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[MD スペシャルレポート] 流通DX先進国 中国小売業最前線 ECが成熟した中国から日本の小売業の未来を予見する

2023年8月にアジアのシリコンバレーと称されるハイテク都市、中国・深圳(しんせん)の小売業を視察してきた。ECの成長が止まらない中国ではリアル店舗は厳しい戦いを強いられており独自の進化を遂げていた。
(執筆/株式会社クロス 得平 佑)


深圳市概略

深圳は中国広東省に属しており、中国の4大都市(北京・上海・広州・深圳)の1つに数えられる。

東京都よりも小さな面積に約1,800万人が暮らしており、人口密度は中国の都市の中でもNo.1だ。1979年には3万人しかいない小さな漁村だったが、鄧小平による改革開放政策で経済特区に指定されて以降は製造業が急速に発展。中国全土から若者が出稼ぎに来る大都市へと変貌を遂げた。深圳市民の平均年齢は32.5歳と非常に若く20~30代の若者が大多数を占める。

中国のEC化率

中国の小売業を見ていく前にECの普及について触れておきたい。

▲[図表1]世界と日本のEC化率の今後の予測

JETROの予測[図表1]では中国 のEC化率は2025年に52.0%に達す る見込みで世界でも最高水準。若者が多い深圳は更に高いはずだ。

日本やアメリカに比べて中国のEC化率が異常に高いのはいくつかの理由があると考えられるが特に大きいのが配達コストの安さだ。

出前アプリ大手「美団(メイトゥワン)」

▲フードや日用品など実店舗で販売している物は何でも届けてくれる

中国のECの発展を支えているのが出前アプリ大手の美団だ。街に出ると美団の配達員のバイクが車道も歩道も関係なく走り回っている。

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