材料力学第一回 鋼の伸びを求めよう!

 材料力学を現在学んでいる方やこれから学ぶ方に向けの講座を行っていきたいと考えています!本講座は、理論を深堀していくというよりは、公務員試験や大学院試験等で非常に出やすい問題をピックアップして解説を行っていこうと思います(必要最低限の理論は解説します!)。理由は、専門書には理論に関しては結構細かく記載されているのに、問題の解答が大雑把で理解しにくいものが多いと感じたからです。

前置きにはこれくらいにして、さっそく今回やるテーマは、、、
材料の伸びを求めてみよう!”です。

 以下の左図のように鋼材の両端に力P[N]を受けたします。すると、右図のように中央がくぼみ、材料がΔℓだけ伸びてしまいます。これが”引張”です。今回はこのΔℓを求める方法について解説します!

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 まずは、定義から。中学校の理科で単位面積当たりの力を”圧力”と習ったと思います。材料力学においてもこの単位面積当たりの力は非常に重要とされています。ただし、名前が違います!材料力学ではこれを”応力”と呼びます。単位は圧力と同じ[N/㎡]もしくは[Pa]となっています!(ちなみにσは”シグマ”と読みます。)

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 そして定義の二つ目!それは、”ひずみ”と呼ばれる元の長さに対して伸びた比率です。例えば、ある物質でできた1mの棒を引っ張ったところ1cm伸び、また別の物質では10cmの棒が1cm伸びたとしましょう。これらをまとめて1cm伸びた物質と評価してよいのでしょうか...?よくないですよね!重要なのは長さに対して伸びた量=ひずみですよね。材料力学では一つの評価手法としてこのひずみが良くつかわれます。覚えておきましょう!(ちなみにひずみεは”イプシロン”と呼びます。)

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 ここまで聞くと勘の良い人なら「応力σが変化すればひずみεも変化するんじゃね?」と思うかもしれません。ご名答!!その通りです。では、早速、グラフにしてみてみましょう!いかに鋼の場合の応力ひずみ線図を示します。重要なのは上降伏点までの部分が直線になっているということです。この部分は弾性域と呼ばれる部分で、力を取り除くと元の形に戻る領域のことです。この部分では中学の理科のバネの問題で習ったフックの法則が適用できます。ただし、力F→応力σ、バネ定数k→縦弾性係数E、伸びx→ひずみεと若干変わっていることに注意です!縦弾性係数は材料固有の値で、例えば一般的な鋼なら200G(ギガ)Pa程度、銅はその1/2の100GPa、アルミは1/3の70GPa程度と覚えるのが良いでしょう(実際の試験は縦弾性係数が与えられていることが多いのですが...)。

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 上で求められた3つの式をミックスして、Δℓについて解いてみると以下のような形で求めることができます!この式から、材料の材質と寸法、力さえ分かれば、伸びを求められちゃうんですよね...。感動です。

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 この公式は大学での試験や機械設計技術者試験などにもめちゃくちゃ使用される公式です。覚えておきましょう!!

 今回はここまでです。理論の深堀はあまりしないと言っておきながら理論ばっかりになっちゃいました。スミマセン...。次回は実際に公務員試験とかで出てくる問題を解いてみましょう!