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トキワセイイチさんの『きつねとたぬきといいなずけ vol.4』を読みました

vol.1+2とvol.3はコミティアで購入したのですが、vol.4は初めて通販を利用しました。

読めてよかった。やっぱりトキワさんのマンガが好きです。これからその理由を鼻息荒く語ります。

トキワさんを知ったきっかけ

トキワさんを知ったのは、2018年の「生活のたのしみ展」のレポートでした。こちらの記事がnoteのおすすめに載っていたのがきっかけです。

丁寧に描かれた1コマ1コマに版画のような温かみとノスタルジックな雰囲気を感じると同時に、どこかクールな気配にも惹かれて、スキからの即フォロー。

このかわいいきつねとたぬきはどこの子なんだろうと気になり、それから『きつねとたぬきといいなずけ』を追うようになりました。


『きつねとたぬきといいなずけ』とは

『きつねとたぬきといいなずけ』は、トキワさんがnoteで週に数回更新されている、主に8コマ形式のマンガです。トキワさんがあらすじの記事をこちらにあげています。

人間のナルヒトを中心とした世界と、きつねのナツネをめぐる自然・動物の世界とが交互に描かれています。

人間・動物を問わず登場人物が皆魅力的なのですが、かわいいだけでは済まされない大小さまざまな矛盾と葛藤がどちらの世界にも見え隠れしていてハラハラ。

ナツネがそれらを乗り越えて人間の世界にやってくることでふたつの世界は接点を持ち、ナルヒトにたくさんの発見と刺激をもたらします。

一見さばさばして見えつつどこか無気力にも思えるナルヒトと天真爛漫でまっすぐなナツネのやりとりにハッとしたり、素直でいじらしいタヌロウに癒されたりしつつも、ナツネが飛び出してきた動物の世界にはまだまだ謎が多そうで。物語の行く末が気になるところです。


葛藤と、その先の物語

『きつねとたぬきといいなずけ』には「葛藤」がいくつも描かれています。

たとえばナルヒトは自分自身にもやもやしつつも自分の殻にこもって足踏みしているように見えるし、ナツネは外の世界に行きたくても自分の気持ちだけではなかなか飛び出せずにいたし、森見さんは婚活を頑張るけれどなかなかうまくいかないし、スマートに世の中を渡ってそうに見えるクールな水川さんは意外な思いを抱えてるし。一本木さんは周囲をよく見て大切にしている一方で、自分のことはどこか置き去り(というのも大げさだけど自分を遠くからみている)ようにもみえる。

私は葛藤を抱えながらも前に進もうとしている人にいつも勇気をもらうので登場人物たちにも小さな勇気をもらうと同時に、なれなれしくもいっしょにお酒を飲みにいこうよと声をかけたくもなります。

とくに森見さんとはぜひ行きたい!人の意見を受け止めて即実行に移す、森見さんの素直さと行動力と前向きさを見習いたいです。一本木さんはなかなか本音を話してくれないかもしれないけれど、時間をかけて信頼関係を築きたいですし、最終的には遠くから見て「生きててくれるだけでありがとうございます」と拝みたいです。あとタヌロウにはいっぱい美味しいものを食べさせてあげたい。

登場人物はそれぞれクセがありつつも、どこかチャーミングで憎めない人たちばかり。それぞれの葛藤とその先の選択が、とても気になります。


表紙の絵に共通する魅力

『きつねとたぬきといいなずけ』は、毎号の表紙の絵も魅力的です。

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トキワさんが描く自然や街角の風景に、私はいつも特別なものを感じます。きれい、美しいだけじゃなく、こわい、暗い、深いが含まれている。ちょっと「舐めてはいけないぞ」という感じの自然の厳しさ、恐ろしさ、懐の深さが詰まっている気がします。

vol.4の表紙に描かれた木々、月に照らされる葉っぱ、公園の遊具をみていても、その真ん中に立つのがもし人間だったら心細さを感じる気がするけど、ナツネとタヌロウだと描かれているもの全てがふたりの味方のように思えるのでふしぎです。

マンガの内容が楽しみなのはもちろんのこと、本になったときの表紙(とポストカード!)も同じくらいいつも楽しみにしています。


本だから読める、8コマ形式以外のマンガ

トキワさんのnoteでも今までのストーリーは追えるのですが、冊子としてまとまったものを一気に読むと、お話のつながりをより感じられたり、その世界の空気みたいなものをじっくり味わうことができます。(のでこれから読む方にも、noteですでに読んでいる方にもぜひ冊子をぜひおすすめしたいです)。

vol.4は、8コマ形式だけでなく、描きおろしでストーリーマンガのコマ割りもたくさん加わっています。それがまた、めちゃくちゃいいです。
いつもの8コマももちろん素敵だけれど、それ以上にスピード感と迫力とインパクトが増し増しで引きこまれました。個人的にとくにぐっときたのが、終盤のタヌロウの表情。ああ、タヌロウにそんな顔をさせたくない、ああ、ああ、と思いながらページをめくりました。

あとがきを読むと、いろんな経緯があってトキワさんが8コマ形式にたどり着いたことを知るのですが、めぐりめぐって再びストーリーマンガのコマ割りでも描いてくださってありがとうございますという気持ちです。


いろんな人に届いてほしいよ!

というわけで、まだまだ伝えきれないもどかしさや簡単に感想を言葉にできないようなためらいもあるのですが、書けるだけ書いてみました。

私はこの物語にはトキワさんが考える「ほんとうのこと」が詰まっている気がします。それについてはまだまだ理解できていなかったり受け止め切れていない部分もあるのですが、物語を追い続け、見届けることで、ナツネやナルヒトたちから自分なりにメッセージを受け取っていきたいと思っています。

あなたも一緒に魅力的な登場人物たちのその先を見届けませんか。

トキワさんの本の通販はこちらです。

BOOTHを利用するのは初めてだったのですが、注文~配送までの手続きもとてもスムーズでした。

注文にはpixiv IDが必要なのですがSNS連携ですぐ作れるし(私はすっかり忘れていたけど数年前にIDを作っていたらしい)、注文手続きもさっとできて、さらに匿名配送だったので配送物の宛名や差出人に個人情報がなくてすっきり。安心ですし、誰でも簡単に注文できます。

そしてvol.4に同封されているおまけマンガ「きつねとたぬきとうすっぺらのボル」もめっちゃ好きでした。ボル、いい子(いいお顔)。小さきものと動物という組み合わせに弱いのでたまりませんでした。今後街角であの犬をみたら、まちがいなく「ボル…」とつぶやいてしまいそうです。


最後にもういちど。トキワさんのnoteはこちら。

noteで1話から読む場合はこちらから。

これからもたくさんの人に届きますように。応援しています!


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