拡大してみても、自分にとって楽しいとは思いません。
5年前であれば話は違ったかと思いますが、近年はゲームパスやPS Plusがラインナップを拡大し続け、自分でゲームを買わなくてもプレイできる環境が整備されました。
金額のみを考えた場合、新作ゲームを購入する値段でサブスクのサービスに入れば、100を超えるゲームが即座に遊べる時代になったのです。所有欲を脇に置いて考えれば、多くのゲームが遊び放題の夢のようなサービスだと思います。

今後のコンソール機が後方互換機能を搭載し続ける確証はありませんし、PCゲームですらドライバ等の相性問題で快適に動作し続ける保証もありません。3色ケーブルを挿せるテレビが絶滅危惧種になっている以上、現在の接続端子が使えなくなる可能性も十分に考えられます。サブスク提供期間中なら少なくとも現在の環境でプレイ可能であることは約束されたも同然です。

ゲームや本を買って手を付けずにおくことを「積む」と呼んだりしますが、サブスクに加入することで、サービス提供側が代わりにゲームを「積んでくれる」とも捉えられます。プレイしたい時だけサービスに加入すればわざわざ新作や中古品を買わずとも済みます。

そもそもゲームを買うという事は、ゲームをプレイする権利を買っているだけに過ぎず、ゲーム中の世界や登場人物に関する権利までを手にした訳ではありません。ライブサービス型のゲームであれば、運営がいつでもサービスを停止することが可能です。発売から1年も持たずにサービス終了したり、アーリーアクセス期間中に開発が頓挫することも起こり得ます。数年後に価値の無くなるものであれば、購入には及び腰になってしまいます。

ファミコンやPS1の時代と違い、ゲーム機は常にインターネットに接続されるようになり、ソフトにも頻繁にアップデートが加わるようになりました。初回プレイの際には非常に長い注意書きが表示され、同意しなければゲームを開始することまで出来ない始末です。気付かないうちに統計情報の提供に同意させるような文章すら用意されています。フルプライスを払ってから、記載の条件に同意できなければプレイできないと言うのは何とも面倒な話です。

最後に

このメッセージは往年のゲーマーというよりは、今までゲームを触れてこなかった層に向けた方が良かったとも考えられました。今後ストリーミングの環境が発展し、初期費用無しでNetflixと同じような金額でゲームが出来るようになれば、試してみる人も増えることでしょう。

ゲームを所有するという考え方が無くなって欲しい訳ではありません。しかしデジタル販売の台頭や販売形式の多様化に合わせて、選択肢が用意されることに反対する理由は考え付きません。
消費者の選択肢の一つとして、従来よりも安価にゲームがプレイできるサブスクリプションモデルは新規顧客の興味を惹けますし、ユーザーが増えればサービスの向上も見込めます。

それだけに、この提案が多くの反論を浴びていたのは少し残念でもあります。記事内ではいわゆる「サブスク疲れ」についても言及され、それに対して真摯に向き合っていくと答えています。

以上を踏まえて出した自身のタイトルへの答えは「所有してもしなくても良い」という事になります。所有しているから偉いとか、サブスク使ってるから賢いとか言う訳ではありません。自分に合った方を選べば良いのです。

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