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「花王は変わらなければならない」~小売業との協働によるブランド強化、SDGsへの取り組み~

大規模チェーンの誕生、EC販売の拡大、withコロナによって、メーカーのマーケティング&営業戦略が大きく変わろうとしている。花王の販売を担う花王グループカスタマーマーケティング竹内社長に変化対応戦略を聞いた。(聞き手/本誌主幹 日野 眞克)


withコロナで家中消費が伸びた

─withコロナ時代の変化について教えてください。

竹内 もう少しでコロナ禍になって2年になりますが、テレワークが定着して在宅勤務が増えた結果、日用品、化粧品のカテゴリーの消費構造が大きく変わりました。去年、今年とも伸びているのが「家中の消費」です。

たとえば、自宅にいる時間が長くなった結果、「入浴剤」「食洗」は大きく伸びました。「ダストワイパー」のような掃除用品も伸びています。「歯磨き」「シャンプー」は自分磨きの意識から高付加価値商品が伸張しました。

また、コロナ禍で「買物の回数」が大きく減っているので、まとめて買うとか大容量を買うという買物が前よりも大きく伸びています。

一方で去年は伸びたが今年は縮小したのが、「ハンドソープ」「消毒液」です。もともと小さな市場が、コロナ禍によって去年20倍にも30倍にも急伸したのですが、今年は昨対で半分とか3分の1に市場が縮小しました。コロナ禍前の市場と比較すると伸びているのですが、去年との対比では大きく落ち込んでいます。

去年はダメでしたが、若干回復しているのが「化粧品」ですね。コロナ禍以前には戻っていませんが、去年の落ち込みと比較すると少し回復しています。とはいえマスクの影響で、目元は比較的いいのですけど、口紅などの口元のコスメは厳しいですね。

コロナ禍によって「商談の仕方」が大きく変わりました。「リモート商談」が完全に定着しましたね。1年以上もリモート商談を継続していくと、メーカーの商談の在り方も変わっていくとおもいます。オフィスの在り方も見直しをかけています。

リモート商談、リモート会議に慣れてしまって、そういう働き方がニューノーマル(新しい常識)になったような気がします。とくに若い社員は在宅勤務と出社を併用するなど、いまの働き方を継続することを希望しています。われわれの世代は出社してきてほしいのですが(笑)、コロナ禍以前の全員出社という働き方には戻らないとおもいます。

化粧品市場の3割はECによる売上

─EC販売について教えてください。

竹内 コロナ禍の去年は「EC」がすごく伸び、とくに「化粧品」のEC販売が大きく増えました。

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