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マツキヨココカラ&カンパニーの「プラットフォーマー化構想」

マツモトキヨシとココカラファインの経営統合により、顧客接点や店舗網という巨大なアセットを手に入れ、新会社としてスタートを切ったマツキヨココカラ&カンパニー。同社には、さらに10年以上にわたって蓄積された豊富なデータという強みもある。新たなアセットとデータを活用し、今後は「リアル×デジタル」のプラットフォーマーを目指すという同社。プラットフォーム構築に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略について、松田崇氏が語った。(談・まとめ、文責/月刊MD編集部)

3ステップで推進するマツキヨココカラのDX戦略

DXを推進するうえでもっとも重要なポイントは、手段と目的を取り違えないことです。DX本来の目的は、デジタルを活用して「顧客の購買体験やLTV※1の向上」および「企業の発展」を実現すること。デジタルソリューションの導入は目的達成のための手段にすぎません。各デジタル投資が本当にお客様のLTV向上に貢献しているか、新しいマネタイズ領域を創出し企業発展につながっているかどうかを常に意識しながら進める必要があります。

当社では①デジタル強化、②経営統合、③プラットフォーム構築、という3ステップを踏んでDXを推進してきました。それぞれのステップについて簡単に説明しながら、当社におけるDX戦略を紹介していきます。

DX戦略の1点目となるのはマツモトキヨシ時代から取り組んでいる「デジタル強化」です。マツキヨアプリのローンチから10年以上が経過しました。そこから現在に至るまで、各種データをため、その質を向上させ、様々な施策でデータの利活用を行っています。

2つ目のステップが、ココカラファインとの経営統合により新たなアセットを手に入れたことです。これによって顧客接点数は1.1億、店舗数は3,300、売上は約1兆円になりました。経営統合によるマーケティング基盤の連携やメディアビジネスの拡大、業務標準化・効率化、プライベートブランド(PB)の統一などには既に取り組んでおり、企業としての強みが強化されています。今後は、現在別々のIDで動いているマツモトキヨシとココカラファインの会員顧客基盤の統合やポイント制度の一本化、物流の再構築を進めていきます。

3つ目は今後進めていく、「リアル×デジタル」のプラットフォームを構築するというステップです。マーケティング基盤をメーカー様と共有しながら、お客様をどう囲い込んでいくかを考えていきます。

▲[図表1]マツキヨココカラ&カンパニーDXの全体像

我々の考えるDXの全体像をご覧ください(図表1)。DX施策には様々ありますが、各施策がこの全体像の中でどう有機的につながっているのかはその都度確認していかなくてはなりません。OMO※2やDXを活用してリアル店舗とWEB・アプリの相互送客を強化し、両方の領域をうまく連携させていきます。ECとラストワンマイルはデリバリーの領域になり、DMP※3を活用しながらメーカー様と協働マーケティングをしていくという全体像になっています。

※1 LTV:LifeTimeValueの略。顧客生涯価値。顧客から生涯にわたって得られる利益のこと。
※2 OMO:OnlineMergeswithOfflineの略。ネット上とネット以外の店舗などの垣根を越えたマーケティング概念のこと。
※3 DMP:DataManagementPlatformの略。インターネット上に蓄積された様々な情報データを管理するためのプラットフォームのこと。

量・質ともに高いデータがデジタル施策を成功に導く

ここからは我々が行ってきたデータの利活用について紹介します。

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