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映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第60回

そいつぁ、“ヘビー”だ
1985年公開映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)』
文・〝美根〟(2022年4月18日連載公開)

〝美根〟です。〝美根〟として最初の更新、そして、記念すべき第60回です。このすんばらしい連載をまだ見ていない人類には、自動的に後々後悔する呪いがかかるようになっています。この「映画の指輪のつくり方」まだまだ、私〝美根〟を広めてより知ってもらうべく、貪欲に続けていきますので、よろしくお願いします。
 
最近までやっていた朝ドラの「カムカムエブリバディ」にかなり終盤からハマって、わからないところは初回から見ている母に無理矢理解説をさせるという、朝ドラヒロインとかけ離れた非道っぷりを見せながら最終回まで見た。そして最近は見逃した部分をオンデマンドで少しずつ追っかけている。親子3代、100年の物語で、話の進み具合や、綿密な脚本構成に感嘆した。いろんな人々の物語が不思議な縁で重なって、作られていく未来。両親、祖父母、そしてさらに遡ったご先祖様たちがいたから、私は今を生きてんだなーって自分にも置き換えて感動して見ていた。そんなことを考えていたら思い出したのが、今回紹介する「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。

30年前にタイムスリップ

マーティ・マクフライはミュージシャンを夢見るスケボーとギターが得意な高校生。同級生のいじめっ子の不当な命令に未だ逆らえない父親ジョージ、アルコール中毒気味で素行に厳しい母親ロレイン、うだつの上がらない兄姉たちと暮らしていた。ある時、年の離れた友人、発明家のドクに呼び出されたマーティは、ドクがタイムマシーンを発明したことを知る。ドクがマーティを証人に未来へのタイムトラベルをしようとした時、燃料にするためにドクがプルトニウムを奪ったリビアの過激派に襲撃され、ドクは撃たれてしまう。マーティも逃げるために咄嗟にそのタイムマシーンである車デロリアンに乗るが、スイッチが作動してしまい、1985年から1955年にタイムスリップしてしまう!燃料を使い切り、自分の時代に帰れなくなったマーティは1955年のドクを探す中で、なんと、若い頃の両親に出会い歴史を変えてしまい・・・という話。

ドキドキてんこ盛り

マーティは、現代に戻るため、そして捻じ曲げてしまった歴史を戻すために、奮闘するのだが、これがもう目が離せない。現代に戻るまでのタイムリミット、自分が産まれるかどうかに関わる危機感、が、マーティとドクをこれでもかと追い詰めて、盛り上げてくれる。ジェットコースタームービー!そして、冒頭で描かれる現代が伏線となって、過去に迷い込んだマーティの助けになったり、矛盾が笑いになったり、生きる希望になったりするのが見ていてとても気持ち良い。巧妙な設定にもう平伏すしかありません。

その勇気がきっと未来をよくする

親子故の似た部分が、面白い構図を生む。中でも好きなシーンが、当時からいじめられっ子のマーティの父親ジョージに、マーティが同級生のふりをして学校で話しかけるシーン。ジョージが小説家を目指していることを知ったマーティが、感心して原稿を見たいというのに対して「まだ誰にも見せたことがない。誰かに才能がないって言われたらショックだからね」という。実はマーティも、ガールフレンドに「テープをレコード会社に送ってみたら?」と言われた時に「才能がないと思われたら立ち直れない」と答えていたのだ。タイムトラベルした先で、同じことを言う父親を通じて、マーティが自分を知るこの場面がとてもグッとくる。個人的に、私も中学生くらいからオーディションとかレコード会社に自分の楽曲を送ったりしていたから、その時の、自信と不安の混ざった気持ちを同時に思い出す。踏み出した勇気は、きっと良い未来に繋がってる。そう思わせてくれる「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が本当に最高。

このスタッフ&キャストで面白くないわけがない

本作の監督は、大天才ロバート・ゼメキス監督。なんだなんだ…?ワクワク!ウォー!と感情を掻き立ててくる盛り上がりまくりの音楽はアラン・シルヴェストリ。そして製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。主演はマイケル・J・フォックス、ドクはクリストファー・ロイド。クリストファー・ロイドは同じくゼメキス監督で以前紹介した「ロジャー・ラビット」でも登場している。破天荒でやばそうだけど、実は優しくチャーミングで頼れる発明家である本役が、とてもぴったりで、時々やる「画面の斜め上を仰いで没頭しているあの感じ」が好き笑。マイケル・J・フォックスはまず顔が好きです。私がひかれる顔は、男性だとティム・カリータイプがマイケル・J・フォックスタイプ、女性だとヒルナンデスに出てる滝アナウンサーと私の親友のマドモアゼルの系統の人を可愛いなって思うのだが…と話が逸れたが、とにかくマイケル・J・フォックスのあの主人公感よ!主演で出てた「摩天楼はバラ色に」という映画の時も思ったけど、漫画みたいにコミカルで、身軽で、表情豊かで、困り顔が抜群に困ってるのが素敵です。がんばれー!ってめちゃめちゃ応援したくなるもんね。俳優さんたちが老けメイクしたりして、若い頃や親戚を演じるためにいろんなところで出てくるのも面白いです。

モチーフは、もうすぐ時速88マイルのデロリアン

そんな中、私が今回モチーフにしたのはデロリアン!ちなみにちゃんと1作目モデルです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は昔から大好きな映画だったけど、デロリアンが難しそうすぎて、なかなか手を出せなかったのですが、最近の私ならできそうだぞ、と挑戦しました。本当はタイムスリップした後に火が出るけど、車体のお尻についてるのは見逃せ。見逃すんだ。設計図とか調べまくって作りました。よく見るとマーティの影があります。ぜひ作っている様子は動画で見てね。

未来の自分が忠告に来ないように

例えば、私が両親が出会った学生の時にタイムスリップして、会ってみたらどんな感じになるだろうと想像すると、なんかわかんないけど、ギョエー!ってなる笑。でも、若かった時の家族とか親戚とかは見てみたい。多分色々偶然が積み重なって、俺がいるんだぁナァ。もしかしたら、のちに現代で関係してくる人がすでにその頃に道とかですれ違ってたかも、って思うと、行って、見てみたい。そう考えると、後々自分の未来に深く繋がっていく人と、すでに出会ってるのかもね。「まだ、〝美根〟は知るよしもなかったのでした。」ってナレーション入るやつ。

未来から未来の私がやってきて、「おい!〝美根〟!お前のその、ぎりぎりな性格と捻くれた根性のせいで未来の○年○月○日に、大きなチャンスを失ってしまうんだぞ!」と言われてしまわないように、頑張らなきゃだな。いつだって今が未来を変えるチャンス。どの瞬間も未来に繋がっているから、いつだって後悔ないように思い切っていこう!

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モチーフ:デロリアン
音楽:Huey Lewis & The News「The Power of Love」
   Alan Silvestri「Back to the Future」

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