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with corona時代にハンバーガー屋が教えてくれたこと

先日、ハフライブ主催の「飲み会がない今こそ大人の学びを考える」といディスカッション型ウェビナーを視聴した。

登壇者は中原淳先生、ロンブーの淳さん、現役大学生CEOの辻愛沙子さん、そしてハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎さん。

とにかくこのメンバーがどんな話を繰り広げるのか期待値マックスで臨んだら、はるかに期待値を上回る面白さだった。

中原先生が繰り返しおっしゃっていたのが、「大人の学びは変化しつづけること」。

つまり、

世の中の変化に応じて自分を変えていくこと

自分の周りにあるものを変えていくこと

そう、自分も周りも変わりつづけていくことこそが大人の学びだそうだ。

そして最近、この定義をまさに象徴する話があったので忘れないうちにnoteに残しておくこととする。

ハンバーガー屋が教えてくれたこと

私が通うニューヨークにあるコロンビア大学のキャンパスから7分ほど歩くと、Mel's Burger Barというお店がある。

https://www.melsburgerbar.com


私は行ったことないのだが、どうやらあの天下のシェイクシャック様よりも美味しいという口コミがあるほどなので相当美味しいことは間違いない。

ハンバーガー屋さん+バーが組み合わさった、ビール片手にチーズバーガーをがぶりと頬張れる夢のような場所だ(私はお酒飲めないけど)。


近くのスーパーに買い物にいくときいつも横目に通りすぎていたのだけど、大量の買い物袋を両手に抱え、お酒も飲めない私があえて入るような店じゃないよなと存在は知っていたが素通りしていた。


なぜいきなりこのハンバーガー屋さんを思い出したのかというと、先日、2ヶ月ぶりにニューヨークに残っているコロンビアの友人Sちゃんとzoomをしたときに会話にでてきたからだ。


話のなかでSちゃんが「メルズバーガーってあるじゃん、あそこよくビールとかだけ飲みに行ったりしてたんだけどね、バーだから今まで一切テイクアウトしてなかったのに突然始めたんだよね」


ふんふん。新型コロナウイルスの影響で現在ニューヨーク市内ではテイクアウトができないレストランは休業するように指令がでている。そのため、このメルズバーガーのように今までテイクアウトをしていなかった店が突然テイクアウトを始めるのは珍しいことではない。


しかし、Mel's burger がすごいのはここから。


Sちゃんはこう言う。「それでさ、しばらくしてまた前通ったらさ『なんでも屋さんはじめました』ってでっかい看板がでてたんだよね」


なんでも屋さん・・・?


「そうそう、トイレットペーパーとか売ってた


思わずzoomで画面越しに「え?」って顔でSちゃん見ちゃった。

トイレットペーパー?・・・えっと、今ハンバーガー屋さんの話してたんだよ、ね?ね?


ハンバーガーとトイレットペーパー、なんだこの結びつかなさは。

月とすっぽん、猫に小判、豚に真珠、てきなかんじで新しいことわざになるんじゃないか。

それくらい字面がすごい、ハンバーガーとトイレットペーパー。


でもこれがもう本当でね、

ためしに Mel's Burger toilet paperって調べたら、ほんまにでてきた


え、Toilet paper single roll $1 , Hand soap $12, Pasta Sauce $8.75, Olive Oil...

しれっと書いてあったわ、デリバリーのページに。

ハンバーガー1つ、フライドポテト1つ、ビール1つ、トイレットペーパー1巻ください、みたいなかんじなのかな

ネットで調べたら写真もたくさんでてきた


ミルク、シリアル、アメリカンチーズ、ハインツのケチャップ、ベーコン、

ちょっ、後半3つは使ってる具材と調味料でしょ絶対!!

ハンバーガー屋でチーズとベーコン売ってるお店、見たことあります?

そっち売るんかーい!!って関西人の鋭いツッコミ入りそう。

この衝撃たるや。。


でもね、

わたし、このメルズバーガーの話聞いて冒頭と結びついたのよ

「ああ、これぞ環境に置いていかれないように変わり続けることなんだ」って。

変わりつづけるということ

店で食べられなくなった。だからテイクアウトを始めた。

さらにテイクアウトだけじゃ売り上げが落ちた。だからなんでも屋さんになった。

お客さんがトイレットペーパーなくて困ってる。それなら売ればいい。

この時期のニューヨークは本当にあちこちハシゴしないとトイレットペーパーが見つからないくらいに品薄だった(私も半泣きになりながらドラッグストアをハシゴした)。


メルズバーガーがしたことは2つ。

①環境に適応するために変わりつづけること

②ハンバーガー屋からなんでも屋に変わることで客のターゲットを変えること

まさに冒頭にでてきた「おとなの学び」の2つと一致する。

この柔軟性、適応力、変化する「ちから」

ハンバーガー屋さんがバターとか石けんとかトイレットペーパーを売っちゃう時代。

これこそが今の時代に求められる「変化力」なのかもしれない。

個人も、組織も、「これは~すべき」という発想を取っ払って、もう変わりつづけるしかないのだ。

最後に、Mel's burgerのホームページはこんな説明がある。とても素敵だったので優秀なdeepl(翻訳サイト)に訳していただこう。

We frequently are asked the above question, and while the simple answer is, "Our Chef's grandfather," it really doesn't serve as a complete explanation. Mel was a regular guy who enjoyed the simpler things in life. He was a firm believer that nothing can substitute a handshake when making a deal, a hug when a person is in need, and the sound of a group of friends laughing at the recollection of a past experience. 

「Melってだれですか?」このような質問をよく受けますが、「シェフの祖父」というシンプルな答えではありますが、それだけでは完全な説明にはなりません。メルは人生の中でシンプルなことを楽しむ普通の人でした。彼は、取引をするときの握手、困っている人がいるときのハグ、過去の経験を思い出して笑う友人のグループの音に代わるものは何もないと固く信じていました。

Today's digital world sees contracts being signed electronically, compassion being showed with an emoji, and levels of hilarity being expressed by texting multiple H's and A's. It is an increasingly impersonal world that we live in, and Mel wouldn't have liked it. However, what technology has not replaced, and never will be able to, is the experience of heading down to your favorite watering hole with your friends, grabbing a table or bellying up to the bar, clinking glasses, and whiling away the hours while you imbibe. It is this shared experience, this age old tradition that is at the heart of Mel's. We at Mel's believe that life is personal, and we aimed to build a restaurant that supported that belief. 

今日のデジタルの世界では、契約書は電子的に署名され、感情は絵文字で示され、複数のHとAのテキストを使用して(英語のメールではおもしろさのレベルをhaha hahahaなどで表す)、レベルの笑いを表現することができます。私たちが生きている世界はますます非人間的になっており、メルはそれを好まなかったでしょう。しかし、テクノロジーに取って代わられていないのは、友人とお気に入りの水飲み場に向かい、テーブルを取ったり、バーに向かって横になったりしながら、グラスを握りしめ、酒を飲みながら時間をつぶすという経験です。このような経験を共有することこそが、Mel'sの核心である古き良き伝統なのです。Mel'sでは、人生は個人のものだと信じています。

Our standard was simple; build a restaurant that Mel would have been happy to go to by himself. A place that when he felt like getting out of the house, the destination would never be in question. To us that is the sign of a truly great neighborhood spot, and we are confident that Mel would have been a regular. Whether you are a group of friends going out for a celebratory brunch fueled by Bloody Mary's and Mimosas, a grandparent treating their grandkid to an afternoon milkshake, or you are sitting at the bar for a great burger and craft beer while you watch the game, Mel's is there. The fact of the matter is Mel is every man or woman who appreciates the simpler moments in life, and it is those individuals for whom we built this restaurant.

私たちの基準はシンプルで、メルが自分で行ってよかったと思えるようなレストランを作ることでした。家から出たくなったときに、目的地に迷うことのない店。それこそが、私たちにとって、本当に素敵なご近所スポットの証であり、メルもきっと常連になってくれると確信しています。友人のグループでブラッディメアリーとミモザでお祝いのブランチを食べに出かけたり、祖父母が孫にミルクセーキを振る舞ったり、バーに座って美味しいハンバーガーとクラフトビールを飲みながら試合を観戦したりするときも、Mel'sはそこにあります。メルは人生のシンプルな瞬間に感謝するすべての男性や女性であり、そのような人々のために私たちはこのレストランを設立しました。


きっと、メルさんもびっくり。

with coronaの時代には、ハンバーガー屋さんでなんでも売っちゃう。

ティッシュだってトイレットペーパーだってベーコンだってなんでも。

でも、たぶんメルさんはこんなハンバーガー屋を望んでいただろう。

自分が生き残るために、変わりつづけること。

相手のために、変わりつづけること。

それは「学び」であり、「愛」であり、「希望」であろう。

変わろう、変わりつづけよう。

激動のこの時代に、ハンバーガー屋でトイレットペーパーを売ってなにが悪い。メルさんはそう言いながらハンバーガーとポテトと石鹸を買って帰るにちがいない。

定義を、枠組みを、概念を越えた先には、またバーに座って美味しいハンバーガーとクラフトビールを飲みながら、みんなで試合観戦ができる日が待っている。


NYに戻ったときの、わたしの最初の晩餐が決まった。

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