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サプライチェーン全体の生産性を高める、トライアルのリテールメディア戦略とは

店頭サイネージや、カメラなどでの棚前行動データ取得など、リテールメディアに関する実証実験に早期から着手してきたトライアルグループ。同社のタブレット付きカート「SkipCart®」でのクーポン配布施策なども展開し、その名のとおりトライアル&エラーを繰り返す。トライアルグループのリテールメディア戦略の現在とこれからについて、同グループのシステム全般を担うRetail AIの永田洋幸CEOに聞く。(月刊マーチャンダイジング2024年6月号より転載)

実店舗重視、来店購買促進1to1を志向

トライアルにおけるリテールメディアの位置付けは、リアル店舗があってこそのもの、と永田氏は断言する。

「お客様に店舗に足を運んで頂かなければ、リテールメディアとしての価値はありません。来店につながり、さらにお客様の店内での行動変容を促すことができるものが、我々にとってのリテールメディアです。

これまでのテレビCMのようなマスに向けたメディアとは異なり、私たちはリテールメディアを、より1to1を志向すべきものだと考えています」

永田氏は、お客の購買行動に関するデータを取得でき、広告出稿者がそのデータを参照できることもリテールメディアにとっては必須であるという。1to1マーケティングを実現させるためには、欠くことのできない技術要件といえよう。

「リテールメディア」という言葉は、非常に広範な意味を持っているが、いくら果敢にチャレンジしても、メーカーに広告費を払ってもらう以上、お客の購買につながらず、ビジネスとして成立しなければ、リテールメディアとはいえない。

「トライアルグループでは、いまだ明確にはなっていないリテールメディアという概念に対して、いろいろと試行錯誤を繰り返しつつ、小売業、メーカー、お客様など、ステークホルダーすべてが喜ぶものをつくり上げていこうとしています」(永田氏)。トライアルグループが具体的に現在展開しているリテールメディアは店内サイネージ、SkipCart®のタブレットに展開されるクーポン、SU-PAYアプリの3種類。

そのなかでも最近の店内サイネージ成功事例が、サントリーとの取組みだ。

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