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化学の本と、メダカ

こんにちは、メダカ飼育担当のメダたんです。
トップの写真は、水槽掃除の間、バケツに避難している長寿チャレンジメダカ(2020年又はそれ以前の生まれ)。しかし今回の主役はメダカ(生物)ではなく、この写真に写っている中ではバケツ(ポリプロピレン)と水(H2O)です。

メダたんの専門は化学です。大学は理学部化学科で、まさに化学。今の仕事も化学系。化学の専門書は読んでも一般向けの本を読むことはありませんでした。しかし、化学のことは何でも知っている、わけでは当然ありません😓 むしろ化学の中でも専門じゃない分野はかなりわかってない…  そんな中で見つけたのが今回紹介する本、「さぁ、化学に目覚めよう」です。全米ベストセラーというのでちょっと目次を見てみると、料理や日用品など、日々の生活の中にある化学について書かれているようです。コレは読んでみたい。Kindleでポチリです。

表紙の火を噴く女性は、著者のケイト•ビバードーフさん。教育に特化した、アメリカの大学の化学の准教授。

この本は2部構成で、第1部は化学の基礎の説明、第2部が本題の、日常生活の化学の話です。
第1部は、原子、分子や化学結合、状態(気体とか液体とか)、化学反応について。
原子は原子核と電子でできていますが、何層にもなっている電子の層を服(下着、シャツ、上着)に例えて、1番外側の上着の部分の電子を使って化学反応してます、という説明をしています。なるほど、分かりやすい。
共有結合(2つの原子が電子を出し合って結合を作る)は、恋愛に例えています。単結合(電子を1個ずつ出す)は片手を繋いでいて、二重結合(電子を2個ずつ出す)は向かい合って両手を繋いでいるのでより強力、という感じ。さらに化学では、共有結合の中での電子分布の偏り(2つの原子間で均等か、片方に偏っているか)が、化学反応や化合物特性(水に溶けやすいなど)に影響するため重要で、均等は無極性分子、偏っているのは極性分子と言います。ココも恋愛に例えて、どちらが相手により惹かれているか、で説明しています。

もしメダカ原子とカタツムリ原子が共有結合しているとしたら、エビ電子はどちら側に偏っているか?しかし、エビは電子役にしては大き過ぎますね😅

実はメダたんは、共有結合と配位結合(片方の原子が電子を2個出して、もう片方は出さない)の違いを説明する例えで、披露する機会が全くないネタを持っています。誰かと食事に行く時、共有結合は割り勘で、配位結合は片方のおごり、というネタ。電子の偏りまでは考えていなかったけど、この本を読んで、電子分布が偏っている極性分子は、割り勘だけど片方がたくさん飲み食いした状況、というのを付け加えました。このネタ、いつか誰かに質問されて日の目を見ることがあるか?!

メダカを窒素、エビを水素とすると、アンモニア分子っぽくなってる。メダカ ー エビ間の距離と角度がアンモニアと違う点は、ご勘弁を😓

第2部は、楽しみにしていた日常生活の化学の話。日用品、料理、体内物質などについて。
メダカに1番関係あるのは日用品のポリマーです。我が家のメダカ水槽は、室内用のガラス水槽1個を除いて、すべてプラスチック。大きな水槽の素材は確認できてないですが、小さい8Lと12L水槽はポリプロピレン。ちなみにトップの写真のバケツもポリプロピレンです。
我が家のメダカグッズはポリプロピレンですが、この本の中では、サンドイッチをクーラーボックスに入れてビーチに持っていくシーンを使って、ポリエチレンの説明をしています。

この水槽はポリプロピレン製。この本で登場するのはポリエチレン製のクーラーボックスだよ。

ポリエチレンには低密度と高密度の2種類があり、柔らかいサンドイッチバックには低密度ポリエチレンが、硬いクーラーボックスには高密度ポリエチレンが使われています。両方とも同じエチレン分子(CH2=CH2)が沢山繋がった構造(…CH2-CH2-CH2-CH2…)をしているけど、低密度は枝分かれが多く、高密度は直線形。直線形の分子はぴったりと重ね合わせる事ができるので高密度になり、枝分かれの多い分子はそれができないため低密度になる。高密度は強度や断熱性が高いのでクーラーボックスに、低密度は伸縮性や弾性があるのでサンドイッチバッグに適しています。

朝ご飯を待てない高密度メダカ in プラスチック水槽

ちなみに、…CH2-CH2-CH2-CH2…の「-」は単結合、CH2=CH2の「=」は二重結合です。さらに、…CH2-CH2-CH2-CH2…は無極性分子でH2O(水分子)は極性分子で、無極性分子は極性溶媒に溶けないので、ポリエチレンは水に溶けない。そのためポリエチレンはクーラーボックスの材質にピッタリで、サンドイッチをサンドイッチバックに入れて氷の入ったクーラーボックスに入れても、サンドイッチはビショビショになりません。ポリエチレンが水に溶けないとか、今まで当たり前と思ってたけど、こういう説明を読むと、なるほどー、と思ってしまいました。

隔離メダカの治療や療養などに使っている発泡スチロールの白容器。発泡スチロールもこの本に登場するよ。

メダカグッズの掃除はすべて水洗いなのでメダカには全く関係ないですが、この本には洗剤の化学も載っています。食器用洗剤と食洗機用洗剤の違いについて。メダたん家には食洗機がないので知らなかったのですが、この2つは全く組成が違います。食洗機用には触ってはいけないアルカリ性物質や酵素が入っていて、食器用には界面活性剤が入っている。間違えて食洗機に食器用洗剤を入れると泡ブクブクが収まらなくなり、油を入れて食洗機を回すことで泡を止められる(界面活性剤と油がくっついて、水と一緒に流れ出ることで泡が止まる)。今のところ予定はないけど、もし食洗機を手に入れた時のために覚えておこう。

メダカを酸素原子、エビを水素原子とすると、水分子っぽい。水分子のH-O-Hは直線じゃないのです。

本の感想は、やっぱり化学は面白い!です。もしご興味持って下さった方がいましたら、ぜひポチリして読んでみてください。


おまけ
メダカ写真でたくさん化学遊びをしてしまったので、最後にメダカのお食事GIFを載せます。マニアックな話にここまで付き合ってくださり、ありがとうございます😊

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