マガジンのカバー画像

ケアラーの視点/生命倫理

18
spitzibara ▶医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」です。
運営しているクリエイター

記事一覧

コロナ禍での面会制限再考 ~日本重症心身障害学会誌最新号と個人的な体験から~

地域医療ジャーナル 2022年6月号 vol.8(6) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  これまで重い障害のある人の親の立場からコロナ禍での様々な体験や思いについて書き、関連資料を探しては紹介してきました。そんな中でなかなか見えてこなかったのが肝心の重症児者施設の情報でしたが、やっと行き当たることができました。  今年4月に刊行されたばかりの日本重症心身障害学会誌第47巻1号です。昨年12月10-11日にWebで開催された第4

¥100

コロナ禍での医療における高齢者と障害者の権利擁護について、2つの資料を読んでみた

地域医療ジャーナル 2022年5月号 vol.8(5) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  CMJでは昨年2021年を通して、コロナ禍での面会制限について、人権という視点からずいぶん書かせてもらいました。私は施設入所者の家族として「お世話になっている」立場なので、こうした声は上げにくいのですが、ついスピッツのように後じさりしブルブル震えながらも言わずにいられない、しかもいったん口を開くや辛辣かつストレートなものの言い方になってしま

¥100

安楽死と家族 1

地域医療ジャーナル 2022年4月号 vol.8(4) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  昨年、生命倫理学や哲学領域の学者からお声掛けをいただき、2冊の共著企画に参加させていただきました。  小松美彦先生ほかの編集で11人の著者による『〈反延命〉主義の時代―安楽死・延命中止・トリアージ』(現代書館)と、安藤泰至先生と島薗進先生を中心に昨年12月にウェブ上で行われた3回のセミナーの内容を書籍化した『見捨てられる〈いのち〉を考える

¥100

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 9

地域医療ジャーナル 2022年4月号 vol.8(4) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  前回の「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 8」からまだ4か月ですが、この間、カトリック教国を中心にヨーロッパで安楽死合法化をめぐる動きが目立ってきています。  そこで、このあたりで、また概況を取りまとめておきたいと思います。

¥100

英国の「知的障害がある人々のコロナ死」報告書を読む

地域医療ジャーナル 2022年2月号 vol.8(2) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  先月の2022年1月号をお休みしましたので、読者のみなさん、遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。  昨年3月号の記事「コロナ禍における「権利擁護・合理的配慮としての面会・付き添い」を考える」で、英国の知的障害者の権利擁護団体メンキャップの報告書「私の健康、私の命 パンデミックにおける知的障害のある人たちの医療への障壁」(202

¥100

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 8

地域医療ジャーナル 2021年12月号 vol.7(12) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  読者のみなさん、こんにちは。先月はお休みをいただき、2か月ぶりの登場となります。  この間に新型コロナウイルスへの感染者がなぜか激減し、娘の施設では第5波が落ち着くやLINE面会をすかさずアクリル板越しにしてくださいました。そして11月に入ると、そのアクリル板も消えて、週に1度15分間のナマ面会となりました。私たち夫婦も、8日に娘と触

¥100

「頑ななご家族」と言われがちな立場から、医療職にお願いしたいこと

地域医療ジャーナル 2021年10月号 vol.7(10) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  先月号のyktyyさんの記事「『こだわりの強い患者』という表現への違和感」を読んで、「頑ななご家族」が関わる興味深い事例を思い出したので、今月はそれについて書いてみようと思います。  2019年に上梓した拙著『殺す親 殺させられる親 重い障害のある人の親の立場で考える尊厳死・意思決定・地域移行』(生活書院)の中で簡単に紹介している事例

¥100

米国とは似て非なる“PA”で、安上がりな日本型在宅医療ビジネスモデル?

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  7月10日の夕刻、キッチンで肉じゃが用のジャガイモの皮を剝いていたspitzibaraは、「なに? PAとな?」とつぶやくや、ジャガイモを放り出し、リビングのTVの前に急行しました。たまたまついていたTVから、「PA」「Physician Assistant」という言葉が聞こえてきたからです。ちょうど、米国の医療現場にいるPAなる職種とは、

¥100

英国の「知的障害看護師」について、調べてみた

地域医療ジャーナル 2021年8月号 vol.7(8) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  英国の知的障害者のアドボケイト団体メンキャップによる、知的障害のある人たちに適切な医療を保障するための数々のキャンペーンについて、2000年代半ばから追いかけ、ささやかに書き物で紹介してきました。最近では、2月号の記事 英国の「障害のある私も、ちゃんと治療してください」キャンペーン がその一端です。  そうした情報に触れる際に時々でてくる

¥100

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 7

地域医療ジャーナル 2021年6月号 vol.7(6) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  ここしばらく、コロナ禍における施設や病院での面会禁止について考え続けてきて、こちらの「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流」シリーズは昨年9月号からご無沙汰となっておりました。もちろん、面会禁止について書き続けながらも、世界の安楽死関連の動きについては横目で睨み、気になるニュースはブクマすることを心がけて過ごしていました。  気になるだけでな

¥100

「車椅子ごとマスク」という発想の転換 ~「パンデミックだから仕方がない」の先へ~

地域医療ジャーナル 2021年5月号 vol.7(5) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  病院や施設などにおける「面会禁止」について、2月号からシリーズで4本の記事を書いてきました。今回は、この問題を身近な人たちと話し合う中でspitzibaraの頭に浮かんできたアイデアについて書いてみました。いわば4回シリーズから飛びだした、スピンオフのような記事になります。  きっかけは、第3波が落ち着いてきた頃、娘が暮らしている療育園の

¥100

コロナ禍での「面会禁止」のエビデンスは?~素人目線からのギモン

地域医療ジャーナル 2021年4月号 vol.7(4) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  2月号、3月号に引き続き、コロナ禍での病院や施設における「面会禁止/制限」をテーマにした記事となります。この間、「面会禁止/制限」の問題がspitzibaraの頭の真ん中にどっかりと居座り続けているもので、読者の皆さんにはお付き合いいただく格好となり、申し訳ありません。  なにしろ、重い障害があって、いわゆる重症児者施設で暮らす娘とまとも

¥100

コロナ禍における「権利擁護・合理的配慮としての面会・付き添い」を考える

地域医療ジャーナル 2021年3月号 vol.7(3) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  先月の2月号で、2つの記事、コロナ禍における介護施設の面会禁止再考:家族を「エッセンシャル・ケアラー」と捉える視点 と 英国の「障害のある私も、ちゃんと治療してください」キャンペーン を書きました。  その後、それぞれの記事に関連した資料を1つずつ、面会禁止については『看護管理』2月号の「『面会制限』が患者の意思決定にもたらした倫理的課題

コロナ禍における介護施設の面会禁止再考:家族を「エッセンシャル・ケアラー」と捉える視点

地域医療ジャーナル 2021年2月号 vol.7(2) 記者:spitzibara 医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」  新型コロナウィルスの感染拡大によって、高齢者や障害児者の入所施設では面会を禁止したり制限したりする措置が取られてきました。私たち夫婦も、第1波の時には3か月間まったく娘に会えませんでした。その後は短時間の対面面会や外出が認められていた時期もあったのですが、やがてアクリル板越しの面会となり、第3波まっただなかの現在はLINEでの面会のみとなっ