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ショートエッセイ集

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短いのばかりをまとめてみました。お気軽にどうぞ!
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2023年10月の記事一覧

「野に遊ぶ幼い兄弟」

 ある夏の日の夕、僕は、鹿児島市の中心から南へ少し離れた町を歩いていた。  捕虫網を振り…

『君は悲しみの/イルカ』

 その昔、僕がまだ学生だった頃のこと。  夏休みに帰省したとき、 妹の部屋の南側の壁に、…

「面白い偶然 ~ 自分の生年月日と生誕地にみる」

 1932年生まれの母は、僕を産んだ年に 24歳になった。  1924年生まれの父は、僕…

「日本地図クイズ ~ 小学校時代の思い出」

 小学校3~4年のときの担任の先生は、少し変わった先生でした。分裂気質で機嫌の良し悪しの…

「平木君のスピードボール ~ 小学校時代のエピソード」

 昭和40年代前半、僕が小学校6年生だったころの話。我が家は常盤町にあり、僕ら兄妹は、鹿…

「なぜ髭を伸ばし始めたのか? ~ 昔の日記より」

 ある人に言われたことがある。「この人が怒ることあるのかなぁ~」というのが第一印象だった…

「夜のりんご畑で ~ ある知り合いの方から聞いた素敵な話」

 まだ僕が長野県に住んでいた頃、知り合いの男性と一緒に酒を飲んだときのお話。  3歳年上の中学校の音楽の先生だった。飲み屋のカウンター席に並んで、27歳の頃のこんな体験について話してくれた。  ― ある夜、りんご畑の横を歩いていると、月明かりがあたりを照らし、その光の中で見えるものが勢いよく目に飛び込んできた。月の光が地上を照らし、その光が自分の目に跳ね返ってくる。この世のすべてと自分との繋がりを感じ、感動の涙が溢れてきた。自分が何を感動しているのか良く解らない。しかし、外

「郵便局にて ~ 30年前のエピソード」

 その郵便局では、日ごろから一部局員の態度について不愉快な思いをしていた。簡易郵便局など…

「幼児語の世界」

 ある知り合いの方の2歳の息子さんが歌う「チューリップ」の歌。   だいた~ だいた~ …

「赤いスイートピー ~ 初デートの淡い思い出」

 まだ音大の学生だった頃、夏休みに帰省した際に、高校時代の同級生に、ドライヴにでも行かな…

「黄金色の夕焼け ~ 平成20年の日記より」

  平成20年8月1日金曜日  車で帰宅途中、玉江橋上から西の空が金色に輝いているのが見…

「時とともに変化する言語感覚」

 今では普通に耳にする言葉ですが、かつてはそうではありませんでした。  2006年の自分…

「7秒間の第三種接近遭遇」

 相手はETではない。  だが、あの頃の僕にとっては、それ以上に遠い空間の生き物だったか…

「叫ぶ少女」

 ある街で、下校途中の小学生が喧嘩をしている場面に出くわした。  4年生か5年生ぐらいだったろうか・・・。男の子が煽りたて、女の子が怒りを募らせる。ありがちなパターンだ。  だが、男の子のヒールぶりが、なんというか、まるでもうドラマの場面のように憎々しい。それに対する勝気そうな女の子、怒りがもう我慢の限界に達し、爆発寸前だ。男の子が何を言っているのかまでは聞き取れなかったが、女の子の張りのあるソプラノが、周囲に響き渡った。  「馬鹿にしてるんでしょう!!」  そう言った