エンド・40(フォーティー)・エンド
40歳になったので、死ぬ事にした。
長く生きても仕方ないので、人は40歳までに死ぬべきだ。
中学生の頃に徒然草の一文を読んでからずっと、私は40歳になったら死ぬと決めていた。本来は徒然なるまま、40歳になる前に死ぬべきだったのだけど、無駄に何者にもなれなかった日々をドブに捨てていたら、14歳の決意は見事、26年後に終わる未来を引き寄せていた。
幸い私には夫も子供もなく、実家とも縁遠い。仕事も非正規雇用、先日円満契約終了。歳を経るごとに友人達とも縁遠くなり、年賀状は長年10枚以下。ニュースサイトでよく見る、典型的な独身アラフォー女、正に40歳で死ぬにはうってつけの私。
二度と戻ることのない部屋の床には、長年敷きっぱなしだったラグの跡が染み付いていた。ドアの向こうの風景は、もう既に永遠の彼方。私は最後の施錠をして、ガタついたキャリーバッグを引き摺り始めた。
40歳、死への旅路。私の最初の一歩。
【続く】
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