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【読書】山下清(著)『日本ぶらりぶらり』読了。〜野に咲く花のように〜

SOMPO美術館で行われている『山下清展 百年の大回想』に行ったとき、ショップで『日本ぶらりぶらり』と『ヨーロッパぶらりぶらり』という2冊の本を買いました。何も山下清さんのエッセイというか、日記のような文章が綴られた本です。そのうちの1冊『日本ぶらりぶらり』を読了しました。

最初から最後まで、素直な人間の気持ちが現れている文章です。そして、とても質問が多いのです。山下清さんは、日本中を旅して、疑問に感じた事は、何でも周りにいる人に聞きます。その質問がとても面白いのと、その質問に対する周りの人の答えがユニークで笑えます。子供が分からないことを親に聞く様なことに似ているのですが、実はそうではなく、やはり大人がする質問なのです。

あるビジネス書には、企画書や提案書を書くコツとして、「自分が伝えたいことを書くのではなく、相手が求めている事を書く事」と買いてありました。山下清さんの文章は、企画書でもなければ提案書でもありませんので、自分が伝えたいことや相手が求めていることなどは、意識していません。ただ、自分の周りで起こったことと、自分が感じたことを文字にしているのです。文字にするのと同じように、絵として表すことが出来る才能を持っている方なのです。

この本を読んでいるあいだ中、私の頭の中ではずっと、ダ・カーポの『野に咲く花のように』が流れていました。それだけ私の中では、ドラマの影響が大きいのですが、ドラマはあくまでも山下清さんをモデルにしたフィクションです。美術展に行っていろんな作品を見て、こうやって書かれた文章を読んでいると、本当の山下清さんの姿が見えてきます。

次は、『ヨーロッパぶらりぶらり』を読み進めていきたいと思います。山下清さんがヨーロッパに行ったことは、ドラマ等にはなっていません。ヨーロッパの街を見て山下清さんが何を感じて、どんな質問をして、周りの人達がどう答えたのか、今から読むのが楽しみです。

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