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川のほとりに立つ者は 感想メモ

盛大にネタバレしています。



私はADHDと大人になってから診断されて、兄弟も自閉症と発達障害と知的障害を抱えていること、障害を持つ人と接する仕事をしていたことから、勉強したり当事者に世界はどう見えるか、ちょっとだけわかる人で。
清瀬みたいに「川のほとりに立つ者」ではなく「川の浅瀬で時々溺れる者」なんですけれども。

読み進めていくうちに、いっちゃんLDなんだ、たいへんだよなあ。
品川さん、なんとなくわかってたけどADHDなんだな〜。そして定型発達の人(障害について知識のない人)からはこう見えるんだ…となって胸がぎゅっと苦しくなった。

私は、親、教師や上司に「ちゃんとしなさい」「普通にしなさい」と何度も言われて「やっとるわ!!!」と心の中でキレ散らかしていました。
ちゃんとしてるしそれが私の普通だもん。あなたの普通って本当に普通?いつ集計とった?と言いたかった。
喧嘩になるので「次から気をつけます」と耳障りの良い言葉でその場を切り抜けたけど。

あ〜あと天音さんについて…いやほんと、運が良いか悪いかなんだよなあ…責める気にはなれないよ…うん…と思ったけど時計盗むのと人のカードで買い物するのはだめです!!!
でもあなたの、「大吉」の飴袋を大事に持ち歩いてるところ、私は好ましく思ってます。幸せになってね…。

本文に出てくる、いっちゃんの「みんなが同じ速さで歩けるわけない」はほんとに…そうね…となった。
ゆっくり歩きたくない人は先行けばいい。ゆっくり歩いてりゃそのうち着くんだから。
まぁ、そんなの団体行動をする所では詭弁なので、ゆっくり歩く人にペースを合わせるのですが、早く歩きたい人は不満ですよね。わかってます。いつもこちらに合わせて頂き誠にありがとうございます。

清瀬はあくまでも「川のほとりに立つ者」で、水の底には飛び込まないんだよなあ。まあでも石の柄が色々あると知ってる人と知らない人とでは大きな差があるよなあ。

友人の感想を聞いて、「確かに…」と、清瀬の残酷さについてうーんと考える。
「恵まれた子」なので、家族仲があまりよくないことの本質を理解できないし、天音に(してみれば)上から目線で手を差し伸べるような子。
それが正しい清瀬なんだよな〜。
松木と一緒に、正しくないとされることにも耳を傾けて、行動も変わればいいね、清瀬。まぁ、それも篠ちゃんに言わせれば「コンディションによる」なのかな。

とにかく、寺地はるな先生の鋭さと言語化に今回も恐れおののきました。
読んでよかった。誰かに「ねぇ読んだ?」と聞きたくなる大事な1冊です。

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