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【献本御礼】もったいないコンサルト


 株式会社じほう様より、「もったいないコンサルト」(矢吹拓 編)を献本いただきました。
 私もコンサルテーションで困った経験について、webアンケートにお答えさせていただきました(誌面上にも掲載されています)。ということで全くフラットな立場ではありませんが、簡単に感想をまとめてみたいと思います。


おすすめ度:★★★★☆

対象:初期研修医〜後期研修1-2年目、コメディカル

 本書は三部構成になっており、chapter1「喜ばれるコンサルテーションとは」はコンサルテーションのスキルと目標についての総論、chapter2「他科コンサルテーション」は診療科毎の実際にありそうな「残念」「ナイス」なコンサルト例が個別に端的にまとめてあります。chapter3「多職種コンサルテーション」では多職種が関わるような実際の事例でどんなモヤモヤがあったか紹介されています。

Chapter2: いつ、どのように、どこまでやってからコンサルトするのが適切なのか?

 診療科・シーン毎に端的にまとめられており、気になるところ、困りそうな場面を中心にしてパラパラ短時間で読むことができます。非常に基本的な内容がほとんどであり、コンサルティ(コンサルトする側)としてはいずれも知っておかなくてはいけないものです(指導する側のDrがこのレベルを知らないとちょっとまずいかもしれません…)。初期研修医や専攻医の先生が学ぶにはちょうど良いですね。

 どこまでコンサルティに求めるかについては、勤務している場所とその規模、診療科の数とそれぞれのマンパワー(あるいは診療科間のパワーバランス)にも相当影響を受けますので、ここに記載されている内容が100点ということはないです。
(実際、執筆されている先生の環境の違いでしょうが、賛同しかねるなぁと思ったところもあります)

 できればコンサルトを受ける先生・診療科ときちんとコミュニケーションをとっておくことが一番大事でしょうね。特に直接会って話をすることは電話やメールの何十倍もの情報量があり、陰性感情を起こしにくくなります。

Chapter3:よくある「医師が話をきいてくれない」

 周囲のスタッフに、〇〇先生は〜、なんてことを言われてしまうDrはどこにでもいますし、知らない間に自分がそうなっていることもよくあることでしょう。
 ただ、ほぼすべての医師(99.99%)はコンサルティと同様に当然患者さんによくなってほしいと思って診療しています。なんとなく互いのベクトルがうまく合わなくて、結果として患者さんに不利益が生じうる、そんなもやもやがchapter3につまってます。
 どうやってブレイクスルーしたら良いか、その明快な答えは書いてありませんけれども、皆さんどうやって伝えたらよかったかを内省しています。そうです。相手のキャラクターや意見を変えさせるのは非常に困難、というか無理です。でもだからといって「自分は伝えたからあとは相手の責任」と考えてしまうと、皺寄せは患者さんへ向かいます。どうしましょう。

変えられるのは自分だけ。スキルは身につけられる。

 相談の垣根を低くする仕組みづくりや多職種カンファレンスを企画することはもちろん重要です。お互いの心的ハードルを下げ、問題点を共有することで全員のベクトルを揃えていくことができます。
ただそれでも解決しないことは多いですよね。やっぱり話を聞いてくれない、意見を変えようとしない、とか。
 相手を変えようとか、意見を変えさせようとすることは難しいですし、余計に意固地になることもあります。「職域」のようなものを意識している方も多く、その矩を踰えられることに強い不快感を感じる人も多いです。まさに「北風と太陽」の北風のよう。
 相手が変わらないのなら、自分が変わるしかないです。といっても自分の意見を相手に合わせて変えるわけではなく、相手と不快感なくコミュニケーションをとるためのスキルを身につけるべきだと考えます。コミュニケーション能力は持って生まれたもののみでなく、後天的にスキルとして身につけられるもの(むしろ後者が重要)です。この辺りは先行しているビジネス業界の良書がたくさんありますので、なんでも良いので気になったものを手に取っていただければ良いと思います。
(コミュニケーションや交渉術については、また別の機会に紹介させていただきたいと思います)

さぁ本書を読んで、大いに悩みましょう

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