映画「NO 選挙, NO LIFE」感想共有会 まとめ
2023年11月に劇場公開され、仙台でもようやく12月8日から上映がはじまった映画「NO 選挙, NO LIFE」。
候補者全員取材など、徹底した選挙の取材活動で知られる、フリーランスライターの畠山理仁さんに密着したドキュメンタリー作品です。
この記事では、15日に(もちろん非公式で)開催した感想共有会にて話し合った内容をまとめています。
この記事をまとめたきっかけ
今年3月にせんだいメディアテークで開催した「メディフェスせんだい2023」において、畠山理仁さんに基調講演をしていただいており、この記事を書いているメディアージ理事・漆田がプチ対談をさせていただく機会もありました。
何より、メディアージが仙台市や宮城県の国政選挙、地方選挙で実施してきた様々な取材活動・情報発信は、畠山さんの活動と通じる部分も多く、そんな畠山さんを主題とした映画ということで発表当初から注目していました。
そんな「NO 選挙, NO LIFE」ですが、東北地方の映画館での上映は首都圏の映画館からは遅れて12月〜1月の上映予定となっており、前述の通り仙台でもようやく12月8日から、チネ・ラヴィータにて上映がはじまりました。
映画館のWebサイトを確認したところ、2周目(15日〜21日)までは上映する予定のようなので、それならばということで急遽この記事を書いています。
私(漆田)は今のところ仙台で2回鑑賞したのですが、残念ながら10日に行われた舞台挨拶は仕事で観に行くことが叶いませんでした。
そこで、舞台挨拶の様子を知りたいなという気持ちもあり、急遽メディアージが実施している「政治を気軽に聞ける、話せるオンラインイベント【コーヒー・ハウス】」の番外編として、映画の感想共有会を企画しました。
この記事では、参加者の了承をいただいて、16日の夜に実施した会の中でどんな感想が出てどんな話し合いがされたのかを記録としてまとめておきます。
宮城県の方や全国の方で、映画を観に行こうか迷っている方に、この記事が届いて、ちょっとでも興味を持ってもらえたら幸いです。
映画「NO 選挙, NO LIFE」感想共有会 まとめ
参加者:6名(全員映画鑑賞済)
実施日:12月15日 22:00〜24:00ごろ
実施方法:Zoomで開催
1日前(14日)に急遽告知をして、これまでメディアージの活動に関わってくださったことがある方や、Twitter(X)で告知を見た方(おそらく畠山さんご本人がリツイートしてくれたことがきっかけ!)が参加してくれました。
【映画を観ての感想(ネタバレなし)】
畠山さんの、候補者に対する温かい目線がよかった。
畠山さんが主役だけど、彼の追いかけるものを通じて「選挙」や「政治」というものについて考えるきっかけとなっている。
むしろカメラが畠山さんだけに向いていないのがいい。
とはいえ畠山さんの人間性が魅力的で、ドキュメンタリーとしても見どころがある。
沖縄の選挙、楽しそう。
畠山さんが、被選挙権を行使するすべての候補者に対して(優しくも厳しくも)平等な目線を注いでいることがわかる。
選挙取材をするための参考になったし、似たような活動をしていて共感したり、あるあると頷けるシーンもたくさんあった。
インディーズ候補もそれぞれ世の中を変えたいという想いがあり貴重な被選挙権を行使している、ということが伝わってほしい。
一見、畠山さんが主演みたいに見えているけど、実際は登場人物全員が畠山さんのレンズを通して主役を担っている映画だと思った。
映画のWebサイトに畠山さん自身がコメントを寄せていて、「あれ、主演がコメント寄せるってありなんだ」と思った。
2回以上観る価値がある作品!
1回目は畠山さんの行動を追いかけているだけでも情報量が多かったが、2回目で候補者をはじめとした他の登場人物についてもより注目できるようになった。全人類に観てほしい映画。
【映画を観ての感想(ややネタバレあり)】
登場する政治家(候補者)については、与野党とか、有力候補・泡沫候補(インディーズ候補)という区別のない温かい目線が注がれている。
特に沖縄の取材では、立候補しなかった候補者のことも追いかけているのが良かった。霞が関のど真ん中で話している女性候補が印象に残った(→中村之菊さん)
東京選挙区の候補者をわざわざ長野県まで取材に行く畠山さんの本気度が印象に残った。
沖縄の選挙を取材するシーンで、特に印象に残ったシーンがたくさんあった。
→どの主張が正しいかは別として、登場人物を通じて自分の信じることにきちんとアクションを起こし、仲間とつながっていく真摯な姿を映画を通じて目撃できた。
→旗を持って「公職選挙法のほうがおかしい」と語る女性の話が特に印象に残った。
→候補者名入りののぼりがたくさん集まっている光景。
→畠山さんの「戦国時代だな……」発言でとっても笑った。
→ビニール袋に詰められたのぼり旗と、それを見てつぶやく畠山さんが印象的だった。選挙取材する側としてあるあると思った場面:エクセルで候補者のスケジュールをまとめたりとか、取材に行ったらもう演説が終わってたシーンなど。
ご家族の話にほっこりした。良い距離感だなと思った。
こういった活動をしている人は、私生活を犠牲にしがちな印象があったけど、ご家族の話を聞いて畠山さんのイメージが変わった。
疾走する畠山さんを必死に追いかける前田監督のカメラにどきどきした。畠山さんのタフネスにもびっくり。
畠山さん常に地べたでパソコンを打ってるなーと思った。
→取材の合間にカフェとか入っちゃう自分はまだまだだなと思った。
【仙台の舞台挨拶でどんな話をしていたか(出席した参加者が印象に残っている話)(ネタバレあり)】
畠山さんの原体験は、若い頃のテキサス州(違ってたらすいません)での議員選挙の取材。供託金がそもそもなくて、推薦者(署名)を集めれば立候補できて、100名以上が立候補していた。
→日本は、なぜお金でハードルを設けるんだろうという疑問沖縄で大ベテランに取材に行ったとき、「畠山さん、キミは選挙に出なさい!」と言われて「僕は取材がしたい」と言ったら「ほら、そうでしょ」と言われたというエピソード。
全国民が立候補するような世の中が理想で「舞台挨拶に来た観客の皆さん、選挙に出てください!」と言っていた。
畠山さんが映画の中で好きなシーンは、創価学会員の方が公明党候補の陣営に熱く詰め寄って想いを伝えていた場面。
質疑応答で、前田監督に取材を通じてインディーズ候補への印象が変わったかと聞いたところ、「最初はよくわからないと思っていたが印象が変わった」「トップガン政治の中川さんの最後のシーンで感動した」
畠山さんに、全員が立候補するような社会に近づくためには、と聞いたところ「身近に政治の話ができる人がどんどん増えたらいい、足元から地道にやっていく必要がある」
畠山さんの言葉「人が好き」に共感した。人間の面白さ、理不尽さを含めて好きになるということ。
【映画や舞台挨拶を通じて考えたこと、感じたこと】
供託金をゼロにすべきという提言についてどう感じる?
→いろんな人が出てくると思うが、結果はそう変わらないのではないか
→本当に変な人が受かってしまうリスクはそこまで多くないのではないか
→今でも政治を語らない候補者はいるし、そもそもいま当選している(国会・地方)議員が全員まっとうな政治をしているとも言えない状況ではないか。
→なぜ貧富の差をハードルにしてしまうのかという違和感がある。例えば「優秀だけど奨学金を背負っている20代」みたいな属性の人を最初から足切りしてしまっている。畠山さんが舞台挨拶で「有権者をバカにするな」と話していたが、有権者の今の投票行動が正しいとも言い切れない、畠山さんほど世論を信じきれないところもある。
→まずは、立候補する人が増えて、有権者の目に見える選択肢も増えて……という土壌をつくっていかなければならないのでは。立候補者を増やすという意味では、「選挙に出るために仕事を辞めなければならない」という風潮も本当になくなって欲しいと思った。
→法律上そういう規定はないが、実際は……泡沫候補と呼ばれている人たちは、ただああやって自分の信念を訴えるだけでよかったのだろうか、と考えてしまった。参院選ではなくてもっと小さい議会選挙とかで当選を目指す選択肢もあったのではないか。
メディアージの選挙取材を手伝っていて感じたけど、直接候補者の話を聞くとか、周りで応援している人の雰囲気を知ることって大事。
→畠山さん「議員の任期数年間、政治家の活動を追いかけるのは難しいけど、選挙期間は、それまでの活動を一括して知る機会になっている。」候補者のことを知れば、「考えは違うところもあるけどこの人いいかも」みたいな考え方(投票行動)もありうるんだなと思った。
前提として、政策など考え方・イデオロギーが違うからといって、その相手といがみ合う必要はない。互いを尊重し合うことはできるはずと思った。
映画や舞台挨拶を観た後に、選挙に出たいと思ったか?
→(感想共有会の参加者は全員手を挙げる!)
→選挙って素人にはわかりにくいルールがたくさんあるよね、という話。実際に立候補をためらう、迷う理由は?
→今の仕事、活動との兼ね合い
→人前で大きな声を出すのが苦手。街頭演説を観ているとよく人前であんなに話せるな、と感じる。
→そもそも、「話慣れている人」しか政治家のスタートラインに立てないというのはどうなんだろう?
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