見出し画像

γ計算と希釈・指示の仕方

1. γとは
1γ=1 μg/kg/min
=1 ×10-3 mg/kg/min
=1 ×10-3 ×60 mg /kg/hr
=0.06 ×体重 mg/hr

(例) 体重50kgは?
1γ=0.06×50 mg/hr
=3.0 mg/hr

2. γの意義
NA 1mg/mlを5ml、即ち5mgを体重10kgの赤ちゃんと100kgの力士に投与した場合
果たしてその結果は同じであろうか?
特殊な場合を除き、皆さんの想像通り、力士よりも赤ちゃんの方に多大な影響がある
その根本的な原因が、体重の差である
そのため、薬剤を投与する際に体重の要素を加味した単位がγなのである

3. γの面倒さ
γで投与量が分かったとしても、実際現場ではml/hrで投与量(多くは持続)を指示しなければならない
そのため我々はγからml/hrへの変換が必要とされる
さらに薬剤は生食(以降NS : normal salineと表記)と希釈するものもあることに注意されたい・・・(1)

4. 実際の計算
ここでは、NAをどれくらいのNSで希釈すれば良いのか、またいわゆる「1668」とは何の意味を持つのか、そして看護師にどのような指示をすればいいのか、説明していく

STEP1 γからml/hr へ
1γ=0.06×体重 mg/hr
薬物の濃度を X mg/ml すると
1γ=0.06×体重/X ml/hr となる

STEP2 1γから1 ml/hrへ
逆に1 ml/hrを左辺にすると
1 ml/hr=1/0.06 × X/体重 γ であり
1/0.06 ≒ 16.68 なので
1 ml/hr=16.68/体重 × X γ ・・・(2)
とおける

STEP3 希釈するNSを考える
ここで、NA : 1 mg/ml(NAは1Aが1 mg/ml) を体重50kgの人に0.01γ投与したいと考えてみるとき、NSの希釈量を考える(★)
(2)より
1 ml/hr=16.68/50 × X γ
上記説明(1)より、希釈するNSをY ml とおくと
X=1/(1+Y) mg/ml と書くことができる
即ち
1 ml/hr=16.68/50 × 1/(1+Y) γ

我々は、この患者に対して0.01γ投与したいと考えているので、次のような処理をする
1 ml/hr=1668/50 × 1/100 ×1/(1+Y) γ・・・(3) (1668はここで出現する)
また
1668/50≒33であるから
この時、(右辺)=0.01(=1/100) にするならば
1/(1+Y)=1/33
である必要があるので、Y=32 mlとなる
したがって、(★)を満たすNSは32 mlとなる

以上より、NA:1mg/mlを体重50kgの人に0.01γを投与したいと考えるなら
「NA 1 AをNS 32mlで希釈し、1 ml/hr で投与する」 と指示すれば良い
0.05γ投与したいなら、(3)を両辺5倍すれば良く、5ml/hrで投与すれば良い

このポイントは、幾らのγを投与したいのか、を考えるのが重要
そのγ数に合わせて(3)の式を適宜変更されたい

5.他の場合

次にDoA:100mg/5ml/Aを考える
DoAは基本的に1γ単位で投与していく

ではDoAを体重50kgの患者に5γ投与したいと考える
1 ml/hr=16.68/50 × X γ
1 ml/hr=1668/50 × 1/100 × X γ
ここでX=100/(5+28) mg/mlとおく(∵ DoA:100mg/5ml/A)
1 ml/hr=1668/50 × 1/100 × 100/(5+28) γ
    =1 γ
よって、この場合はDoA 1AをNS 28mlで希釈して5ml/hrで投与すればとなる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?