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若手大学教員のギャップモチベーション

以前,モチベーションに関する記事を書いた。

そこでは,モチベーションが上がらない時の対処法として,「とりあえず始める」ことの効果について書いた。

神モチベーション」は,このモチベーション(やる気)が上がらない・続かないことの理由と,その対策についてまとめられた本だ。

モチベーションの種類

本書によると,モチベーションの種類は以下の3つに分けられる。

ハイモチベーション:短期的に気合の入った状態。長続きしない。
アクションモチベーション:行動することで扁桃体が刺激されてやる気が出る状態。継続には意志の強さが必要。
ギャップモチベーション:理想と現実のギャップを想像し,脳が自然とやる気を出す状態。

以前自分が考えた対処法は,アクティブモチベーションだったことがわかるるが,著者はギャップモチベーションを意図的に作り出すべきだと提案している。

将来の自分を強く想像し(未来記憶),過去の体験を思い起こす(過去記憶)ことで,現実と理想のギャップをより強く実感する(人生の試着)。

このギャップが具体的であればあるほど,脳が自動的にそれを埋めようとする=モチベーションが向上する,らしい。

自分に当てはめると

本書には科学的なエビデンスはあまり載っていないようだったが,この理論には頷くところがある。

これまでの自分を振り返ると,高校受験,大学受験,そして就職に向けて努力を続ける中で,将来の自分をある程度想像できていたように思う。

「大学生活を謳歌する自分」などは想像しやすく,理想とする大学に入るにはこれだけのギャップを埋めなければならないということが自然と理解できていたのかもしれない(受験は特に点数=ギャップなので,イメージがしやすい?)。

大学教員のギャップモチベーション

一方で,以前も書いたことがあるが,就職した今では将来と現実とのギャップを想像することは少し難しくなっている。

大学教員にとっての一つの目標は,教授になる(昇進する)ことだろう。

ただし,個人的で物質的な目標だけでは長続きしないと言われており,「誰かのため」という感情を絡めた目標設定が重要であると言われている。

例を挙げると,「次の大会で優勝するため」ではなく,「優勝すると家族が喜んでくれる」の方がやる気に直結する。

昇進することのメリットは,助教のままでいることのデメリットだ。

いつまでも助教のままだと,以下のようなデメリットがあるだろう。

  • 大学院生の指導ができない ⇒ 研究が捗らず,社会の役に立てない

  • 重要度の高い仕事に取り組めない ⇒ 周囲の先生が困る

  • 給料が上がらない ⇒ 家族を養えない

  • 他大学に異動できない ⇒ いつまでも同じ環境で成長が遅くなる

感情や他人のことを思って書き出してみると,少し現実とのギャップが具体的になってきたように思う。

昇進するためには論文を書いたり助成金を獲得する必要があるが,論文を書くには研究成果を出す必要がある。

研究成果を出すには,論文を読んだり研究に集中するための時間を作る必要がある。

時間を作るには,今目の前にある雑務(授業準備,大学運営,学会活動)を一つ一つクリアしていく必要がある。

このようにギャップを明確にし,目標を細切れにすることでモチベーションを保ちやすくなる(かもしれない)。


最後に,本書では「いい結果が出たら喜んではいけない」との注意書きがある。

結果に対して喜ぶことが続くと,「いい結果が出そうなことだけに行動しよう」と行動が凝り固まってしまい,行動するモチベーションが低下するらしい。

目標を実現する過程について喜びながら,モチベーションを高く保ち続けたい。

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