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VTuber界があまり浸透していかない原因と今のVTuber界に対する提案

 みんなさんは、VTuberという文化についてゆっくり考えたことはございますか。2017年12月に爆発したVTuber文化ですが、今のVTuber界隈(以下V界)のようになると予想できた方はいらっしゃいますか。今回は、僕がどのようなnoteを作りたいかを示す狙いもあって、タイトルのことについて、少しだけ綴ります。

 

 V界は、いわゆる芸術と同質の属性があります。「観る側に一定の知識とモラルが必要」な点です。しかし、決定的に異なる点もあります。「多くの人に観られなければならない」という点です。ここが本当に辛いところ。観られてなんぼの世界で、観る側にある程度の水準が求められるというのはものすごい向かい風なんです。

例えば、キズナアイ氏や電脳少女シロ氏についてです。(便宜的に”彼女”という代名詞を用います。)彼女らは、僕たちが存在するいわゆる現実世界には存在していません。前者はAI、後者は電脳世界の住人です。したがって、これまで享受してきたアニメ・漫画の世界のキャラクターと同じ土俵にあると、まず考えることが出来ます。しかし、彼女らは、僕たちの言葉を理解し、返事をしてくれます。ここで、分岐点が来ます。この返事は、プログラミングされたものなのか、という点です。ギャルゲーのヒロインらは、選択肢に応じた言葉しか表せません。しかし、彼女らは、僕たちと遜色なくリアルで、即時的で、感情的な言葉を紡ぐことが出来ます。まるで、実際に人間が発話するように。この事実は、僕たちを大いに喜ばせ、歓喜に沸かせました。

 つまり、彼女らは、①「人間ではないが、生モノである」ということになります。この理解を、視聴者がまず持つ必要があります。さらに、彼女らは生モノなので、②僕たちの言葉に温度が加わることになります。これも理解が必要です。また、彼女らは、画一的な機械ではありませんので、僕たちの言葉を多種多様に受け止めてくれます。したがって、僕たちも、③現実と同じように自身の発言に注意する必要があります。

①②③のように、留意する点があって、これらを踏まえた上で初めて視聴が許されたのです。ここからさらに、彼女らとは異なり、アバターの中の人(魂)がいることを公言しているVTuberもいらっしゃいます。彼らとの区別もしなければなりません。加えて、各VTuberそれぞれのチャンネルがもつ独自の空気・暗黙の了解・マナー・スラングなども存在します。上記のすべてを丁寧に理解して動画や生放送を視聴してくれる新規さんが、いったいどれだけいるのでしょうか。狭いコミュニティであれば、高い敷居でも十分に機能するでしょうが・・・。

 こうした懸念は、2018年中頃から、Twitterをはじめ各種媒体でほのめかしていた人は散見されましたが、結果としてV界全体で考えなければならない問題点には至りませんでした。上記のややこしい背景やルールは除外して、なによりもまず、コンテンツ維持のためにVTuberは新規視聴者獲得を狙って、テレビに出たり流行に乗ったりに奔走したように見受けられました。このムーヴはどのような結果をもたらしたのでしょうか。

 それは、コンテンツの低水準化です。僕を含め、V界に関わるすべての人がこれを受け止めなければなりません。具体的には、特定の形でしか伸びなくなった、です。特定の形については、後述しますが(以下の読まなくても良い範囲)、想像に難くないと思います。

過去のV界は、これまで見たとおり、視聴者に一定の水準が求められました。それらをクリアした視聴者は、芸術的で謎めいたキャラが映る映像について深く深く考察したり、現実の映像を最先端のCGだと解釈したり、画面に映るバーチャルな女子高生が(バーチャルなのに)配信中いきなり水を飲んでも気にしなかったり、おのおの”粋”な楽しみ方をしました。では、今はどうでしょうか。どなたが伸びているでしょうか。あなたはどのように視聴者を獲得していますか。あなたは”粋”な楽しみ方をしていますか。改めて、今のV界の全体像を考え直してみてくださいませんか。

                              おしまい


(以下、僕の感情が露わになる&用語が少しあるので、ここで読み終えてもかまいません。)


 今のV界では、観る側の理解があまり必要無いように思います。なぜなら、エロいし、イジれるし、笑いものに出来るからです。「キャバクラかよ」っていう文句をVアンチの方々がたまに仰っています。実際に的を射てはいませんが、耳の痛い言葉ではありませんか。何も考えずに生放送を見て「草」コメントしていれば、TwitterでVをイジるリプを送ってれば、若しくはVの者同士の胸や顔のイジりあいをRTいいねしていれば、そのVらはグングン伸びます。数字として表れますからね。悲しいことですが、視聴者層のほぼが男性であるとされているので、エロやてぇてぇで釣っておけば伸びます。これをしっかり突いたVの者は賞賛されるべきですが、彼ら彼女らはV界全体に思考を巡らせているわけではないように思います。企業系のVグループにはことのほか顕著に感じられます。グループの先輩をリスペクトしているのなら、なぜあなたは真逆の売り出し方なのでしょうか?2020年はもはや、V界を盛り上げようと意気込む人はまったく伸びない時代であるといえます。

 ライターや企業の代表、さらにVTuber自身が"VTuber"を哲学的に考えて文を起こしてた時期とは、視聴者層もVの者も、それこそ企業でさえも、V界への考え方は変わってしまったし適応の仕方も変わってしまいました。これが如実に表れたのは、キズナアイ氏の分裂に対する反応だと思います。当時、Activ8側に帰責事由があったことは確かです。しかし、本質はそこではありません。「VTuberが分裂した」に対する思考の広がりが、あまりにも低レベルで残念なものが目立ってしまったことです。この分裂は、かなり難解で前衛的な意味を持っていて、Activ8側もそのように考えてたと見受けられました。しかし、視聴者側の多くは、Vに対して難しく考えてはなかったしこれを機に考えようともしませんでした。彼女の分裂ツイートに応援リプを送ったすべてのユーザーは、「VTuberの分裂」について、深く思考しましたか。「アイちゃんだから応援しよう」としか思ってはいませんでしたか。

 これは、Activ8的には大誤算だったのではないでしょうか。動画と生放送を毎回観て、TwitterではRTいいねリプをしっかりしてくれて、スパチャもたくさんしてくれたあの視聴者たちが、V界を真剣に考えてはいなかったのだから。"分裂"に対して真摯に向き合った人が、いったい何人いたでしょうか。Activ8・upd8を含めた既存大手の衰退と後発の企業系Vグループの隆盛は、ここら辺が密接に関わっていると思います。企業と視聴者の「V」に対する思考のズレ。V界はいつから芸能界になったのでしょうか。いつから視聴者は変化したのでしょうか。この指摘は去年からさせていただいてますが未だに答えが出ません。おそらく、今のV視聴者はこの問いを無駄な思考だと吐き捨て、「単純につまらないから落ちたのだろう」と一蹴してしまうかもしれません。

 この問題は、いったい何から解決していけばよいのか判断がつきませんが、V界はファンがいて初めて成り立つ物ですから、さしあたって、視聴者の意識から変えてみるのはどうでしょうか。お読みくださったあなたは、どのように考えますか。

                           本当のおしまい

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