アヤワスカ関連論文日本語訳:アヤワスカを使用し続けるとどうなるの?

元論文タイトル
Long-term use of psychedelic drugs is associated with differences in brain structure and personality in humans

「サイケデリック系薬物の長期使用は、脳の構造と性格の違いに関わっている」

(以下のリンクでPDFが出ます)
https://www.researchgate.net/publication/271648194_Long-term_use_of_psychedelic_drugs_is_associated_with_differences_in_brain_structure_and_personality_in_humans

0、はじめに
これは前回の記事「自論_アヤワスカ生き残り戦略?」の最後に紹介した英論文の、ド素人によるドチャクソ大雑把な和訳まとめです!

決してこの和訳だけを妄信せず、引用元の文献リンクをGoogle翻訳等にかけながら自己判断の上お読みください。
ついでに論文の和訳なのでエンタメ性皆無です!クソつまらないです!もうちょっと面白おかしく説明出来るように頑張るけど今回は無理(白目)

1、概要
アヤワスカを長年継続して飲み続けるとどうなるのか調べる為、長期使用者と飲んだ事のほぼ無い人(非使用者)をそれぞれ集め、脳の構造、性格、精神疾患の有無、脳機能を調べてみました。

結果、まずアヤワスカの長期使用者は、非使用者に比べて脳の皮質が一部厚くなり、また一部は薄くなっていました。
筆者は皮厚が薄くなっている部分の一つである、後帯状皮質という領域に着目しました。
後帯状皮質は「デフォルトモードネットワーク」という、何も考えていない時に活性化する領域に大きく関わっていますが、アヤワスカを始めて飲んだ年齢が低い程、また飲み続けた年数が長い程この部分の皮厚が薄くなり、またこの部分が薄い人程性格テストにおいて「自己超越性」という項目の点数が高くなっている事が分かりました。

一方、アヤワスカの長期使用による精神疾患の傾向は特に見られず、アヤワスカ長期使用者の性格は非使用者に比べて楽観的で、また前述した「自己超越性」の高い性格になっていました。
前頭葉機能を測定するテストにおいては、アヤワスカ長期使用者は非使用者に比べ、一部のテストで高得点を取っていました。

論文に書かれた結論としましては、
「関係があるとはハッキリ言えませんが、アヤワスカを定期的に使用すると、注意、自己参照的な思考、internal mentation(和訳できませんでした…)に関わる脳の構造が変化する可能性があり、もしかしたらこの「脳構造の変化」が、アヤワスカ長期使用者の性格が変わる根本的な理由かもしれません。」との事です。

(ここでいう自己超越性とは、「クロニンジャーのパーソナリティ理論」という性格分類方法から来ています。
調べてみたのですが、ざっくりと「スピリチュアルって事?」としか理解出来ませんでした……。)

2、実験内容
アヤワスカ使用群と非使用群の2つのグループ間で、脳の構造、性格の傾向、精神疾患の傾向、脳機能に差があるか調べました。

3、実験手法

注意!
長い上に小難しいので、「4、結果」を先に読んでからお読みください!!
というかぶっちゃけ読む必要無い気がします。

3-1、使用群と非使用群の選定
[アヤワスカ使用群] 
・サントダイミ教会※1の信者であるスペイン人22人(男性6女性16)
・アヤワスカを2年以内に最低50回使用
・過去に精神疾患、障害が無い
・生涯における大麻使用回数20回以下
・生涯におけるその他薬物使用回数10回以下
・実験2週間以内にアヤワスカ及びその他の薬物を摂取していない(尿検査で判定)

[アヤワスカ非使用群]
アヤワスカ使用群と同じ性別比、年齢、教育を受けた年数、IQになる様に選ばれました。

※1サントダイミ教会:アヤワスカを儀式使用している教会。大体半月に1回の頻度でアヤワスカを摂取しています。

3-2、脳の構造を調べる方法
3-Tスキャナー(CTスキャン装置)で脳を撮影した後、一般線形モデル(統計学的な方法)により、アヤワスカ使用者と非使用者で構造に差があるか調べました。
(すみません、この部分はまるで知識が無かったので最低限の翻訳しかしていません。)

3-3、性格の傾向を調べる方法
TCI-R
TCI-R (Temperament and Character Inventory-Revised)は、心理生物学モデルに基づいて個人の性格を評価する、240項目のアンケートです。
「損害回避、新奇性の追求、報酬依存、固執」の4つの気質分類と、「自己志向性、協調性、自己超越」の3つの性格分類に分けて、個人の性格にどのような要素が大きく見られるかを判断します。
詳しくは「クロニンジャー 性格」「Cloninger の気質と性格の7因子モデルおよび日本語版 Temperament and Character Inventory (TCI)」でググると出てきます。
もしくは、「パーソナリティ研究と神経科学をつなぐ 気質研究について」でググると気質について詳しく出てきます。

3-4、精神疾患の有無を調べる方法(TCL-90-R)
精神症状の評価尺度(Symptom Checklist-90-Revised、TCL-90-R)は、不安、幻覚、異常な思考等を7段階に分けて評価し、精神疾患の症状の重さを調べる方法です。
詳しくは名前でググると英語版のwikipediaがありますので、そちらをご参考ください。

3-5、脳機能を調べる方法(3種類)
2バック課題
2バック課題は、ワーキングメモリに関する脳機能を調べるテストです。
実験者は口頭でアルファベットなどの記号を次々に言い、被験者は今言われた記号が2つ前の記号と同じであれば反応します。
例えば、ABHAHJALAT、の場合、太字で示したHとAの時点で反応をします。
この時、正しく反応出来た数、間違えて反応した数などを数えて、ワーキングメモリがどれだけ機能しているかを調べます。

ウィスコンシンカード分類課題
ウィスコンシンカード分類は、前頭葉の機能(ワーキングメモリ、注意、変化に対する柔軟性、視覚処理など)を調べるテストです。
テスト方法は説明が難しいので、一応以下に書いておきましたがググった方が早いです。

カード

最初に数字、記号、色が異なる4枚のカードが場に出されます。(上図参照)
この時、実験者は被験者に内緒でカードの分類法を決めます。(例:カードの「色が同じ」で分類する、「記号の数が同じ」で分類する、等)

次に1枚のカードを被験者に配り、そのカードが最初に場に出された4枚の内のどれに分類されるか被験者に当ててもらいます。
実験者が設定した分類と被験者が分類した分類が正しければ「正解」、間違っていれば「不正解」とだけ告げます。
被験者が何回か正解し続けるようになった後、被験者に黙って分類方法を変更します。
この時被験者は一旦混乱しますが、変化に柔軟だとすぐに新しい分類を探し出して、より早く正解に辿り着きます。
逆に変化に鈍感な場合、いつまでも前の分類方法のままカードを分け続けて間違え続けます。
これを繰り返し、正解数、不正解数、分類の変化が起きた時に前の分類法に固執して間違えた数を数える事で、被験者の脳の柔軟性、思考能力を判定します。

セットシフティング課題
ウィスコンシンカード分類を更に簡単にしたものです。同じく前頭葉の機能を調べる事が出来ます。
方法はウィスコンシンカード分類を2択にしたもので、よりシンプルなテストになっています。

4、結果 ここから大事です!

4-1、アヤワスカ使用群は脳の皮厚が一部変化していました。
アヤワスカ使用者は脳の皮厚が以下の通りに変化していました。
・皮厚が薄くなる(6ヵ所)
中前頭回、下前頭回、楔前部、上前頭回、後帯状皮質、上後頭回
・皮厚が厚くなる(2ヵ所)
中心前回、前帯状皮質

この内後帯状皮質は、アヤワスカを初めて摂取した年齢が低い程、また使用年数が長い程、より薄くなっていました。

4-2、アヤワスカ使用群はより楽観的、自己超越的な性格傾向を示しました。
アヤワスカ使用者は、TCI-Rテストにおいて、「損害回避」の気質の点数がアヤワスカ非使用者に比べ低くなっていました。
損害回避という気質は、自分に悪い結果をもたらす物を出来るだけ遠ざけようとする気質であり、この点数が高いと悲観的、心配症、内気、用心深い等の性格に繋がります。
更に調べると、損害回避の気質を構成する要素の内「悲観的」という要素の点数が低くなっていました。

一方、アヤワスカ使用者は「自己超越」の性格の点数が、非使用者に比べ非常に高くなっていました。
また自己超越の性格を構成する3つの要素である
・自己忘却
・超個人的同一化
・スピリチュアルへの受容
の点数がどれも高くなっていました。
(自己超越の性格については説明が難しいので、詳しくは前述した「Cloninger の気質と性格の7因子モデルおよび日本語版 Temperament and Character Inventory (TCI)」をご参考下さい。)
尚、この自己超越性については前述した後帯状皮質が薄い程その傾向が強まっていました。

4-3、アヤワスカ使用群に精神疾患の傾向は見られませんでした。
精神症状の評価尺度(TCL-90-R)では、アヤワスカ使用群と非使用群で、精神疾患の傾向に有意な差は見られませんでした。

4-4、アヤワスカ使用群は2種類のテストのスコア平均が非使用群より高くなっていました。
全体的に、アヤワスカ使用者は非使用者より高いテストの点数を出していました。
まず、2バック課題では、アヤワスカ使用者と非使用者で点数に有意な差はありませんでした。
次に、ウィスコンシンカード分類では、アヤワスカ使用者はより高い正答率、少ない誤回答率を出していました。
更に、セットシフティングテストでは、アヤワスカ使用者は非使用者と比べて非常に高い点数を出していました。

5、まとめ
アヤワスカを長期使用すると脳の構造が変化し、特に後帯状皮質は使用の継続年数に比例して薄くなっていました。
しかしそれによる精神疾患の類は見られず、性格については楽観的に、そして後帯状皮質の薄さに比例して自己超越性が高まっていました。
また、前頭葉機能を図るテストでは一部のテスト結果が向上していました。

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