見出し画像

英国の「知的障害がある人々のコロナ死」報告書を読む

地域医療ジャーナル 2022年2月号 vol.8(2)
記者:spitzibara
医療にウルサイ「重い障害のある子どもを持つ母親」


 先月の2022年1月号をお休みしましたので、読者のみなさん、遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。

 昨年3月号の記事「コロナ禍における「権利擁護・合理的配慮としての面会・付き添い」を考える」で、英国の知的障害者の権利擁護団体メンキャップの報告書「私の健康、私の命 パンデミックにおける知的障害のある人たちの医療への障壁」(2020年12月)を読み、概要を紹介しました。その報告書で言及されていたLeDeR(知的障害死亡調査)プログラムのこの報告書が気になりながら、なかなか手がついていなかったのですが、オミクロン株の拡大を機に読んでみることにしました。

 LeDeRとは、2015年に立ち上げられたプログラムです。医療への障壁解消に向けたメンキャップの粘り強いキャンペーンが2010年からの政府による調査につながり、知的障害のある人々への医療差別の実態が明らかになったことから、LeDeRが立ちあげられて、知的障害のある人々の死亡事例が毎年精査されて報告書に取りまとめられることになりました。周辺の詳細は2021年2月号の記事に。

 そのLeDeRが2020年11月に「知的障害がある人々のCOVID-19による死 Deaths of people with learning disabilities from COVID-19」というタイトルの報告書を出しています。日本ではパンデミックの中、知的障害のある人たちがどのような医療体験をしているかという問題には誰も関心を向けていないように見えるだけに、とても貴重な情報だろうと思います。



ここから先は

2,766字

¥ 100

いただいたサポートは記事充実のために活用させていただきます。