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待ち合わせ - バッテリー死亡 -

先日、ニューヨークのタイムズスクエアに設置されていた最後の電話ボックスの撤去作業が行われた記事を見かけた。

タイムズスクエアのような観光地だったら、
きっとたくさんの人が使っただろうし、たくさんのドラマがあっただろうな、なんて想像してしまいます。

そんなことを考えていたら、ふと数年前の「待ち合わせ」を思い出し、
ここに書いてみようと思いました。

私のiPhoneのバッテリーの持ちが急激に悪くなって、
外出すると2〜3時間でバッテリーが無くなってしまう。
そんな中、なんとか友人と待ち合わせをした。という話です。

私はその日東京都内の美術館の展示会に行こうと思い、出かけました。
都内まで1時間ほどかかるとこに住んでいるのですが、都内の乗り換えに慣れておらず、都内に出るときは必ずYahooの乗換案内アプリを使用しています。

事前にスクリーンショットしていた乗り換え案内の写真を確認する。
【バッテリー残り93%】

あまり都内に出ることはないので、突発的なアイデアで友人にせっかくだから会おうと思い、今日都内に出るんだけど、展示を見終わった頃会えたりする?とラインしておく。
【バッテリー残高80%】

美術館の最寄駅より近い✖️✖️駅なら10分ぐらいで行けるから展示会見終わったら連絡ちょうだい!と友人から返事をもらう。
【バッテリー残高72%】

まずい、このままでは友達と会う前にバッテリーがなくなってしまう。
私は友人の携帯番号を聞いておこうと思い、もう少しでバッテリ切れちゃうから念の為携帯番号教えて!とラインをする。
【バッテリー残高64%】

友人から携帯番号のラインが送られる。
急いでレシートの裏に電話番号をメモして、財布にしまう。
【バッテリー残高55%】

展示会観覧中、撮影可能でどうしても好きな作品だけ数枚写真を撮る。
【バッテリー残高20%】
ついに低電力モードに切り替わる

展示会を見終わって、トイレに行き、
今、見終わったからこれから、ここの最寄り●●駅に向かうね。
また駅に着いたら連絡する!と返信。
ここでついにバッテリー死亡。

とりあえず●●駅に向かう。
地下鉄入口階段前の緑の公衆電話ボックスに入る。
少し暑苦しい電話ボックスの中。
この感覚、懐かしい。
緊急時の為に入れてた、残高が中途半端に残ってるテレホンカードを数枚財布から出す。

友達に電話をかけるが、留守電に繋がってしまう。
「今、●●駅まだ来たから、これから✖️✖️駅に向かうね。
多分10分くらいで着くから着いたら改札で待ってるね」
ガチャ。ピーピーピー
テレホンカードがはき出される。
なんとか1枚のテレホンカードでもった。

久しぶりの電話ボックスの狭い空間と、
持っているテレホンカードでかけれるかの心配と、
慣れていない留守番電話へのメッセージ録音に
電話ボックスから出ると真冬なのに汗をかいていた自分がいた。

それから地下鉄入口の階段を降り、電車に乗って待ち合わせ場所の✖️✖️駅に着く。
改札の横でただただ待つ時間。
ソワソワしていた。
つい先週会ったばかりの友達との待ち合わせなのに。

留守電聞いてくれたかな。
ここ分かるかな。ちゃんと✖️✖️駅って言ったよね。
駅にある時計を見ながらそんなことをぐるぐる考える。
携帯使えないのに、つい癖でコートのポケットから出してしまう。

しばらくすると人ごみの中から見覚えのある顔が見えた。

「あっちゃん!」
思わず叫んでいた。
「会えたー!!良かったー!!!」
ただの待ち合わせなのに、何十年ぶりかのような再会の仕方をしていた自分達がいた。

多分周りから見たら、高い声ではしゃいでるみっともない痛い30代女性に見えただろう。

でもただただ嬉しかった。
あのドキドキはなんだか楽しかったなぁ。

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