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流体力学 鏡像

 皆様おはこんばんちは。そして,お疲れ様です。

 最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
 第25回目は,第24回目で予告した通り,「鏡像」について紹介していきます。


(1)鏡像とは?

  では,「鏡像」について,解説してみます。図1に概略図を示します。図1を見ると,何となくy軸と対称な流れになっていることが分かると思います。このように,複数(2つ以上)のわき出し,あるいは吸込みがお互いに向かい合う位置に影響を及ぼし合う状態が,あたかも鏡に映し出されている様子に類似していることから「鏡像」と呼ぶようです。

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図1 鏡像の概略図(2つのわき出しの場合)

 わき出しでも吸込みでも構わないのですが,今回解説していくのは「2つのわき出し」が存在する場合を考えていきます。
 そして,流体力学あるいは電磁気学を学習したことのある方々は,「鏡像法」という解法のことと思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし,今回の記事では,「鏡像法」についてはノータッチでいきますので,予めご了承ください。


(2)鏡像の導出

 それでは,鏡像の導出をしていきます。前項でも述べましたが,本記事はx軸上の(-ε,0),(+ε,0)の点にわき出しの強さが等しい「2つのわき出し」が存在するときを想定します。まだ,「わき出し」のことについて知らない方や忘れてしまった方は以下の記事を確認してみて下さい。

 早速導出していきます。2つのわき出しを複素関数で重ね合わせができることを考慮すると,式(1)のように表せます。

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 ここで,Q:わき出しの強さ,ε:x軸上の座標の一定値とします。今回は「わき出し」を用いるので,式(1)の括弧内を極座標に変換するために式(2)を用います。

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 よって,式(2)に式(1)に代入すると,極座標に変換された複素関数から速度ポテンシャルφと流れ関数ψを式(3)のように表せます。

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 式(3)の流れ関数ψを使うことで,図1のような2次元流れを描画できます。グラフ描画については,次回の記事で取り扱うことにします。
 それでは,次項には鏡像の性質を見ていきましょう。


(3)鏡像の性質(x軸方向速度uについて)

 最初の概要でお伝えした通り,鏡像は「お互い向かい合う位置に鏡のように映し出されている様子に類似している」となっています。図1を見ると,y軸に対称になっていることから,y軸があたかも「固定壁」のようになっています。ということは,y軸上のx軸方向速度uは「ゼロ」であることも予測がつきます。ここでは,それを数学的に証明してみましょう。
 x・y軸方向速度u,vを求めるには,共役複素速度が必要になりますので,式(1)を複素数zについて微分すると,式(4)のように表せます。

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 ここで,式(4)の実部(Real part)を考えると,x軸方向の速度uは,式(5)のように表せます。

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 よって,x軸方向の速度uは「セロ」になることが分かりました。これより,y軸上のx軸方向速度が存在しないことから,あたかもy軸が「固定壁」となることの証明が出来ました。


(4)鏡像の性質(y軸方向速度vについて)

 次に,y軸上のy軸方向速度vについても証明してみましょう。式(4)の虚部(Image part)を考えると,y軸方向の速度vは,式(6)のように表せます。但し,y軸上を考慮するためにx=0の場合を想定します。

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 式(6)では,座標yによってy軸方向の速度vが変化することが分かったのみになってします。工学の世界では「最大値・最小値」が得ることが重要になります。そこで,式(6)をyについて微分すると,dv/dy=0となることでy軸方向の最大速度vmaxが分かります。式(6)をyについて微分すると,式(7)のように表せます。

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 よって,y=±εのとき,y軸方向の最大速度vmaxが得られることが分かりました。つまり,x軸上の座標の一定値εからわき出しはy軸方向の速度vの影響を受けることになります。


(5)まとめ

 今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)鏡像は,わき出し,あるいは吸込みがお互いに向かい合う位置にあたかも鏡に映し出されている様子のことを示す。
(2)x軸方向の速度uは「ゼロ」となるため,y軸はあたかも「固定壁」のように考えることができる。
(3)y軸方向の速度vは,x=0,y=±εのときに最大速度となる。

 以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。

※次回は,鏡像のグラフについて扱う予定です。


(6)おまけ

本日のnote記事を投稿する前にありがたい通知が来ました。

タイトルなし

 今回の更新で流体力学関連の記事は全25本になりました。トータルでは,43記事となりました。
 今回は半年継続記念の通知を頂きましたので,「noteを半年使ってみた」という別の記事を後日更新しようと考えています。今後の方針というより,半年経過したことでどのような記事を書き,閲覧数などがどのように推移を見ていく予定です。

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