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中島敦を読むことになった話

こんばんは。今日は久しぶりの授業でした。
今期も履修科目は全てオンラインで、画面の向こう側にいる人と話します。
ですが、久しぶりに他の人の声をたくさん聞けて安心しました。

演習で中島敦を読む授業をとります。履修者は10人ほど。
実は前期の終わりに教授から履修生に相談されたので提案したものです。

個人的に中島敦には思い入れがあります。もっと正確にいうと「山月記」にです。
詳しくはこちらの記事に書いてあります。ちなみに、この時中島敦を研究したいとは思わなかったと記憶しています。

そう言いながら、恥ずかしいことに「山月記」以外の中島敦作品を読んだのは大学に入ってからです。少しだけ、その話を書こうと思います。

大学図書館で「百年文庫」というシリーズ物に出会いました。主に近代以後の短編小説を1冊に3本、作者被りが起こらないように100冊のシリーズにしたものです。それぞれの巻に漢字1文字の題名があって、それに合わせて選ばれています。

その35巻『灰』に中島敦の「かめれおん日記」が収められています。生物教師が生徒が持ってきたカメレオンと一緒に生活する、という出来事を描いた作品です。それが久しぶりに読んだ中島敦作品でした。

淡々としているのにどこか影があって、引き込まれました。中島敦が漢文学の影響を強く受けていることは知っていましたが、中国ものでなくても少し硬めの文体は残っていて、それが魅力的でした。

それで感動してしまったので、とりあえず有名どころを、と「文字禍」や「李陵」、「光と風と夢」を読みました。夏休みに入る前に次の学期で中島敦を扱うことが決まったので、夏休みは青空文庫を使って「名人伝」や「盈虚」を読んだ他、今まで読んだものを再読してみました。先行テクストがどうなっているのかとは別に、彼の文体にも考えたい部分がありました。

院生2人の他は皆後輩で、発表のトップバッターになってしまいましたが、発表準備が楽しみです。

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