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変わりゆくこと


もともと、変化が好きだった


住む土地が変わり、新しい空気を吸う

通う学校や職場が変わり、共有する前提やコミュニケーションの様式がインストールされる

お付き合いをする人が変わり、大切にしたい価値観を分かち合う

もちろん、不安や緊張を伴うのだけれど
変化するたびに、新しい自分がつくられる


「変化」ということばに内包される印象は、おおむね前進、成長、刺激、とかの明るいものだった


変化という刺激の中に身を置くことで、自分の輪郭を掴もうとしていたのかもしれない



でも、なぜか今は、変化が怖い


「私の好きなものたちよ、どうか変わらないでほしい」そう心で願ってしまう

そして、「変わらないで」と願ってしまったら
その瞬間から変わっていく

自分がコントロールできるものは、ほんとうに少ない
変化の渦は常に生まれ続けている

世界から対象を切り取って、「変わらないで」と願うことそのものが、矛盾を孕む


それは、私が私として大切にしたいことが見えてきたからなのかもしれない

心地いい空気感、リズム、波長
認識できると、センサーが働いて出会えるようになる



でも、これまでに何回も出会えたことは、ない



そして、大事にすればするほど、換えの効かない存在になってゆく


あなたたちとの愛しい日々が忘れられなくて
この場を守り続り続けようと
磁場の狂った環境から抜け出せなくなっている

大切にしていた何かを失ってしまう気がして
もう何年も、脈の通っていない土を捏ね続けている

一度身体に染み渡ったことばがあたたかくて、隣にいられない夜はつめたくて、この沼にずっと沈んでいたくなる


変わらずにあるものなんてない
そんなの知ってる

見えないフリはできない
目に入ってきちゃうもん


大切にしたいものを、抱えすぎている
いまの私の器を超えている気がする

ほんとうはこうしたいという想いがあるのに
叶えられない


これからも、この侘しさを抱えて生きていくのだろう


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