沢島村ダイアー

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最近の記事

空腹とぼく

空腹だな、と感じる事は昔より少なくなったように思う。 しかし飯を食べる量は、昔からさほど変わらない。 空腹に対して、鈍感になっているのか? 鈍感になっているだけで、きちんと腹は減っているのだろうか。 いずれにせよ、今日も飯は旨い。 それはいいことなのだろう。 飯を食うということは、生きるという事なのだから。 今日も精一杯生きているということなのだろう。 にしてもどうして空腹に対して鈍感になっているのか。 それでいながら、飯を食べる量は変わらないのだから。 不思議なものだ。 満

    • 私、あなたの幻を追っている。 幻が幻を生んでいるわ。 幻の幻は最早、あなたそのものではないの? それすら確かめる術も無くて、途方に暮れている。 また幻が幻を生んで、幻が幻になっていく。 私が欲しいのは、確かなものだけ。 幻なんて欲しくないの。 あなたに触れて確かめたい。直接触れて確かめたい。 それでもあなたは幻のように消えてしまうの。 ああ、行かないで。 せめて美しい夢を見せて。 そうするとこれは夢なの? 夢が夢を生み、夢は夢の中に消えていく。 そんなのは嫌。現実のあなたを感

      • 愛の穴を掘ろう

        穴が開くほど愛してる。 え?何の穴が開くほどだって? そいつぁ聞かねぇ方が良いぜ。 とにかく穴が開くほど愛してる。 ものすごい深さの穴だぜ。 直径は10cmしか無いけども。 深さは100mを優に超えているぜ。 狭く深く愛しているぜ。 ああ、愛しているぜ。本当に。 深く深く穴を掘ろう。 その穴が地球を貫通して、ブラジルまで通じたら。 結婚しようぜ、俺たち。 結婚に相応しい穴を掘ろうぜ。 例え世界中が俺たちを認めなくても。 そんなの気にならないくらいの穴に籠もろうぜ。 その穴が二

        • 死霊術師と不死の体

          運命なんて信じかけた私が馬鹿だった。 「やっぱり見込んだとおり、素敵な骨格よね」 その運命を信じた相手は、今の私を見てうっとりしている。 何が起きたのか──思い返してみる。 今日は学園の入学式だ。 私たち冒険者見習いは、この学園で冒険者としての基礎を学んで巣立っていく。 今日はその第一歩だ。 私は今日からこの学園の一年生だ。 私の周囲には同じく冒険者見習いの皆が期待に胸を膨らませている。 その中で一人、ふと目があった子がいた。 「おはようございます」 その子は私の目線に気付

          そんな日も

          風を浴びていたら、風邪を引いてしまったよ。 あるよね、そんな日もあるよね。 花火をしていたら、鼻血を出してしまったよ。 あるよね、そんな日もあるよね。

          休日の適当煮

          休日の朝でも昼でもない中途半端な時間に目が覚める。 休日特有の気怠さから、体を起こす。 と言っても、特にやることは無い。 もう少し眠っていたいという気持ちもあるが、そんな誘惑を振り切り重たい瞼を擦る。 何せ空腹なのだ。胃の中が空っぽでは、寝ようにも寝られない。 と言っても、起きたての頭では凝ったレシピなど思い付くはずも無い。 こんな時はあれだ。適当に鍋でも煮込むか。 思うがままに適当に鍋に水を張る。 そういえばまだ手を付けていないインスタントラーメンがあった。ベースはこれにし

          睡眠

          夜が長い。 電源スイッチをオフにするように、あっという間に眠れればいいのに。 どうして眠るまでにこんなに時間がかかるのだろう。 頭はこんなに眠いのに、体はハッキリと起きている。 意識が眠らない。暗闇の中で意識がハッキリしている。 もう眠りたい。早く眠ってしまいたいのに。 頭の中で音楽が鳴る。まるで寝かせまいとするかのように。 疲れ知らずだ。そろそろ鳴り止んでも良い頃だろうに。 あくびが出る。眠りに抗うかのように。 違う。ぼくは早く眠りたいのだ。 早く楽になってしまいたい。早く

          平行世界

          平行世界。今居る世界とはまた別の出来事があった世界線。パラレルワールド。 もしも、いきなりその世界に行くことになったら、あなたならどうしますか? ここで問題は、どのように平行世界に渡ったかを判別するかなのですが。 ぼくならばそれは簡単です。 何せ「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のDVDを持っているので。 もしも平行世界に突如として入れ替わったとしても、DVDの内容の違いから判別が可能です。 流石に内用は変わっていると思いますよ。 何せ細かすぎますからね。 これも毎日のよ

          果汁-100%

          果汁100%のジュース、おいしいですよね。 世の中には、果汁-100%ジュースというものもあるのをご存知でしょうか。 もう、その果汁が全く入っていないジュースです。 全く入っていないが故に帰ってその果汁が入っていると錯覚するジュースが果汁-100%ジュースです。 不思議なものですねえ。その果汁は全く入っていないのに。 ぶどう-100%のジュースはぶどうの味がします。 何故だか解りますか? そこにこそ企業努力というものが隠されています。 人はそこに無いと言われると帰ってあるもの

          ゴマ油

          キッチンの片隅でゴマ油を見かけた。 最後にいつ使ったかも解らない状態でした。 それでもゴマ油は独特の存在感を放ち、僅かに微笑んでいるかのようでした。 いつかは料理の決定打になることを夢見て。 そう信じて疑わない、あなたはまるで貴婦人かのようで、そこには気品すら感じるのでした。 ゴマ油はただそこにいるだけで、料理を盛り上げてくれる。 まるで料理界の総大将のようで。 ただそこにいるだけで、全てが許されるような。 そんな気配すらするのです。 ゴマ油よ、どうぞこれからもその存在感でい

          河童のきゅうり

          夏です。きゅうりがおいしい季節になりましたね。 冷蔵庫で冷えたきゅうりを丸かじり。 いいですね。夏って感じです。 皆さんはどんなきゅうりを丸かじりしたいですか? ぼくとしては断然、河童のきゅうりを丸かじりしたいところです。 ご存知ですか?河童たちの中だけで伝わるきゅうりというものがあることを。 それこそが河童のきゅうりです。 河童のきゅうり、それは相撲で勝ち残ったものだけがそれに有り付く事が出来ます。 河童のきゅうりが欲しければ、河童たちの相撲で勝つ事です。 そうして勝ち残っ

          河童のきゅうり

          そうだよ!

          そうだよ! 魔法の言葉、そうだよ! そうだよ!と聞けばみんな許せる。そんな言葉。 そうだよ!それは不思議な呪文。 そうだよ!そうだよ! 例えばぼくが傷付いてしまった時も、そうだよ!の一言があれば許せてしまう。 そうだよ!許してしまえばいい。 そうだよ!無かった事にすればいい。 そうだよ!そうだよ! そうだよ!この言葉にいつもお世話になっている。 そうだよ!そうだよ! この言葉以外は他に何もいらないよ。 ぼくには、そうだよ!があればいい。 そうだよ!そうだよ!

          あんこ桃源郷

          知っていますか? この世には、あんこを信じるものにしか行けない桃源郷があることを。 その名も、あんこ桃源郷。 あんこだらけの理想郷なのです。 あんこをあらゆるものに付け放題。 あんこがそこら中から沸いてくる。 まさに桃源郷ですねえ。 あんこ好きにとってはこの上ない幸せいっぱいな気分になれますからね。 どうやったら行けるのかは、あなたのあんこに聞いてみて下さい。 あなたのあんこを思う気持ちが本物であれば、きっと教えてくれます。 あなたのあんこを思う気持ちが本物であれば……!

          骨煮込み

          味噌汁の味噌の代わりに、今日は骨を煮込むことにした。 特に理由はない。強いて言うなら美味そうな気がしたんだ。 コトコトと煮込まれる骨、滑り出しは上々だ。 ほんだしも少し加えてみる。 香るほんだしの香り。骨からはこれっぽっちも旨味は出ない。 ふむ、どうしたものか。 既に旨味が出尽くした骨だったのだろうか。 さっきから何も変化が無いぞ。 そんな夏の昼下がり。 あなたは今、何を思っていますか? 元気でいますか? 私は元気です。元気すぎて少し怖いです。 私の元気がもう少し無ければ、こ

          みたらし地獄

          人は死んだ後に、悪行が高じると地獄に行くとされています。 その地獄の中でも特に苦しい地獄とは何かご存知でしょうか? それは、みたらし地獄というものです。 みたらし地獄とは、みたらしまみれになる地獄となります。 え?それのどこが地獄なのかって? 考えても見て下さい。みたらしが皮膚という皮膚に張り付く苦しみを。 皮膚呼吸はまず出来なくなると考えてもいいでしょう。 おまけにみたらしは超高温に熱されています。 皮膚に張り付く超高温に火傷は待ったなしです。 ずるずると皮膚から剥がれない

          パリィ人生

          天使のようなあの子の気持ちをパリィして。 悪魔のようなあいつの気持ちをパリィして。 あれもこれもパリィして。どいつもこいつもパリィして。 気付けばこんなになっちまった。 気付けばこんなになっちまった。 誰かぼくの事もパリィして。ぼくの事もパリィして。 天使のようなあの子の気持ちをパリィして。 悪魔のようなあいつの気持ちをパリィして。 あれもこれもパリィして。どいつもこいつもパリィして。 気付けばこんなになっちまった。 気付けばこんなになっちまった。 おい、誰か見ているか。ぼく