転売ヤーがなぜ社会的に悪なのかを税の目線で解説する

 2021年7月29日 補記
 Twitter上にて転売に対する定義が当記事と齟齬のあるコメントがあったため、転売に対して今記事内では以下の通りに再定義いたします(追加部分は太字にて掲載)。
【転売】
 買った物を、さらに他に売り渡すこと。またうり。(コトバンクより引用)
 自身で使用することを想定せず初めから転売目的で新発売の商品を意図的に購入し、未開封のまま第三者へ自身への利益分を含めた料金で販売すること。
 そのため、以下の例は今記事内の上記転売の定義には該当しない。
○中古ショップで購入した玩具が検索の結果信じられないほど高額であることが判明し、ネットオークションに出店して利益を得た。
○一部界隈で人気のある中古ブランド服を原宿の古着屋を梯子して探し回り、購入して欲しがっている人に自身への利益分含めて譲った。
○古本屋で投げ売りされていた中古本が思わぬ学術的価値のあるものであることを知っており、一部界隈を対象にネットオークションやネットフリマにて出店。それにより利益を得た。
○自身が着古した服や靴をフリマにて販売。これにより収入を得た。
服や靴の売買で得た収入に対する税金の取り扱いは当記事では内容にそぐわないため割愛いたします。

どうもこんにちは、久保です。
 今回はタイトル通りのことをやっていこうと思います。
 それに伴い、以下4点の部分は事前にご了承ください。一部は久保が税の話をするときに露骨に張る保険ですね。

○わかりやすさ優先で、ざっくりとした数字や表現(言葉)の使用
○今回は税の側面からの解説であるため、「メーカーの信用」や「会社と消費者の信頼関係」などにはノータッチ
○出来うる限り感情的な部分はスポットを当てない(人によって感じ方が違うため)
○転売の解釈の齟齬を避けるため、今記事では以下のように転売を定義する
 買った物を、さらに他に売り渡すこと。またうり。(コトバンクより引用)

 以上、ご留意ください!
 あと事前に言っておきますが、勝手な引用やスクショを行なってSNSで転載を行なった際は転載料や寄稿料として金銭を請求するんで、そんなことするくらいなら素直にこの記事のURL出して勧めてもらったほうがいいと思います。
 詳しくはこちらの画像をご参照ください。

身もふたもない話

 脱税しているからです。
 ここであーもう自分完全に意味合い理解したわってなっている人はそもそもこの記事読んでいないと思うので、噛み砕いて説明していきましょう。
 まず皆さんが納めている税金について、ふわっと思い出してみてください。
 モノを買うと必ずついてまわる消費税。これはまあ鉄板というかみなさんご存知なわけです。
 それにプラスして、「所得税」と「住民税(市県民税やそれらに類する呼び方もある)」も皆さんなんとなく聞いたことがあると思います。今回フォーカスしたいのは、その二つです。
「住民税とか市県民税はなんとなく市や県に収めるっぽいからわかるけど、所得税って何?」
 そんな風にみなさんお思いのことかと思われますので、次のコンテンツで言及していきたいと思います。

所得税とは。そもそも所得とは

 所得税は、ざっくりと言ってしまえば国に収める税金です。
 じゃあ住民税とか市県民税みたいに国家税とかわかりやすく書けよというお気持ちは大いに理解できますが、これは「【所得】に対して計算が行われる【税】金」だからです。

Q:そもそも所得って何?
A:儲けのことです。

 転売行為そのものが全くもっていい例なので、転売で今回は解説します。以下の例は一か月間の出来事と想定してください。あとかなり面倒なので、発送料とかは割愛します。あくまで仕入れの購入代金だけを例示いたします。

 まずみなさん、転売をするために本来なら一個1万円(店頭に並んでいる税込価格)のおもちゃを20個買ったとし…いやお気持ち的には転売許し難しなので嫌なのはわかりますが、今回はそういうことにしておいて下さい。話が進まなくなるので。
 要はこの段階で、20万円を使って仕入れたことになります。
 で、このおもちゃを一個1.5万円で売り、完売したとしましょう。つまりは30万円が手中にあります。

 ぱっと見30万円儲かっているように見えますが、おもちゃを転売するためには経費ーー要はコストが必要なわけです。今回の場合だと仕入れで20万円(一個1万円のおもちゃを20個購入)使いましたよね。これが経費に該当します。ちなみにこれが飲食店なら材料の野菜や魚、水道光熱費とかも絡んで来るでしょう。

 ちなみに手に入った30万円は「収入」と呼ばれます。なのでお見合いの条件とかで「年収N百万円以上希望!」みたいな文言は、これに該当します。

 話が逸れちゃいました。
 今回だと「30万円(収入)ー20万円(経費)=10万円(手元に残ったお金)」になります。
 この余って手元に残ったお金10万円が、今回の場合においては「所得」となります。
 要は所得税とは、この残った10万円に対して税金の計算をするわけですね。これが1か月なので、丸一年やったとして年間120万円の儲け=所得ということになります。
 そして、問題はここからです。

税金、納めてる?

 問題はこれに尽きます。

 お給料をもらっている人は、お給料がもらえる時点で税金(所得税も住民税も)がさっ引かれています。フリーランスの人は、確定申告という人によっては聞いただけで動悸が止まらないイベントによって儲けを税務署に申告し、その申告に応じた税金を支払うことになります。

 で、転売ヤーがそれをやっているのか? という問題なわけです。
 繰り返しますが、お給料という体で会社からお金を受けている人間はこっちから頼んでもいないのに勝手に税金がすっぱ抜かれるわけです。勿論中には確定申告している転売ヤーもいるとは思います。ゼロではないと思います。
※条件によっては所得が少なく確定申告が不要の場合はありますが、住民税の計算の結果一円でも住民税があるとなった場合は所管の市町村への申告は必要です。

 で、この税金を納めないというのがどれほど社会的に悪であることは言うまでもないでしょう。特に住民税は顕著ですよね。みなさんが住んでいる市町村の道路の整備や図書館とかも、住民税から賄われています。勿論、公立の小中高とかの教科書代も住民税が財源です。救急車の出動料金(?)も税金からです。死にかけている時に「いや税金足りないんで救急車出せないっす」なんてことも、ないではないわけです(まあ実際はあり得ませんが)

終わりに

 以上が税の目線から見る転売ヤーの社会悪です。
 ただこれは税の部分だけフォーカスして解説をしたにすぎません。記事の前提を説明する段階で触れないようにはしていますが、他にもメーカーとの信頼関係に大きな瑕が入ることは想像に難くありません。

 併せて、確定申告&納税をしたから転売OKといった意味合いを説明する意図は当記事には一切ありません。あくまで元税金の職員だったことから、解説をしているだけです。
 まかり間違っても、確定申告をしている転売ヤーがこの記事を免罪符にすることは断固として禁じます。

 税務署は何しているんだとかさっさと働いて撲滅しろとかそう言う気持ちがみなさんないわけではないと思いますが、僕も一年半前に転職をしてそれ以降税の現場を知りません。なのでひょっとしたら税務署サイドも本腰入れているかもしれませんし、そこらへんの知り得ない情報に向ける感情に関しては今回は触れないでおこうかと思います。
 ただ、こうした転売ヤーは多分看板を掲げて堂々とやっていることはまずないと思いますし、そもそも調査のきっかけが掴めないと言うことも現場としてはあるんじゃないのかなと思っています(※あくまで個人の推論です)。
 フリマサイトに張り付く手もあるのかなと思いましたが、あれって出品者側の情報どこまで開示されるんでしょうね。僕自身がそうしたアプリをDLしていないのでわかりませんし、そこから尻尾を掴むのは難しいと思います(※あくまで個人の所感です)。

以上、こんな具合です。
では!

サポートしてくださったあかつきには、僕のご飯が少しグレードアップします。あと画材や絵の本に使いたいです