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がんの治療選択に正解はない?

どうも。Dr.Tです。

父親の突然のがん宣告から、治療の選択肢を提示されました。
ここは長時間の医師による説明により、本人も悩み抜いた末、抗がん剤治療へ同意。
(病勢が非常に悪く、抗がん剤が先に効いて延命するか、DIC傾向のため、そのまま最期を迎えるかの選択肢でした。)

抗がん剤1クール目
抗がん剤の効きが良く、がんの数値を示すマーカーは激減、転移していたものはCTの肉眼でもほとんど消滅?!くらいのものでした。
(が、同時に骨転移も発覚)

加えて、抗がん剤の副作用により倦怠感や食欲不振による体重低下。

本人はがん自体は良くなってるが、辛いから、辞めたいとのこと。
(副作用の影響が辛く、むしろ治療した事で、悪くなっているとの本人の認識になる)

*臨床でも1番問題になるのが治療認容性であり、いくら良い薬でも耐えられない、中断することが、日常的にある。

積極的な抗がん剤治療の医療としての提案はあるが、2クール目で本人の意思を尊重し、抗がん剤治療を中断。

出ていた副作用のケアにまわる。

退院を強く希望するが、筋肉も体重も痩せ、うまく身体も動かせず…
医療的な措置が必要な状況のため、まずは副作用のケアや身体的なリハビリに専念。

メンタルケアのために精神科も介入。

全く食事を取らず、食べてもらう事が重要なため、好きなものを好きなだけ提供。
好きなものは食べる意欲が出ていて少し安心…

と同時に、本人意向の自宅退院に向け、早急に福祉環境の整備、手続きに回る。

その中で、一時的に押さえ込んでいたがんが再燃、病勢悪化し、DICとなり、先日突如としてこの世を去りました。

(随分要約していますが、発覚から、3ヶ月のことです。)

抗がん剤を選ばなかったら副作用がないまま、本人のQOLは維持できたのか?
抗がん剤を選んだから数ヶ月生きられたのか?

こればっかりは誰にも分かりません。

何が正解かも分からないなか、闘うがんサバイバーの方々は、本当に毎日些細なこにも神経をすり減らしながら、頑張っていることに改めて気づきました。

現時点の医療の最善策の提示を受けるが、あくまで、リスク(副作用)とベネフィット(利益)の中で、ベネフィットが勝るかは分からない。

ベネフィットが癌を縮小させるとして、そのリスクは時には人を苦しめます。

いずれにせよ、対比が無い(したらどうだったか、しなかったらどうだったかのどちらかは無い)ので、後悔するにもその後悔はあくまで推論となる。

今選んだ道を正解として、治療のことだけを気にせず、今の人生でしたい事をする。

こう思えたら、ずいぶん楽だろうと思うが、当事者の気持ちは、当事者しか分からず、周りの無力さに落ち込みます。

natureでも、癌は人類が克服すべき最後の壁と取り上げられておりましたが、まさにです…

癌研究者からすると、あんなに、シャーレ🧫の中では弱いのに…
とつくづく思います。

自分も頑張らないといけませんが、これからのさらなるがん医療の発展を祈ります。



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