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The Lyrics -Revolver前編-

10月28日、Revolver 2022リミックスが発売になりました🎉

1966年、ビートルマニア現象とツアーに飽きてきたビートルたちが、アビーロードスタジオというホームに籠り、音楽性のピークを遺憾なく発揮した作品✨✨
そのモチベーションやギミックは、特にUKのポップロックシーンで最も現代まで影響を与えているアルバムじゃないかと思ったりします。

発売にあわせて行われた公式サイトのQ&Aで、ポールは次のように語りました。

Q: アルバムは元々、メンフィスのStax StudioでJim Stewartにプロデュースしてもらう予定だったけど、結局EMIスタジオ(アビーロードスタジオ)でレコーディングを行なった。もし予定通りだったらまったく違うアルバムになっていたのかな。

ポール:きっとね。Staxでレコーディングされた数々のアルバムが好きだったから演りたかったけど、結局のところやらなくてよかったと思う。EMIスタジオは僕らのホームでレコーディングをすること以外何も気を遣わなくていい。スタジオが変わると環境が変わってやることが増えてしまう。EMIは場所もスタッフも知り尽くしているからレコーディングに集中できる。
EMIなら限界を超えてクリエイティブになれる。それに忘れちゃいけないのは、いろんな楽器があるんだ、ミセスミルズのピアノも、効果音いっぱいの棚も、ハープシコード、チェレスタ、ロウリーオルガン、それにメロトロンも!
EMIは僕らにとって最高のスタジオだった。

paulmccartney.com

というわけで今回は、Paul McCartney The Lyricsから、Revolver SE収録の前半3作品に焦点を当てて紹介したいと思います。

Track3 Eleanor Rigby

2022ミックスでボーカルと弦楽器のバランスが左右に振られ聴きやすくなったこの曲。The Lyricsの中でポールはボーイスカウトで出会った高齢の女性たちの1人が「エリナーリグビー」のモデルであることを語っています。

どうやって出会ったか覚えていないんだけど、彼女の家に一度や二度ではなく行ったことがあってね。そのうち一人暮らしということがわかってお喋りに行ってたんだ、リバプールの若者にしてはおかしなことなんだけど。後々、買い物に行って欲しいとリストを渡されて、いろいろ買って行ってキッチンで過ごしたりしてた。キッチンにクリスタルのラジオがあってよく覚えてるよ。
そこで彼女の話を聞きながら、のちに曲になる想像を膨らませてたってわけさ。

PM The Lyrics

ご存知の通り、映画ヘルプ!で出会った女優と、ジェーンを訪ねた時に見つけた店の名前を組み合わせたはずの「Eleanor Rigby」そして、Father McCartneyという呼び名を避けるために電話帳で探した名前の「Father Mackenzie」という曲に出てくる二人の登場人物の名は、ジョンとポールが初めて出会った場所である、セントピーターズ教会の墓地に刻まれています。二人が「遊びまわり、エンドレスに将来のことを語りあった」場所での偶然に「無意識に記憶していた可能性もあるけど」と語るポール。

当時付き合いのあったビートニクスの両頭アレンギンズバーグやウィリアムバロウズに曲を聴かせた際には、3バースに多くの物語性を詰め込む手法に驚かれ、ポールにとっても作詞のブレイクスルーになったと語っています。

、、、個人的にはポールの作詞のピークはこの辺りで、後のソロ曲などは物語性を詰め込みすぎて抽象的になりすぎている気がしますが。。。


Track 5 Here There And Everywhere

ポールは自ら、この曲の「循環性」が好きだと語っています。
タイトルの「ヒア」「ゼア」「エヴリホエア」が各バースの一言目となって曲を繋いでいること。
「よりよい人生のために、愛情がここにありますように」という初めのフレーズが、曲を通して繋がっていること。
「ラバーソウル」に影響されて作られたビーチボーイズのペットサウンズ「ゴッドオンリーノウズ」に、さらに影響されて「ヒアゼアアンドエヴリホェア」が生まれたこと。

荒れ道を散歩し続けていたら突如スタート地点に戻ってる、でもただ戻ってきたんじゃなくてもっとマジカルな。どこから来たかは見えてて、同じ景色だけど、違う小路が始まる。そういう感じのトリックが好きなんだ。

PM The Lyrics

ジョンはこの曲を「大好きなビートルズ作品の一つ」と公言しており、ポールも「どうしてもどれか一つを選べと言われたら、この曲が一番好きという」と語るほど、メロディー・コーラス・コード進行・歌詞すべてがパーフェクトに成立した作品です。

ついでにポールさんは各所のインタビューで、「オーストリアの山小屋でこの曲のデモを聴いている時に、ジョンにこの曲が好きと褒められた」という迷言を残しているわけですが。ラバーソウル・ペットサウンズの後にウェイブリッジのプール脇で書かれて、アビーロードで収録されたこの曲をどうタイムスリップさせたらオーストリアの山小屋で聴けるのかわからないので、心の記憶に留めておきます。😅

Track8 Good Day Sunshine



ラヴィングスプーンフルの‘Daydream’  ‘Summer in the City’ 、キンクスの ‘Sunny Afternoon’がリリースされた1966年、「じゃあ次は僕らのバージョンをやろう」と書かれた晴れた夏の日の曲。歌詞についてはそれに尽きる模様。
曲中の変拍子について、次のように語っています。

トリッキーかもしれないけど、楽譜は使ってなかったから。僕らはただひたすら聴いて、覚えてた。もし誰かが楽譜を見て『1、2、3、1、2、3、4』って数えてたら、それは仕事であって、そんなに楽しくないんじゃないかと感じてしまう

PM The Lyrics


The Lyricsで取り上げられている曲は、ビートルズ前期の曲が少なかったり偏りがあるのですが、リボルバー収録曲はすべて取り上げられており、さらにほとんどに手書きの歌詞や当時の資料が付けられています。ポール自身大作を作っていた意識が強かったのかなぁ?

後半は、残りの収録曲とPaperback Writerのレビュー予定です😊

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