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マニュアル運転

稀に開催するPOP-UPや、直接お会いした方に
「サボテンて放っといても平気なんでしょ?」とのご意見を貰うことがあるので
サボテンやその他東京闇市で扱っている植物に関してどう見えているか、考えているか可視化してみようと思います。

先ず、サボテンが放置してても平気か?と言う問いに関して。
極論、環境がしっかり整っていれば
ある種の放置時間は生まれます。
その環境作りがものすごく難しいです。
そして、環境に合わせて管理を行うという事も同じくらい大事で難しいです。

サボ爺様方が安くて簡単なものから始めてご覧というのも、長年やってきた積み重ねを全て凝縮して出てきた非常にシンプルな言葉だと思います。

僕自身はマニュアル運転や冬眠をする変温動物に例えてお話をすることが多いです。

寿命が長いと言われている亀を買ってきて、放置しても生きると思いますか?
僕は思わない。
餌、加温ライト、健康維持のためのライト、水槽なりケージなり。土やバークチップの入れ替え。冬場の管理云々。あげればキリがないほどやることはあります。
どんなに可愛がっても餌を与えなければ普通に死にます。愛としっかり管理することは別物です。

車でもマニュアル車の場合、シチュエーションに合わせてギアを入れ換えて自分で操作します。ローギアのまま無理をすれば車も壊れます。
そういう意味で勝手に変速てくれるオートマ車ではありません。

オートマに近いものはないのかと言われるとやり方によってはあります(闇市では扱ってませんが)
それはホームセンターや園芸店で売っている数百円から二、三千円クラスのもの。

何故安い方がオートマに近いのか?
それは安いからです。
安い理由は
・よく育つ(早い)
・枯れにくい
・増やしやすい
・運搬しやすい
などの条件を持っているから。
ぶっちゃけ植物に限ったことではありませんね。

逆の条件のものは個体数も必然的に少ないので、当然高くなっていきますし、管理難易度も上がっていきます。東京闇市で扱うものの殆どがそれに分類されます。

殆ど?と思った方、鋭い!ちゃんと読んでくれてありがとございます笑

闇市の中でも更に細かく言うと
管理の難易度には差があります。
上記と重複しますが
・よく育つ
・枯れにくい
です。
よく育つには細かく書くと
・早く育つ
・大きくなる

枯れにくいには
・環境の変化に順応してくれる
・根張りが良い
・病気になりづらい
・ダメージからの回復が出来る
があります。

それは株の種類やサイズであったり、雑に書くと物によります。

植物を育成する中でもう一段階上に
“上手に育てる”があります
上手とは
・枯らさず健康的に
・個体を増やす
・形を整えていく(理想に近づける)
だと考えています。

上手じゃなくても楽しく、枯らさずにいこうと言う方は
・熱
・水
・光
・風
を意識して、その次に土や肥料を見てあげれば大体大丈夫です。徒長もご愛嬌や成長とポジティブに考えて、ご自身が良ければそれで万事オッケーです。

ここからは更に細かく深いところになっていきますが

同じ品種、同じ樹齢、同じサイズでも、管理難易度が違う場合があります
※株次第は敢えて言いません

それは名人株か、そうでないか。
何故名人たちは名人と呼ばれているか。
それは
・上手に作る
・上手に個体繁殖を行う
・何世代もかけて親木を作る場合が多い

から。株を沢山持っていれば、詳しければ名人と言うわけではありません。このことに関してはまた別の話もあるのでそれは違う機会に書きます。

サボテン名人の上手とは一体何か?
これは管理方法、育成方法が大きく起因してきます。
例をあげると、成長が世界で一番ゆっくりなサボテンである花籠。これは1年に1,2ミリしか大きくならないと一般的に知られています。厳密にはある程度の大きさから加速度的に大きくなる場合があるとも言われていますが、例えば僕が
30年かけて実生で3-3.6センチに育てたとしましょう。彼らはその倍以上は大きく且つ格好よく仕上げます。
え?一般論と全然違くない?
そうです、全然違うんです。
僕は見せてもらった時驚愕しました。

サボテンは主に極度乾燥地が自生地。なのでベースは常に自生地に照らし合わせる考えがあります。
彼らは側から見ると大丈夫かと思うようなバランスで湿度管理、温度管理、植え替え頻度の綱渡りをさも当たり前にしています(勿論そこに行き着くまでに恐ろしいほどの屍を生み出して空論よりも経験からくる確かな技術で成り立っています)

成長速度を上げることで形の維持も難しいはずなのにこれまた上手に光や温度、親木の特性の引き継ぎなどで今日もせっせと美しい株を生み出すことに尽力しています。

個体繁殖に関してはオプションなので、場所問題や個人のスタンス次第という観点から割愛しますが、選抜された親木、何世代と作り込まれた親木を用いて作られたサボテンには、交配させて作っただけの株とは、将来性も当然変わってきます。

更に選抜球として名を冠して出てくるような品は名人株の中でも1-2割にも満たない正に特別なお品です。さながらスーパーカーと呼ばれる類。

じゃぁみんながスーパーカーに乗れるか?
お財布事情、技術面、そして最後に気持ち面で人によるでしょう。

長々と書きましたが、スーパーカーと市販のマニュアル車でも大きく難易度は変わりますので

同じ品種で、手頃に、且つある程度難易度を下げて管理したい場合は
名人以外の割かしのんびりと楽しむよ〜なスタンスの方々が育成した株の方が幾許かは丈夫で安価です。
5年くらい植え替えてないんだよね〜と言うことは少なくとも5年は植え替えせずとも元気に生きてこれた株という判断材料にもなりますので。

東京闇市でご案内している4割位はそういった中から個性の光株を探し出してご案内しています。 

どちらが優れているかはサボテン界のオーダーではどうしてもありますが、個人的にはどらちも違った良いところがあり、大事なのはその株を見て良さがあるか感じられるかかなと。

今回記事を読んでみてとてもとてもハードルは上がり続けるし、こりゃダメだと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが

僕としてはスーパーカーを所有する楽しさや特別感、そして作り込む楽しさをより感じてもらえたらと思っています。
ステータスメインは否定はしませんが闇市の価値観ではないので以下略。。。

少し棘のある言い方をすれば僕が何を言おうと、欲しいと思うdesireや好きだと言うLoveとpassionを持っている方は勝手に始めるとも思っています。

場所が無ければ作るし、軍資金事情ならどうにかするし、僕自身もそうやって多少のパワープレイをしながら推し進めてきました。

僕は自分がそうやってきたので、やっぱり無理したなと思うところは皆さんにリスクとしてお話しして無理しないでねと言ってますが、無理に止めよう抑え込もうとも思ってません。
人の心の火を消すのは僕の本意ではないので。

今後も様々な植物をご紹介する中で、名人株というものが出てきた時に、どう違うか自分がどう付き合っていくかのポジティブな選択肢として今回の投稿が役に立てば嬉しい限りです。

公開後も適切なワードや例えが見つかれば少し改編するかもしれません🙇‍♂️

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