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パチカカ男


彼との出会いはメガネ屋。
店舗は異なるが、合同の飲み会がよく開催され、
アニメ好き同士のわたしたちは惹かれ合った。
同棲解消後すぐのこと。学ばない女、ホク。





彼の面白いところが本当に好きだった。
突拍子のない言動。
振り回されても構わない。
面白さ絶対主義のわたしは毎日ゲラゲラ。
こども部屋おじさんな3つ年上の彼。
こども部屋に連れ込まれチチクリ合う。
さぞ彼のご家族にご迷惑をお掛けしていたことだろう。




今のわたしなら言える。
そんなオスやめなさい。(2回目)






付き合って3か月の冬、
彼の木更津への転勤が決まる。
4月から専門学校に通う予定だったわたし。
心が揺れる。





(ついていく…?)




同棲解消後のわたしはそこまでバカじゃなかった。
でも別れたくなかった。
「別れたくない。会いに行くから別れないで。」
わたしから懇願し、遠距離恋愛が始まる。





そうしてわたしは生活費・学費・彼に会いに行くための交通費のために鬼出勤人生のスタートするのである。
自分で自分の首をしめるな。教訓。




もともとパチンコ好きだった彼。
見知らぬ土地で友人もいない中、
元々パチスロ好きの彼。
どんどんパチスロにのめり込んでいった。





木更津にはなにもない。
アウトレットしかない。
でも彼に車はない。
アウトレットには行けない。
田んぼみたいなところに住んでた。





会いに行くと必ずすることはパチスロ。
わたしは彼からパチスロのことをすべて学んだ。
目押しもできる。
「ホクといると出るわ〜。よっアゲマン!」
「目押しできるようになったの?偉いね。」
「さすが俺の女。引き強いわ。」





パチスロデートをしてるときの彼は上機嫌。
すごく嬉しかった。ほんとバカ。




一年間の学生生活の中で4回は渡木更津したかも。
ディズニーランドなんて行ってない。
すべてパチスロ。
心と体力を消耗し稼いだお金は
交通費とパチスロに消えていた。





そんな中、彼はたったの1年で「札幌に戻りたい」と希望を出して札幌に戻ってくるのである。





もちろん嬉しかった。飛び跳ねた。
「いっぱい会える!」
しかし、男と女は
「離れている方がうまくいく」
ということを、これから学んでいくのである。





専門学校生活も2年目。
彼は戻ってきてもパチスロ通い。
毎週のようにデートしてもパチスロからの飲み。
喧嘩が多くなった。





彼が戻ってくるのが嬉しかったはずなのに、
だんだん彼の存在がうっとおしくなってきた。
振り回されることに疲れる。
特にパチスロは、勝った負けたでの気分の振り幅がエグいし、負けたときの八つ当たりときたら。




ある日突如、
「俺パチンコやめる!」宣言。
わたしは素直に嬉しかった。
どうやら職場の人に影響されてオシャレな服を着たくなったようであった。





「俺服買う!でもチチカカでしか服買ったことない!ホクオシャレだし教えてよ。」
正直男の服なんてわからないし、
ユニクロで良いと思ってる。





「こういうの似合うんじゃない?」
と提案しても難癖つけられる。
またまた喧嘩の日々。
もう勝手にしてくれ。





そうして実習や就活で疲れ切っていたわたしは限界を迎え、別れを切り出す。別れた。




平凡な生活が続く中クリスマスが近づく。
少し寂しい気持ちの中、突如彼からの連絡。




「クリスマス空いてる?メシいかない?」
少しオシャレになった彼と過ごすクリスマス。





「俺ホクがいないとダメだ。」
と話を切り出す彼。
わたしも彼といたとき楽しかった。面白かった。






人間って別れた後、その人との思い出が美化されて、楽しいかったこと嬉しかったことだけを残しがちですね。
わたしは二つ返事で、
「より戻そっか。」
と答えてしまうのである。



そのときに食べた彼との鍋。
浮かれホク。



しかし、4月から東京での勤務が決まっていたわたし。引っ越しのためにスナック(あとメンエス。これは最後まで秘密にする。)で働いてお金を貯めていることを告げた。





「遠距離でうまく行ってた俺らなら大丈夫だよ。自分で稼いで貯めてるの偉いよ。応援する。」
と言ってくれた。
嬉しかった。





あいかわらず居酒屋・スナック・メンエス鬼出勤なわたし。
貯めたお金で自動車学校にも通い、免許も無事取得。
よりを戻した彼とも連絡はとっているが、忙しいため前よりは少ない。
でもそれはわたしには心地のよい関係だった。







しかし、すれ違っていたことを知る。 
わたしが鬼出勤してる中、辞めたはずのパチスロ通いが発覚。
問い詰めるわたし。




彼は突拍子のない人と前述しましたね。
その時の返答。
みなさん、ひっくり返る準備はできていますか?







「ホクばかり男と飲んでズルい!俺も合コンしたい!!でも怒るから暇でパチンコに行ってた!」





ドッヒャ〜ン。
男と飲んでるのは…
スナックという仕事なのですが…
クリスマスのときに許可してくれてたよ…ね……?





「そう。いくらでも合コン行きな。」
そう言ってパチカカ男と別れ、
ホクは東京で新生活を送っていく…。





パチンコ教えてくれてありがとう。
スロットの目押しも得意だよ。
今もたまにパチンコに行きたくてウズるときがあるよ。






子どもみたいな人。かわいかったね。
わたしは生きてます。



よりを戻したときの浮かれホク。

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