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人はなぜ人混みでマスクをしないのか~アイゼンと計画的行動理論~

↑ 以前、ニュースで潮干狩りに行くひとたちの様子を見て怒りがおさまらなかった私が書いたnoteの記事。このときは「道徳性発達理論」を紹介しながらメラメラと燃え上がった怒りの炎を鎮火させました。。

そして、少し前にあった「マスク反対運動」

「ノーマスク」運動とかもうせっかく鎮火した炎がふたたびメラメラと燃え上がりそうでした。

でも、街中にでると人混みのなかでもちらほらマスクをしない人がでてくる。

「マスクをする」「マスクをしない」この人の行動を分けるのはなんなのか。

今日は組織心理学の授業で出会った理論を紹介しながら、このマスクつけるつけない問題を例えに解説してみます。(もちろんマスクは一例で、どんな行動にも応用することができます)

※先にお断りを入れておきますが、感覚過敏でマスクがつけられない方がいらっしゃるのは承知しております。そういった背景がなく、「意図的に」マスクをつけないという場合の話で進めさせていただきます。

マスクがつけられない方もいるのはしっかり知っておくことが必要!

ではいきます!

Isek Ajzen (アイセック・アイゼン)と The Theory of Planned Behavior (TPB)

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社会心理学者のIsek Ajzen(アイセック・アイゼン)さん。

78歳でUniversity of Massachusetts Amherstの名誉教授です。

彼がなぜこんなにも有名かというと、1991年に the Theory of Planned Behavior (計画的行動理論、予定行動理論)を提唱したからです!では、それがいったいどんなものなのかを見てみます。

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こちらがモデルを図であらわしたもの。

このモデルは「計画的行動理論」という名の通り、人が何か行動をするときにどんな要因がかかわるのかを表している。

まず、

①Attitude (行動に対する自分の評価、態度)

②Subjective norms (社会からの圧や対人関係からくる圧)

③Perceived behavioral control (自分ができるかどうかのコントロールする力)

この上記3つが、Intention (意図) をつくり、

Intention (意図) が behavior (行動)に繋がる、というもの。

意図を生み出す3つの要因

①②③について細かくみていきます。

①Attitude

The degree to which a person has a favorable or unfavorable evaluation of the behavior in question. (その行動に対して、好ましいか好ましくないかという評価の程度)

要は、私達は何か行動を起こすときに自分の中で瞬時にそれが好ましいか好ましくないかを評価しています。好ましい度合いが高ければ意図につながるし、なんかやだなぁと度合いが低ければ意図は起こらない。

②Subjective norms

A social factor representing the perceived social pressure for or against the behavior. (その行動に対して賛成あるいは反対を示す社会的な圧力)

これは以前の「コールバーグの道徳的発達理論」のステージ③と④と近いかんじです。subjective norms (客観的な原則)ということで、社会のなかでその行動はどのように思われるか、他人からどのような見られ方をするか、という自分以外の圧力。

③Perceived behavioral control

The perceived ease or difficulty of performing the behavior, assumed to reflect past experience and anticipated obstacles. (過去の経験や予期する障害は何かを判断基準として、その行動が実行にうつしやすいかどうか)

これまでの経験とかから判断して、その行動をできるかできないか自分でコントロールする力。キャパとも同じかんじなのかな。

そして、この①②③が揃って

マスクをつける、つけないの違いは何か

きっと、マスクをつける・つけないの行動ひとつとってもこれらの①②③が複雑に絡み合っているんだとおもう。

たとえば、

①Attitudeなら、マスクをつけるのは好ましくない:呼吸が苦しい、話しにくい、メイクが崩れる、などなど。つけること < つけないこと の方が好ましいと思う。

②Subjective normsなら、「マスク着用」という社会の圧に逆に反発したい、ノーマスク運動に友人に誘われてそのひとがつけてないから自分もつけたくないなど。

③Perceived behavioral controlなら、マスクを買うお金がない、マスクが手に入らない(今はそんなことないけど)など「マスクをつける」というコントロール力が低いなど。

そういった3つの要因から「マスクをつけない」という意図がつくりだされて行動に繋がる・・・

これにコールバーグの道徳性発達理論がかけあわされて、その行動に繋がるんでしょうか・・・

マスクの例だけじゃなくて日常のあらゆる行動がこれにあてはまるから、モデル化されたアイゼンさんの理論は有名になったんだろうな。

もう寝てしまうか、もう少し課題頑張るか

①:眠い、やりたくない

②:22時に寝るのは健康にいい、夜更かしはよくないという社会的な圧(そんなのないか)

③:眠すぎて集中できないのでキャパがもうない

意図:もう寝よう

行動:おやすみなさい

是非、その行動を起こすべきか迷っているそこのあなたも、この理論をちょこっと応用してみると答えが見つかるかも。。


※ちなみにこの理論は本来は組織行動学ででてくるもので、勝手に私が他のことに応用しました!でもたぶん応用できる、たぶん。

参考文献

Ajzen Icek. (1991). The theory of planned behavior. Organizational behavior and human decision process 50, no.2. 179-211.


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