強烈なトラウマによる禁句
母の従兄弟。
2月のとても寒い日に、子供をお宮参りに連れて行きました。
その直後、子供は風をひき、肺炎になり、亡くなってしまいました…。
この事は、母にとっても大変ショッキングな出来事として記憶されていました。
ところが…。
母の実母(祖母)が、私をお宮参りに連れて行くと言い出しました。
これまた、寒い日だったそうです。
大変気性の激しい母は、祖母と大喧嘩に…。
「私の子を殺す気かー!」
しかし、信心深い祖母は一歩も譲りません。
「あちらのお母さん(父の実母)にも、お宮参りに連れて行く様に頼まれたさかい!」
「連れて行くと約束したんや!」
これを聞いた母は、更に激昂。
「あの婆さん(父の実母)は、お金も出さんとから、何言うとるんかー!」
何時間も激しい言い争いをした挙げ句の果てに、祖母は母から私を奪って言いました。
「私1人でも、この子を連れて行くんや!」
ここで、ようやく母が折れることに…。
これ、強気の母にしては、とても珍しい事です(笑)。
父も一緒に、皆でお宮参りに出かけたのでした。
祖母は、祖父から酷い仕打ちを受けたせいで、片肺を失っていました。
母が、当時を振り返って言います。
「あんな体で、子供を背負って行くなんて、哀れやしな…」
「宗教って、恐ろしいな…」
「それにしても、なんや!」
「お父さんは!」
「ちっとは、私の見方をしてくれたってエエやないか?」
この時の父。
祖母と母の喧嘩を静かに見守っていたそうな…。
「やがて、結論は出る!」
なんとも、父らしい…。
父は、人に何かを強制しないタイプ。
母や私は、常に自らの意志で決断しなければなりません。
父は、私達が下した結論が余程おかしなものでない限り、何も文句は言いません。
普段は父に対して不満めいた事をほとんど言わない母でしたが、どうも、この時の事は恨みに思っている様子。
母の前で、「お宮参り」という言葉は禁句なのでした…。
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