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喝と天晴【吉良式発想法&視点】

どうもどうも、吉良です。

張本勲氏が、昨年末の2021年12月26日にサンデーモーニングを卒業されましたね。張本氏が野球選手だった頃を知らない方も、「喝」と「天晴」の人として知っている方は多いのではないでしょうか。

2010年まで続いた大沢親分(大沢啓二氏)との絶妙なやりとりはスポーツコーナーの世界観に間違いなく新たな創造を築きました。その後はさまざまなゲストを迎えてますます円熟味をました張本ワールドを定着しつづけていました。

特に「喝」は、考え方の違いをTVを通じて日本中に拡散され、ネットメディアを巻き込んで新たな論争すら生み出していきました。

このコーナーが大好きだった僕は、「何がこんなに魅力的なんだろう」と考え、この手法はまさに新しいコミュニケーション手法だと結論付けました。

そして、「喝と天晴」を大学の講義に取り入れることにしました。

まず、日本女子大学のコミュニケーションの講義で取り入れ、その後大阪芸術大学でも取り入れ、受講生に毎週書いてもらっているリアクションペーパー(課題)の項目のひとつとして現在も継続しています。

そこで今回は、張本氏のご卒業に際し、「喝と天晴」についてお話しをしていきたいと思います。

張本氏がスポーツコーナーを担当され始めたのが1999年。僕が日本女子大学で講師をし始めたのが2000年でした。僕が学生に配布するリアクションペーパーに「喝と天晴」という項目を作ったのは2002~2003年のことだったと記憶しています。

「喝と天晴」では、学生に日常生活で「喝」と思ったことや、「天晴」と思ったことを書いて提出してもらい、それを授業中に読み上げて共有することで、自分と考えが同じ人がいることもあるし、自分と真逆の考え方を持つ人もいるということを知ってもらうことを目的としています。

多くの人が「喝」と思うことと「天晴」と思うことは変わらないのではないかと思う方もいるかもしれません。そこでまずは、人によって感じ方は異なることを例を挙げて紹介します。

どんな競技でも構いませんので、あなたが応援しているチームで考えるとわかりやすくなると思います。実際に応援しているチームがない場合は、僕の応援しているチームを参考にしてください。(僕の場合はサッカーチームの鹿島アントラーズ)

あなたが応援しているチームで誰かがミスをしたとします。そのとき、あなたは「喝!」と思うと思います。(鹿島アントラーズがパスミスから失点したら、僕は「喝!」と思います)

逆に、自分が応援しているチームが戦っている、相手チームの誰かがミスをしたときはどうでしょうか。思わず「天晴!」と思ってしまいませんか?(相手のファウルによって鹿島アントラーズがPKを獲得したら、僕は思わず「天晴!」と喜んでしまいます)

もし、上記の設定で鹿島アントラーズの相手チームを応援している人だったら鹿島アントラーズのパスミスに天晴と思い、自分が応援しているチームのパスミスには喝と思うはずです。このように、同じミスであっても見ている人によって喝であるか天晴であるかは変わってしまいます。

だからこそ、相手チームにあまりにも素晴らしいプレーがあったときには「敵ながら天晴」という言葉が生まれてきたのでしょう。

その人によって捉え方が変わってしまうのは、対戦相手がはっきりしているスポーツに限った話ではありません。もちろん、日常生活にも数多く存在します。

電車内でお化粧をしている人を見たとき、多くの方は「喝」と思っているかもしれませんが、僕は「天晴」と思う時もあります。なぜなら、あんなに揺れる車内で見事に自分の顔を完成させていく過程を素晴らしいと思うからです(あくまでも私見ですが)。

また、最近利用者が増えているフリマアプリのようなサービスも、自分の不用品が他の人に求められ、他の人の不用品が自分の求めているものであるという考え方の違いがあるからこそ成り立っているもののひとつです。

このように、様々な考え方を持つ人がいるからこそ、人々の生活は成り立っています。自分の当たり前は、必ずしも相手の当たり前ではないということ、つまり自分の常識は相手の非常識であることもある、ということです。

しかし、女性だからピンクのかわいいものを持つべきだ、長男だから家業を継ぐべきだ、等と自分の常識を押しつけたがる人がいることも事実です。僕は、学生たちに自分の常識だけを信じて押しつけるような人になってほしくない、と思いリアクションペーパーに「喝と天晴」という項目を作りました。

自分が常識と思っていることだけで世界は成り立っていないことへの気づきを与え、多様性を認め合える土台を醸成しています。

「喝」と「天晴」とあると、「喝」は悪いものであると感じる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。新しい考え方や常識を知り、自分を成長させられる大きな気づきとなるものです。

張本さんに「もうおやめなさい」と引退指令の喝を受けてネットを揺るがしたこともある、現在54歳で現役Jリーガーのカズこと三浦知良選手はサンデーモーニングの最終回で「喝は叱咤激励でありがたかった」と張本さんにメッセージを伝えていました。

イチロー氏も「喝があるから面白いと」語り、番組最後の張本氏の喝をあえていただいていました。こう考えると世間のある程度の非難を覚悟で「喝」をいれていた張本さんはスーパーコミュニケーターだと言えるわけです。

つまり、「喝」を知ることで、自分は正しいと思っていることでも、他の人はどう思うだろうかと考えることにもつながりますし、これが常識だと決めつけられてしまったときも委縮せずに、本当にそうだろうかと考え直すことにもつながります。

SDGsの「10.人や国の不平等をなくそう」の達成にもつなげられるような「喝」の考え方を張本氏は僕に気づかせてくれました。
最後に最大限の「天晴」を張本氏に贈りたいと思います「大天晴!」

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