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テケテケのバスケ覇道伝

こんにちは目箒です。タイトルに困ったら覇道伝をつければ良いと思っています。

警察×都市伝説の伝奇物ホラー、「警視庁都市伝説対策室」略して「#都伝」について語る記事です。

前回までのあらすじ

なおブントリは諦めました。という事で都伝に戻って進めて行きたいと思います。

という事で書き始めました

 ブントリを諦めたので、大筋の決まっている都伝を書き始めました。まずは今回のモブが怪異に出くわしているところ。

 ふと視線を感じて、校舎を見上げる。二階の窓から、指定制服を着た少女が、窓枠肘を突いてこちらを見ていた。薄らと笑みを浮かべている。可愛いな、と拓真は思った。結構俺の好みかも。少しだけどきどきしてしまう。
 でも、何年生だろう? あんな可愛い子がいたら、男子の間で話題になりそうなものだが。まあいいや。ついでに聞いとこう。
「ねえ、降りてこない? 一緒にやる? 見たいなら近くで見なよ」
 少女は少し照れた様に頷くと、身を乗り出した。拓真があっと思う暇もなく、彼女は二階から飛び降りた。
「ちょっと!」
 落ちてくる彼女はどこか妙だった。けれど、違和感の正体を確認する余裕などなく、拓真はボールを放り出して駆け寄って……絶句した。
 スカートから脚が出ていない。
「うわあ!」
 拓真は後ずさった。少女はにこにこしたまま、手の動きだけで凄まじいスピードを出して彼に向かって来た。下半身のない虫を想起させるような動き。拓真の脚が、放り出してボールを踏んだ。すぐに起き上がって逃げないといけないのに……起き上がり方を忘れてしまった。愛らしい笑顔のまま、少女は拓真に向かってくる。肘を曲げて跳躍する。それを見た拓真は、喉の奥から叫び声を上げた。

なお、参考文献は朝里樹「現代日本怪異辞典(笠間書院)」なんですが、これはサッカーがバスケになっただけでほぼ文献の事例通りです。一応キャプションに書いておこう……。

そして、昨今の高校ってDKが校庭で一人になることってあるのか? とか色々あるんですけど(高校のグラウンドって週のどっかしらどこかの部活が使ってそう)。

なおこの拓真くんは全身のあちこちに噛み傷を作って発見されます。えぐい。生きたまま人間の歯形があるっていうのもなかなか生々しくて怖いですね。

今日の都伝

都伝は仲が良いので、導入では大体和気藹々としています。ギスギス書くの苦手なんだよね。

 東京都千代田区、警視庁本部庁舎地下。都市伝説対策室。
 久遠ルイは生まれつきウェーブがかった頭を掻きながらあくびをしていた。女子高生コンサルタントにして霊能者の五条メグは、壁に設えたミニバスケットゴールに、スポンジ製のバスケットボールを放り込んでいる。的確な狙いで、さっきから連続ゴールを決めていた。
「ナイッシュ」
 ルイが声を掛けると、メグはにっこりと笑う。
「ルイさんもやる?」
「え~? 勤務中だからな」
「五条もそうですよ。お前、それどうしたんだ」
 ルイとメグの間にデスクを構えている桜木アサが眉間に皺を寄せた。この美貌の巡査長はどんな表情をしていても美人だとルイは思っている。ルイも顔が良いと褒められることはあるが、アサの前だと霞んでいる気がした。別に、そこまで自分の顔で得をしようとは思っていないのだが。

桜木アサの美貌設定を忘れないように毎回こうやって書いています。

 メグはまたもさっぱりと返しながら、バスケットボールを投げた。残念、今度は狙いがそれて、壁にぶつかってあらぬ方向へ飛んだ。
「おっと」
 佐崎ナツが、自分のマグカップへ入りそうになったボールを左手でキャッチ。右手で何やら書き付けているポーズで、咄嗟に拾った。ルイはその反射神経に舌を巻く。
「わあ、ごめんね、ナツ」
「良いんだよ」
 都市伝説対策室……通称「都伝」で最年長の警部補は、メグにたいそう甘い。ルイもメグには甘くなってしまう自覚はあるが、ナツはそれに輪を掛けて甘かった。姐御肌だからあまり気にならないが、最近「佐崎さん、五条さんの事溺愛してない?」とルイがアサに尋ねたくらいだ。
「佐崎にも妹がいたそうなので、年下の女が可愛いんだと思いますよ」
「ああ、そうなんだ……」
 確かに、佐崎ナツにはこの上なく「姉」という属性がよく似合った。なるほど、妹がいたなら納得である。

佐崎の天涯孤独設定もここでちらっと匂わせております。

 ナツは首を傾げながらも、左手でぽい、と放り投げた。右手にペンを持っているから、彼女は右利きである。しかし、ボールは綺麗な放物線を描いてゴールに入った。メグが両手を挙げる。
「やったぁ! さすが!」
「ナイッシュ」
 ルイが代わり映えしない文言で褒めると、アサは首を横に振った。
「勤務中だぞ、お前ら」
「通報がない都伝なんて学祭が終わった文芸部の部室みたいなもんだよ。文芸部入ったことないけど」
 文芸部への風評被害を助長しかねないことを言うナツ。なんとなく意味はわかって、ルイがくすりと笑った。その時、室長席の電話がコール音を鳴らす。
「はい、都伝の久遠です」
『交換の足立です。立川署からお電話です。お繋ぎしてよろしいでしょうか?』
「はい、繋いでください」
『繋ぎます』
 ぷつっと音がする。この、交換がフックを落とす瞬間が落ち着かない。ちゃんと繋がらなかったらどうしようと思ってしまう。しかし、きちんと電話は繋がった。男性の声がする。
『あー、どうも、立川署刑事課の安藤と申します。実はちょっとご相談がありましてぇ……』
 市内にある高校に通う二年生の生徒が、一昨日の放課後、校庭で何者かに襲われたと言う。全身の数カ所に噛み傷を作り、校庭で呻いているところを発見された。変質者に襲われたと通報を受けて警察署員が出動したが、被害者は叫んだ。「テケテケに噛まれた」と。
「テケテケ? 下半身がない怪異ですか?」
『はあ、自分も都市伝説っちゅうもんはあんまり詳しくないんですがぁー……なんでも、被害者の大川拓真くんが言うところによると、可愛い女の子だと思ったら下半身がなかったらしくて、それがゴキブリみたいにすごい勢いで自分に飛びかかって噛み付いたっていうんですよねぇ……』
「ゴキ……」
 詳しくない人間に掛かれば怪異も害虫である。
「校内に該当する生徒は?」
『いませんでした。ちょっと、今から捜査資料を送らせていただきたいんですが……』
「わかりました。送って下さい。メールアドレスは……」
『FAXでも良いですか……?』
「良いですよ」
『送ります』
 電話が切れた。しばらくすると、FAXがガーピー言いながら資料を吐き出す。個人情報が一部黒く塗られた捜査資料が届いた。
「FAXよりメールの方が良いと思うんだけどな~。FAXって一つ押し間違えると大惨事だし。メールも場合によってはそうだけど……」
 ルイは呟いた。そうだね、と言ったのはメグとナツで、アサだけが沈黙していた。

昨今の警察署ってどうなんだろう。何か普通に端末でしゅしゅっと送ってきそうな気はする。ただニュース見てると都庁ですらファックスらしいですね。

なお、桜木アサが沈黙するのは500年くらい生きているから、というのもあります。

桜木「1800年代後半くらいからすげぇ発達し始めてもう追いつけない。FAXも電話番号とどう違うのかよくわからない。ほぼ一緒……あ、一つだけ番号違うのか……」
佐崎「いいよ、あたしが送るから……」

みたいな(みたいな、ではない)。

という事で導入が書けました。これから拓真くんに話を聞いて、学校に行ってテケテケに立ち向かいます。

ではまた。

これはとても真面目な話ですが生活費と実績になります。