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僕にかけられた"絶対"の呪い

お久しぶりです。ここ最近忙しくてなかなか更新できていませんでした。
つまらないものですが読んでいただけると幸いです。


突然ですがこれを読んでいる人は呪いを信じているだろうか?

つい最近プーチン大統領に呪いの藁人形で呪いをかけるといった事件があったがそういう類ではない。どちらかというと"言霊"というべきか。

例えば親や教師から「お前はダメだ。」「だからお前は頭が悪いんだ。」と言われ続けると本当にそうなっていくこと、あるいは逆に肯定され続けることにより自信たっぷりの人間に成長するといったように、人間というのは自分の存在に対してあれこれ言われ続けることにより本当にそうなっていってしまうものなのだ。僕は周りから否定され続けて育ち、こんなにも卑屈な人間になったが、今回は僕が言われるとほぼ必ず失敗に陥ってしまう呪いの言葉について話していこうと思う。
最初の流れから「またこいつはネガティブなことを言うのか。」と思ったかもしれないが今回はそうではないので気楽に見てほしい。



皆は人に何かを頼むときや注意をするときに強調の意味合いとして何をつけるだろうか?そう、

絶対に~するなよ!

とか、

絶対に~しろよ!

とか言わないだろうか?そりゃあ言うだろうな。それほどまでに相手に真剣な思いを伝えたいのだから。
だけどな・・・気持ちはすごくわかるんだけどな・・・

マジでやめろ!!!!!

僕は声を大にして言いたい。

マジでやめろ!!!!!やめろ!!!

やめろーーーーーーーーー!!!!!!!!

ってね。

僕がこれほどまでに"絶対"という言葉を嫌がるには訳がある。


僕が小さいころのことだ。父がベランダで作業をしていたんだ。

こんな広くないけど。一応言うけど拾い画だ。

何を作業していたんだっけ、たしかメダカの世話だったか、掃除だったか・・・とにかく父はベランダにいた。
だけど覚えている。ベランダに出る前に父は言ったんだ。
絶対にカギを閉めてはいけない。」と。
うちの父は何故か知らないが昼間でも明かりをつけずカーテンを閉め切る人だった。そして僕は漫画を読んだりテレビを見たりしていたのだけど、数時間後にベランダのカギを閉めてから別の部屋に行ってしまった。ちょうどカギのところだけカーテンが開いていたからだ。子供だったし、数時間前のことなんて言われなければ思い出せない。後になって父がいないことに気づいたが既に兄が気づいてカギを開けたらしかった。
父は怒って僕に「絶対にカギを閉めるな」と何度も言ったが当時から頭の悪かった僕は何度も同じことをしてしまい父がカンカンに怒り狂っていた記憶がある。弁解するなら、当時の僕は幼稚園生で、頭の悪い馬鹿な幼児だったということだろうな・・・。

まだある。小学生になると親のいない時間帯に帰ってくることがある。つまり家のカギは閉まっているわけで僕がカギを開けなければいけない。そう、母は僕に言ったのだ。
絶対に家のカギをなくしちゃいけないよ。」と。

その言葉を覚えていた僕は(なくなるわけがないのに)ランドセルからカギを取り出し手に持っていた。カギ単体で存在するのではなくひもがつけられていたため何気なく振り回しながら帰ったのを覚えている。
なくすわけがない、とその時まで思っていたのだが家に帰ると手に持っていたはずのカギがなくなっていた!必死に記憶をたどり、通学路を戻り探したのだがカギはどこにもなかった・・・。

結局家族が帰ってくるまで待って一緒に家に入ったのだった。そしてカギは何故か足を踏み入れていない(少なくとも記憶の中では)グラウンドで見つかった・・・。

他にもある。僕はサッカーを高校までやっていて、ポジションはキーパーだった。キーパーというのはディフェンスにおける最後の砦であり、僕の負けはチームの負けに直結する。だからこそ僕は真剣に練習したし、それこそシュートは顔面や股間に当たっても防ぐつもりだった。
しかしどうしても"絶対"の呪いには勝てなかった。

"絶対"という言葉は試合中では確実に成功しなければいけないときに言うことが多い。例えば偶然ゴールががら空きになって得点のチャンスが生まれたときやルーズボールを先にとれるチャンスがあるとき、あるいはボールがポーンと浮かび手を使うことができるキーパーならほぼ確実にキャッチできるであろうとき、とかね。

相手選手がシュートを打つ。しかしゴールポストに当たり、ボールは空高く打ち上げられる。相手選手がヘディングをするためジャンプをしようと身構える、あるいは僕からポジションを奪いシュートを決めるためタックルをしてくる。味方選手は相手選手の自由を奪うため体を張って守り、ペナルティエリア内でいつでもボールを奪えるよう中盤の選手も下りてくる。しかし僕がキャッチすればすべて杞憂に終わる。キーパーからのパントキックで一気にカウンターのチャンスである。
「とれる!!!」そう僕が思った矢先味方選手は口をそろえて言うのだ!
「「「「「絶対にとれ!!!!」」」」」
「っ!!」一気に僕にプレッシャーが押しかかる。しかし気にしていられない。ここはボールをとるのだ!
「「とれ!!!絶対にとれ!」」
ベンチの選手も言う!
「「「絶対にとれよ!」」」「「絶対にとれるよ!」」

僕の頭の中は即座に”絶対”に埋め尽くされる。
(絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対)
うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

頭の中がこんがらがってくる。普段なら、皮肉なことに"絶対"にとれるボールが歪な動きで落ちてきて・・・

ボールを落としてしまった。。。

そしてそのわずかなスキを逃さなかった相手に・・・決められてしまった。

こうしたことを何回か繰り返してしまい、僕はチームメイトに言った。
絶対にとれとか・・・言わないでくれ。」と。


最後にもう一つだけ紹介しよう。今はもう辞めているのだが僕はガソリンスタンドでバイトをしていた。

バイトを始めてから数日、先輩の人たちが僕に付いて仕事を教えてくれるのだ。
「トラックが来たら案内をして・・・」
「空気圧のチェックはここをこうして・・・」
「あぁゴミがたまってきたら」


とまぁこんな風にあれこれ教えてくれるのだが、これがまぁこんがらがってくる。何か月も経てば当然のようにできるのだが入ったばかりの時は環境に慣れていないためなかなか仕事が覚えられない。だから僕は必死に頭を回転させて考えていた。
(給油をするときは最初に記録を取って、カードを通してここのボタンを押して・・・)
とまぁ今から考えればこんな簡単なことがって感じなのだが、会社支給のカードを使う人、クレジットカードを使う人、現金を使う人やその他オプションを加える人などもいてこんがらがるのだ。
そしてあの言葉がやってくる。

「ガソリン満タンで。灰皿掃除とごみを片付けて、あとタンクは一つ壊れているから後ろのほうにだけ入れてください。」
(なるほど、前のタンクではなく後ろのタンクだけ満タンだな。そして灰皿とごみを片付けるんだな。)
当時付いていた社員の人に注文内容を伝え、そして彼は言ったのだ。
絶対に間違えないでね。もし間違えたら事故になる危険性が~」
社員の彼は間違えたときの危険性をあれこれ説明して、これがまた怖い説明なのだ。人が死ぬ危険性や事故で火事が起こる危険性などを話すのだから。
そして僕の頭の中は再度やつに支配される。
(絶対に間違えない。絶対に間違えない絶対に間違えない絶対に間違えない絶対に間違えない前のタンクは壊れてる前のタンクは壊れてる前のタンクは壊れてるごみを片付ける次は灰皿本当に灰皿も間違いはない社員の人に怒られたらどうしよう何か間違えてない?いや大丈夫なはず前のタンクがダメごみを片付けるごみを片付ける灰皿も片付ける絶対に間違えない絶対に間違えない絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に)

あぁ!!!!!

社員の人が声を叫ぶ。何事だ!?と思ったが、そう僕はやらかしていた。前のタンクに給油してしまっていた・・・。また、やってしまった。

結局間違って給油したタンクは社員の人が洗浄しお詫びの品を渡して運転手の人に謝ってくれたのだが、当時の僕がどれほど肩身の狭い思いをしたのかは言うまでもあるまい。幸いだったのは社員の人が笑って済ませてくれたことと、次のシフトの際に同じ運転手の人が「もうミスるなよ。」と笑って済ませてくれたことだろう。とはいえ一歩間違えば大惨事になっていたであろうことは語るまでもない。



まだまだ僕のやらかしはあるのだが枚挙に暇がない。とにかく僕は"絶対"という言葉を使われるとひたすらに間違えるのだ。だから今では逆に言っている。「絶対にとか絶対に言わないで」と。

強迫性障害に近いが、今では非常に念入りに確認するようにして少しでも間違いが起こる可能性を下げている。
皆は自分だけの呪いの言葉とかあるだろうか?もしあったらコメント欄で教えてほしい。

ではでは、また次の記事で会いましょう!

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