映画「君たちはどう生きるか」感想

「君生き」観に行ったので映画感想〜!!
しばらく興奮冷めやらず全身に感想の破片が巡り回ってどうしようもないのでここに書くことにした。
※ネタバレ有り

先日、「君生き」こと「君たちはどう生きるか」を観に行ってきた。
当日の観客比率は圧倒的に大人!大人だらけといったところで、私の行った回では子供の姿は見当たらなかった。私を含め、ジブリで育ってきた大人たちが観に来て一堂に介していると思うと感慨深かった。
ジブリ及び宮崎駿の映画が好き!だがあまりに長い年月の間、宮崎駿作品を見続けていたのでジブリ映画はもう水や空気のような存在である。数ある作品の中でも「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」が好きだ。そんな宮崎駿監督作品の新作で、かつ前情報が出回ってないとあらば絶対に映画館で観たいと思っていた。

いや、前情報はTwitterの当タイムラインで僅かながら出回っていた。
それは「君生きの主人公のお父さんがセクシー」という情報だ。なんて偏った情報なんだろう…

結果、Twitterの情報は本当だった。熱血でワンマンな父親…よく言えばエネルギッシュで、悪く言えばちょっと無神経な感じの。でもシュッとしててかっこいい。根性SSRだし。
あと、お母さんもsexyだった。なんて美しい人だろう。弓使えるのかっけえ。
真面目に語ろうとしたのになぜsexyの話になってしまったんだろう。

そして主人公の眞人くん。転校先でいじめられてもやり返す!帰り道に自分の頭にえげつないくらい深い傷をつけて…。自分にあれだけの傷をつけるには相当の胆力が必要。
眞人くんを執拗に付け狙う青鷺…
怖いよ!蛙とか鯉使って眞人くんを誘うシーンで劇場から息を呑む音が聞こえた。蟲使いかよ。
敵か味方かわからんキャラ好き。緊張感が生まれてひやひやするから…。緊張感で言えば全編を通して何が起こるかわからない緊張感があった。

さらに…眞人くんのばあやであり私の推し、強く美しいキリコさん。「キャア…」ってなって少女みたいな気持ちになった。守護(まも)られたい。でかい魚で滋養をつけられて空に浮かび上がる魂になりたい。
ジブリ名物の強くて美しくて優しいキリコさんが、これまたジブリ名物のカントリーちっくな可愛いおうちに住んでるのもたまらない。その壁に掛けられた可愛いギンガムチェックワンピいつ着てるの?!夕食にビーフシチューみたいなジブリ名物の美味しそうなやつとパン食べんの?!という常に新しい発見と驚きをくれる女だった。
おもしれー女…。
神隠しに遭った人、ということでやむなくあの家に住んでるだけかもしれないが、ドールハウスに入れられてるみたいで趣深い。

先程からジブリ名物ジブリ名物言ってるが、この作品はかつての宮崎駿作品のセルフオマージュのデパートだった。「ここ…アレじゃん!」と発見する喜びと楽しみがある。最後の方は過去の作品と関連付け(妄想)しすぎて、パパがばあやで隊列組んで眞人たちを探しに来るシーンで「カリオストロの城の銭形警部じゃん…!」と思っていた。多分違うかもしれないが。
オマージュという点では絵画の風景の織り込みもこの作品では沢山見られる。墓場のシーンはもろベックリンの「死の島」っぽいし、キリコの「通りの神秘と憂愁」みたいな空間もある。大叔父の空飛ぶ石はマグリットの「ピレネーの城」のようだ。嬉しいね。

そんな感じで、知っているものたちが作品を通して次々と表されていく様子が面白かった。自分の体験のようでもあり、かつ、長い夢を見ているようでもあった。

宮崎駿の好きなものを詰め込んだこの映画、それを存分に観ることができる喜びがあった。表現者が好きなものをありったけ目一杯詰め込んだ作品は幸せだ。

そしてクライマックス、オウムたちの城と化していた建築が崩壊するシーンが悲しくて泣いた。今後、眞人がここのことを忘れ去るということだから。
城の崩壊はこれから進んでいくための解放ということと解釈したが、それでも忘れていくということがとにかく悲しい〜…
千と千尋でもそれが悲しかった。
大人になったら忘れちゃうんだ。
銭婆の言う通り、一度経験したことは忘れないものとは言え…

もののけ姫のタタラ場も、ハウルの城も、ラピュタも最後には崩壊する。子供の頃、そこが悲しくて寂しくて辛かった。ずっとファンタジー駿空間があってくれよ!と思うが、ずっとずっとそこにあるのは違うんだろうな。多分。

それぞれ違う立場で違う過去を持つ人々が瓦礫の上で立つ、というイメージを私は宮崎駿映画のラストに共通して想起している。
「城」が崩壊しても、各キャラクターは内に抱えたものを胸に生きていかざるを得ない。
そうやってこれからも生きていくというラストはラピュタや、タタラ場や、ハウルの城でずっと描いてきたことだ。
そういうところが好きだったと再確認できた映画だった。


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