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【GPT-4】PdMの思考力を磨くためのChatGPTプロンプト術

こんにちは。
株式会社LIFULLでサービス企画・プロダクトマネージャーをやっている井上洸太朗と申します。LIFULL HOME'Sで新機能の開発などを担当しております。

みなさんChatGPT使ってますか?
今後の仕事やプロダクト・サービス、あるいは社会までもが変わりかねないすごい技術が登場しましたね。私も「好奇心7割、危機感3割」でこれからの自分の仕事や担当プロダクトがどのように変わっていくべきかを連日考えています。

この記事では、私のようなサービス企画・プロダクトマネージャーがChatGPTを業務で活用するアイデアを、特にChatGPTが向いていると感じたクリティカルシンキングやロジカルシンキングなどの思考力のサポート(壁打ち相手)という使い方にフォーカスして、3つ紹介したいと思います。

※この記事ではすべてのやりとりにGPT-4を使っています

網羅的に考えるためのプロンプト

例えば、「バナーのクリック率が低い原因」を網羅的に考えたい場合、下記のようなプロンプトをおすすめします。

プロンプト例

私はWebサイトの運営者です。あるページのバナーがあまりクリックされずに困っています。
この原因として下記のようなものを考えています。

■考えられる原因
・バナーが目立たない
・バナーの表示位置が悪い
・バナーの文言に魅力がない
・バナーがページコンテンツと合っていない

これ以外に考えられる原因をMECEに挙げてください。

ポイント

  • 「MECE」という文言を入れて、幅広い観点で可能性を提示してもらう

  • 簡単に思いつくアイデアは予め除外しておくことで、それ以外の可能性にたどり着きやすくする

  • 「Webサイト運営者」などのコンテキスト・前提を入れることでより具体的なアイデアが出やすくする

実際にやってみた

では実際にやってみた結果です。

除外項目を指定していたのですが、それ以外の様々な観点を提示してくれていました。ページの読み込み速度などは見落としがちではないでしょうか。

もう少しアイデアがほしければ「他に考えられますか?」と聞いてみたら、快く他の回答も考えてくれます。

この中から実際に何が要因になっているかは人間である私たちがプロダクトの状況や各種データを元に判断していくのが良いでしょう。

もう少し込み入った相談もしてみたいと思います。
(念のためですが、もちろんすべて架空の話です)

他アプリとの連携など面白いアイデアも出てきました。SWOT的な分析をしてこの中からどのアプローチを強めていくのかを考えてみるのも良さそうです。

批判的な意見をもらうためのプロンプト

自分で立てた仮説が正しいのかどうかを考え抜くために、クリティカルシンキングを使う人も多いかと思います。ChatGPTなら気軽に自分の考えに対して批判的な意見をくれるので、思考のサポートに役立ちます。

では、ChatGPTにクリティカルシンキングのエキスパートになってもらって、私の立てた仮説に批判的な意見をしてもらおうと思います。

プロンプト例

私は転職者向け求人情報サイトの運営者です。
会員登録機能を刷新する上で下記の仮説を立てています。

■仮説
「求人情報サイトに会員登録する場合、なるべく入力が必要な項目が少ない方が良い」

この仮説に対して、クリティカルシンキングの要領で下記の観点から批判的な指摘をしてください。
・そもそもの課題は合っているか?
・他の可能性が検討できているか?
・事実と意見を混同していないか?
・曖昧になっている部分がないか?
・十分に考え抜けているか?

また、指摘を踏まえたより良い仮説を提案してください。

ポイント

  • 指摘の観点を指定することでより細かく具体的な指摘にする

  • 「十分に考え抜けているか?」は総まとめ的な指摘をしてもらう

  • ついでにより良い提案もしてもらう

観点は必要に応じて変更してもらっても良いかも知れません。

実際にやってみた

※長いので質問部分は割愛しました

「そもそも会員登録機能の刷新が必要なの?」という点から指摘してくれました。とても優秀です。他にも「入力項目が少ないことが本当に良いことなのか」「少ないとは具体的にどれぐらいなのか」という本質的な指摘をしてくれて頼もしいです。(本業でこんな指摘されたら泣きそう)

提案された仮説を再度クリティカルシンキングしてもらいましょう。
この場合は細かく観点を指摘しない方が冗長な指摘にならなくて良さそうでした。

内容が繰り返しになってますし、私の目からはあまり真っ当な指摘に見えなくなってきました。もう追加で指摘をしてもらう必要はなさそうです。ここまできたらChatGPTからの指摘を総合して自分で考え仮説をブラッシュアップしていきましょう。

論理的な矛盾点を指摘してもらうプロンプト

クリティカルシンキングの次はロジカルシンキングで、事実や前提から考えた結論に矛盾や問題点がないかを指摘してもらいましょう。

プロンプト例

私は企業向けクラウド人事管理サービスの運営者です。
このサービスにおいて下記の前提から結論を導き出しました。

前提1: 利用会員の解約率が高まっている
前提2: 分析したところ、利用開始3ヶ月以内での解約率が特に上がっていた
前提3: 慢性的な技術的負債の蓄積によるシステム障害の頻発が以前からの課題である
結論: 対策として、全利用企業に対して3ヶ月間の利用料10%引きキャンペーンが必要である

この結論に対して、ロジカルシンキングの要領で下記の観点から問題点を指摘してください。
・前提に疑うべき部分はないか?
・バイアスがかかっていないか?
・結論に対する根拠が不足していないか?
・総合して論理的な矛盾はないか?

また、指摘を踏まえたより良い結論を提案してください。

ポイント

  • 前提と結論を分けて書くことでちゃんと因果関係を伝える

  • クリティカルシンキング同様、観点を指定した方が回答が安定する

実際にやってみた

矛盾点がわかりやすすぎたかも知れませんが、解約率とシステム障害との関係性や、システム障害とキャンペーンとの繋がりの矛盾点がしっかりと指摘されています。
「システム障害が原因だとすると利用開始3か月以内で特に解約率が高くなる理由が説明できない」という点まで言及してくれると嬉しかったけど、まぁ及第点だと思います。

別の例でも試してみましょう。

割とストレートな演繹法なので、ちょっと些末な指摘の部分(根拠の不足など)もありますが、「一般的に成功しているからと言って、本当にあなたのサイトでも成功するの?」という核心を突いてくれたので満足です。

このように複雑な論理の場合は少し不安なところもありますが、大きな問題がないかどうかをチェックするのには使えそうです。

最後に

ご存知の通り現状のChatGPTには下記のような課題があります。

  1. ときどき間違った回答をする

  2. 最新の情報には対応していない

  3. 入力した情報が学習に利用される(一部を除く)

この記事ではなるべくこれらの課題を考慮した上での活用アイデアを紹介しましたが、状況によってこれらの問題を孕む可能性がありますので、常に意識して使う必要があると思います。

また、3つ目の情報セキュリティの課題については、各自・各社のポリシーやルールによって状況が異なると思いますので、今回のご紹介した活用アイデアがみなさんの所属組織でも問題なく利用できるかは確認していただきたいと思います。

最後に少し後ろ向きな話をしましたが、この革新的な技術を使えばプロダクトの価値や仕事の生産性をさらに高めていくことができると思っています。
みなさんが思い付いた活用アイデアもぜひ教えてください!

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