リアル待合室/アレルギー科
脱ステによるリバウンドのトラウマ
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脱ステによるリバウンドのトラウマ

リアル待合室/アレルギー科

ステロイド・保湿剤使用歴40年以上の女性の来院

緊急事態宣言発令中の中にもかかわらず、本日もステロイド・プロトピック・保湿剤フリーによる治療を求めて多くの患者さんの受診がありました。土曜にいらっしゃる患者さんの層は断然成人が多く、全国各地からの遠方の患者さんも多い。そのような中、今日一番印象に残っているのは60歳になったばかりの女性でした。公共交通機関は使わず早朝から家を出て車で数時間かけての来院。

問診表をみながら今までの経緯やご様子を聞くとトータルのステロイドや保湿剤塗布期間は40年以上😢。もう身体は限界に達したと思いインターネットで調べてここにたどり着いたと不安な表情で話されました。しかし問診表の提出があったものの、リバウンド症状についての認識を求める同意書欄に✔チェックが入らず、ブランクのまま提出されました。

治療に理解がなければすすめず、チェックを打つのが今日無理そうであれば今日からの治療開始はせず、お話だけになります。

※問診表はこちらhttps://www.kimatahajime-clinic.com/common/first4.pdf


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しっかりお話伺ってみようとお隣に座り、✔ができないわけを聞くと1度目の脱ステを試みた際には、素人判断でただただステロイド治療がいやになりいきなり放棄してリバウンド症状爆発。当時の様子は、身体から浸出液が噴出し、廃人のような状態となり、一度目の脱ステを中断し失敗に。再びステロイドやプロトピックによる治療に戻って以来さらに20年以上塗布を続けていたとのこと。精神的にも鬱状態となり、それ以来心療内科からの薬も増える一方だと涙をこらえ、体は冷えこわばるのか、緊張もされている様子で肩はあがりカチカチな状態で話を続けられました。

「リバウンドをもう経験したくない、思い出しただけでも震えが来るほどつらい。あんな思いは二度と嫌なんです。だけどステロイドやプロトピックは塗っていてももう効かないし、限界なんです。もうやめたい。ステロイドが欲しくて皮膚科には通ってしまった。ステロイドやプロトピックを出し続けてくれた先生はやめ方はわからないってこれから先どうしたらよいか教えてくれない。」繰り返し自問自答のようなお話が続きました。

「リバウンド来ない方法ってないですか?」と問われた私は「絶対リバウンド症状を起こさないって言う様なそのような離脱方法は先生にもきっとわからないと思います。ただ言えることは、こちらでは皆さん大変な時期を過ごされながら多くの方が断念せずに安全にステロイド離脱に成功し、アトピー性皮膚炎の治療をされています。そしてどんどん御自身の身体に力が戻り、強くよくなって下さる。だから我々は患者さんから教わっていますが、終わらないリバウンド症状はないんだっていつも思っています。ただリバウンド症状の強さや期間、個人差があることは臨床で知りました」

「だから○○さんにリバウンドが起こるのか起こらないのか、そしてそれがどれくらいの重さで離脱症状に苦しむ期間がかかるのかはわからないです。正直先生は○○さんはリバウンドのリスクは高いと判断なさっています。しかしその辛い離脱症状に終わりがあることは我々は知っています。慎重に断薬してゆけるように先生がついています。」

「今日は同意書への✔チェックは決して無理強いしません。お気持ちが固まったらいつでもお越しください。いつからでも始められますから今日はキャンセルしましょうね。個人情報の記載がありますから問診表はお返しします」としばらく席を離れました。

○○さんは少し時間をおいて同意書に✔を自らつけて受付にいた私に「治療の開始をお願い致します。」と静かに提出されました。

長年苦しみ傷ついてこられた患者さんのトラウマ、簡単にはぬぐえないはずです。ステロイドやプロトピックという免疫抑制剤は、体だけではなく精神にも抑制をかけてしまう。精神疾患のお薬がステロイド離脱にどう邪魔してしまうのかそこの問題は木俣先生の経験に任せるしかありませんが、我々チーム木俣ができること、それは患者さんのそばにいること。

患者さんに笑顔が戻りますように快癒を願っています。




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アトピー性皮膚炎ってなんだろう? ステロイドフリー、プロトピックフリー、脱ステロイド、脱保湿剤による治療。 ずっとずっと看てきたものを綴って行きます。